影勇者は軽く戦う
さて、厄介なことになった。非常に面倒だ。大会の練習……
「っち、わかった。仕方ない。依頼者の命令とあらば断れまい」
グレイから暴れてこいと言われた。まあそれはいい。だが、やり過ぎれば死人が出るぞ。結構な量の人がいる。うん。練習にしては本格的だな。
「ワシも出ようかの。シュウヤ、手加減は無しだぞ?」
クライアントまで………まあその方が護衛しやすいんだがな…………
「OK。じゃあ行こうか。すいません。俺も練習試合します」
受付の人はにこやかに応対してくれた。ルールなども聞いた。それをまとめると
バトルロワイヤル、武器は何でも使用しても良い。ただし殺してはならない。魔法も使用して良い。
「ではあちらでお待ちください」
と指差された場所にはパッと見100人ぐらいいる。
「さてグレイ、国王にしか伝えられない魔法を使っていいんだぞ。いや、むしろ使え。これを期に覚える」
「無理な話だのう。潜入しとんのに、ワシは国王だ。なんて言うのか? まああっちは見せてもいいがの」
「っち、まあいい。でも、本気出しすぎてバレるなよ」
「それはこっちの言葉じゃ。本気だして殺すなよ。揉み消すのは大変なんじゃよ」
………………本気出すわけないだろ。
『皆さん! 準備はいいですか? まあ準備ができていなくても始まるんだけどね! ルールは受付の時に話した通りだよ! じゃあ始めるよ!』
パンッ
この音は銃声ではなく手を叩く音だ。この音が鳴ると同時に俺以外の全員が剣やら斧やらで斬りあったり、魔法を撃ち合ったりしている。俺だけ取り残されてしまったようだ。そう、俺だけだ。グレイもいなくなっている…………って、どこに行きやがった。護衛もクソもねえな。辺りを見渡してもいない。本気でどこ行きやがった。
「《ツイン・アイスフレイム》」
上空から声が聞こえた。声が聞こえた方を見るとグレイが白銀の翼を生やして飛んでいた。
「固有魔法か。なら放っておいても大丈夫かな。おっと、俺を相手にするのは無駄だぞ」
いきなり斬りかかりに来たので軽く避けて腹に一撃入れた。それと同時に魔法陣を描く。
「《エア・シュート》」
殴られたやつが吹っ飛んでいく。辺りから見ると俺が殴り飛ばしたように見えるだろう。
「行くぜ」
こちらを見ていたやつを指差して宣言してやった。その後ダッシュした。普通の人間より速く走っておいた。その指差してやったやつの目の前まで来たとき、そいつはすごく驚いた顔をしていた。まるで「いつの間に!?」とでも言いたげな顔だ。
「《エア・シュート》」
また人が吹っ飛んでいく。その様子に大勢が唖然としている。そんな中まともに動けているのは俺、グレイ合わせて三人。
「まともなやつがいるな。《エクスプロード》」
動いていたやつに紅蓮の炎が降りかかった。が、動いていたやつは持っていた剣で頭上に来ていた炎を斬り、その剣を操作して炎をこちらへ飛ばしてきた。
「強いな………」
返された炎を敢えて直接受けた。もちろん魔力の衣が直接のダメージは避けた。それが原因で、やつは驚いているみたいだ。
俺は魔剣を抜いた。そして前に立ち塞がるやつらを峰で打ち、気絶させながら、やつに近付いていく。向こうも同じことをしながら来ていた。
ちなみにグレイはさっきから魔法を撃ち合いまくっている。俺には被害が来ていない。だから放っておいている。
「我の名前はカイン・ルミブル。お前の名は?」
近付いていると声が聞こえた。やつの声だ。あいつがほぼ世界一の剣士……意外と細い。剛ではなく技の剣士だな。
「俺の名前か。シュウヤ・レイ・ムツラだ」
「ほう、精霊と契約しているのか。出さなくて良いのか?」
「今は仕事中でダメなんだ。まああんたの腕前見させてもらう」
「いいだろう。全力で来い」
俺は剣を構え、カインに突進した。カインの方もそうしてきた。
一太刀交え、互いに驚いた。俺は魔力を吸いまくった俺の剣と張り合いやがったことに驚いた。
「バカな。帝国最強の我が剣と張り合うだと……その剣、名前は?」
「名前はまだない。ただの魔剣だ。そっちにはあれか。最先端の科学を用いた剣か」
お互いに合点がいったみたいだ。剣の格は大体同じ。それがわかったら後は剣の腕。世界一の剣士とじゃあ分が悪い。だが、その差を魔法で埋める。
「《フレイム・ランス》」
瞬時に魔法陣を描き、唱える。それをとっさに避けたカインを斬りつける。が、防がれる。斬り合いながら喋る。
「シュウヤ、強いじゃないか」
「そりゃどうも。あんたは流石だな」
「誉めても何もでん」
「油断ができるかもしれないぞ?」
「我は剣士、この程度で油断を作る気はない」
「にしてもやっぱ勝たないといけないのかなぁ」
「どういうことだ? 戦いには勝たないとダメだろう」
「そうか。分かった。ちょっと本気だす」
「どういう……………これは……………」
俺は魔力を大量に放出した。否、魔力を抑えるのを止めた。その行為に気付いた人はそれぞれ違った対応をした。
俺を避けるために離れた者
こちらへ襲いかかりに来た者
自分の行っている行為を続行する者
その場で立ち止まる者
それほどに放出された魔力の量は異常だった。魔王、神を連想させるほどの魔力量。それが俺だ。魔力の放出量は限られている。だが、今の放出量の限界でも、トップレベルだ。
「一体何者なんだ……?」
「魔導師ギルドで働くしがない魔導師だ。続きをしようじゃないか」
俺に襲いかかってきたやつは全員気絶させた。どうやって気絶させたか。それは、全員一度触れて血の流れを止めた。
「ふっ、いいだろう。来い魔導師」
「ああ」
魔剣を右手に、血で作った深紅の剣を左手に持つ。それで斬りかかる。カインはたった1つの剣で俺の剣撃を耐えている。だが、ギリギリ防いでいる。つまり、少しでも速度を速くすれば崩れる。
「終わりだ」
魔力での身体強化を限界までする。すると、もう人の目程度では追い付けないほどの速さに達する。
背後に回り、首筋に剣の峰を叩き込む。それにカインは口から液体を吐いて気絶する。
「…………さて、残りは………グレイだけか」
地上に立っているのは俺だけだ。空にいるのは白銀の翼を生やしたグレイのみ。一騎討ちだ。
「………降参ってありなのかの?」
「降参するのか?」
「いいや、さて、有利なのはワシだと思うのじゃが、降参しないかの?」
「1000ギル払ってくれたらしてやろう」
「決裂じゃ。《グランド・イクス・バーン》」
「なんだよそれ。っち、《バブル・シャワー》、《アクア・サイクロン》」
黄金のXの形をした炎がこちらを襲ってきたのに戸惑いつつ、魔方陣を描き、魔法を唱えた。先に唱えたのは水の泡を大量に降らす視界を奪うためにある魔法。ちなみに泡が割れると大量の水になる。後に唱えたのは水の竜巻を起こす攻撃魔法。
この二つの魔法が合わさり、1つの巨大な水の竜巻ができる。これが即興で作った『合体魔法』だ。
それとグレイの魔法がぶつかり、互いに霧散した。その霧に乗じて魔力の強化を足だけに行い、ジャンプしてグレイの両羽を両手で持ち、腰を蹴り羽を千切った。
その後も空中でグレイを蹴り落とす。勢いよく地面に落ちていったが衝撃は魔法で防いだようで無傷
「痛いのう」
「はっ、ダメージなんか負ってないくせによく言う。《グランド・イクス・バーン》」
先程グレイが空中で描いた魔法陣を描き、唱える。瞬間、グレイは目を見開き、違う魔法陣を展開していた。
「《グランド・クロス・スプレッド》」
十字の水が放たれた。グレイの放った十字の水と俺の放ったX状の炎がぶつかり、消えた。
「……………ワシは降参する」
疲労したような顔をしたグレイが言う。
「そうか」
魔法を使っただけなので全く疲れていない。忘れていたが俺は無限近く魔力がある。だから魔法をつかっても疲れない。
『終了です! 勝者はフォール・ナイトさんです!』
フォール・ナイトってのは俺の偽名だ。フォールは秋、ナイトは夜。正直適当だ。考えるの面倒だしな。あと、グレイも偽名を使っている。
「シューヤ、1000ギルだがそれが護衛報酬でいいか?」
「死ね」
そう言って立ち去ろうとする。
「シューヤ、お前は城に来てもらう」
………また、面倒なイベントかよ…。俺、運無いんだな。
そう思いつつ振り替えると神妙な顔をして剣を構えているカインの姿が目に写った
明けましておめでとうございます!
久し振りに投稿する勇者です!
いやー、本当はクリスマスの日にクリスマスの話を投稿しようと思ったんですが忘れてました。いや、決して女の子とデートしていたわけじゃありません。していたのは後輩(男)との遊びです。誘われたんで遊びました(二人っきりで)。こんなことしているから勇者×後輩なんて言われるんですよね。
お正月は前生徒会メンバーで初詣へ行きました。部屋で寝ていたのに皆が来たんで面倒と思いつつ、前会長なので保護者として付いていきましたが、あまり記憶に残っていないんです。その日に酒を飲みすぎました。正直今日の昼まで気持ち悪かったです。
まあなんやかんやでクリスマス、正月と特別なイベント話を投稿するのを忘れちゃいましたが
今年もよろしくお願いしますm(__)m




