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ネイムレス  作者: 吹岡龍
第一章【記憶の放浪者 -Memories Wanderer-】
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〔五‐4〕 ユリオン

挿絵(By みてみん)


 一滴の雫を髣髴(ほうふつ)させる巨大な潜水艦で海底基地を飛び出した。

 一〇キロメートルを越える深度を軽々と駆け上がったそれは、海面に近付くとその形状を一変させた。船体を縮め、翼を広げ、大空に向かって飛翔した。

 荒波を食らう大鯨が、天を渡る巨鳥へと変身したのだ。

 〈DEM-3-2〉は飛行と潜水を可能にした、世界初の空潜両用機である。

 想像を超えた出来事を目の当たりにしたどころか、実際に乗船していたのだ、誠が白目を剥いて愕然としないわけがなかった。気付いた頃に上空四〇〇〇メートルまで到達していれば、しかも今からスカイダイビングしようと告げられたら、機内の片隅で膝を抱えないわけにはいられなかった。

 その彼も、今では地上から空を仰いでいる。落ちてきた実感を得られなかったのは、青い世界のどこにも〈DEM-3-2〉の姿が見えなかったからだ。

 どこかへ行ってしまったのだろうか。

 獣道すらない深い森の中、誠は呆然と佇んでいた。そんな彼の首根っこを掴んで、力任せに背を低くさせたのはウヌバだった。彼は第一実行部隊の面々が身を隠す、苔生した大きな岩陰に連れられた。巨人による無言の圧力に抗えず、泳ぐ瞳でエリに助けを乞うた。

 彼女は言った。


「マコっちゃん、ダメじゃない。ぼーっとしちゃって。ココ、戦場だよ」


 人差し指でピストルを作った彼女は、バァンと誠の額に一発放った。


「敵が……REWBS(ルーブス)って人達がいるってことですか」

「そうだ。今から我々は敵のアジトに潜入し、これを殲滅する」


 誠は背筋を粟立たせた。酒顛の言葉には勿論、彼らの装備から本気度が窺えたからだ。脹脛にはハンドガンらしい物が納められたホルスター、エリの腰には二振りの日本刀、ウヌバの剥き出しの腕は凶器そのもの、そしてリーダー酒顛の腰には酒壷が提げられていて――


「どうした、コレが気になるか?」

「それ、お酒ですか?」

「京都でも知る人ぞ知る幻の酒“千丈ヶ(せんじょうがだけ)”だ。美味いぞぉ~、一杯どうだ?」

「ぼ、ボク、未成年ですよ」

「何を言っている。お前はもう日本の法律で守られている対象ではない。つまりいくら飲んでも自己責任、誰も咎めたりはせんよ」


 そう言われると、断る理由がないのが困ったものだった。じゃあ、一杯だけ。このまま戦場を突き進むにしても、素面(しらふ)ではやっていけそうものないので手を伸ばしてみた。


「メッ!!」


 大人の誘惑に負けたその手を叩かれ、酒顛に至っては額に紅葉が現れた。エリはまるで保護者のように叱りつけた。


「組織法でも一八歳未満は未成年、飲酒は認められていません!」

「えー、でも俺は一二の頃から飲んでるぞ」

「それはリーダーが……」

「酒顛さんが、何です?」


 誠は小首をかしげた。しかしエリは強引に話頭を転じ、「そう言えばマコっちゃん、まだコレについて知らないよね」と彼の両耳からボタン型電池のような物を取り出した。


「あの、酒顛さんがどうかして――」

「コレはね、〈MT〉っていう万能通信機。“(Mountain)”でも車とかの“|手動変速機《Manual Transmission》”でもなくて、“記憶(Memory)(and)思考(Thinking)”って意味ね。マルチプル・トランシーバーの略だっていう人もいるけど、そもそもの由来は北欧神話の主神オーディンに仕えた二羽のワタリガラス――フギンとムニン。フギンは“思考”を、ムニンは“記憶”を司っていて、夜明けから夜更けまで世界中を飛び回って情報をかき集めるの。それをオーディンの耳に届けるってわけ」


 エリは誠の右耳に〈R.HUGINN〉、左耳に〈L.MUNINN〉と記された小さなデバイスを再び装着させた。そして誠の人差し指をとって、軽く〈R.HUGINN〉に触れた。

 すると彼の視界にホログラム映像が出現し、いくつものウィンドウを表示した。戦闘服のグローブがマウスのようなマンマシンインターフェースになっているらしく、映像に触れようとすると確かに反応した。


「左右で一対、起動中でも二つの距離が一メートル以上離れると強制終了されるから気をつけてね。ちなみにその〈MT〉はアナタの戦闘服や声とリンクしてるからアナタにしか扱えない。今から言う言葉を復唱してみて。“サーマル・ビジョン、起動!”」


 言われたとおりにしてみると、唐突に彼の周囲の色彩が切り替わった。エリの顔は真っ赤なのっぺらぼうになっており、鬱蒼と生い茂っている緑の草木はほとんど青く、深い森の隙間から見える空に至っては、太陽以外真っ暗と言っても過言ではなかった。

 エリは誠の手を取ると、ずいずいと草木を掻き分けて進んだ。色彩の変化が足下を覚束なくさせていると、視界の先に奇妙な光景を確認できた。

 切り立った崖の下、カルデラ地形のように窪んだ広い空間に、赤い線が何本も張り巡らされていた。実視界では決して見えないだろうその線が描く全体像は、隠れ線が幾重にもなって引かれた建築物のCGモデルのようだった。

 間違いなく何らかの人工物と言って差し支えない箱物を指し、エリは言う。


「アレが、REWBSのアジト。私達の目的は、アレを占拠・破壊すること」

「大きい……ですね」

「〈DEM〉の基礎技術が用いられてるっぽいけど、所詮は紛い物。不自然に熱が漏れちゃってる。アレじゃあ今の軍用センサーでも簡単に見つかっちゃうわ」

「じゃあ、普通にバレてるんじゃ……」

「俺もコレを見てそう思ったのだが、どうやら現地の諜報員(ウォッチャー)が新たな情報を得たらしい。まずはその諜報員に会おう。ケン、エリ、いつもの手順で頼む」


「了解」と彼らが答えると、酒顛は誠の頭に手を置いた。


「さて、マコト。ここから先、お前はただひたすら、我々の傍を離れず追いかけることだけを考えろ。それができなければ、お前はここで死ぬことになる」


 再三再四に渡ってあらゆる恫喝を聞かされてきたが、もはや慣れてしまった感が否めない。耳にタコができるどころか、鼓膜に麻酔を打たれて無反応といった具合だ。

 しかし今度ばかりは本当の本当だと理解できていた。

 ヘレティックへの覚醒のために行なわれた偽テロ騒動や、一敗地に(まみ)れることとなったケンとの一騎打ち。これら二つの最中に飛び交っていた恐怖とは全く異質な、本格的に腹の底が冷える感覚を覚えた。

 そんな形而上学的な予測は外れてしまえばいいのに、一行が目指す敵施設への道中には、いくつもの監視カメラやセンサーが設置されていた。中には警備用全自動機関銃(セントリーガン)と呼ばれる、敵味方を瞬時に識別する機能を持った迎撃兵器まで配備されている始末だった。


「下手に壊したりデコイ使ったりして警報装置が作動するとヤバいし、ここは素直に迂回しましょうか」

「……俺も賛成だ。人のニオイが残ってる。コイツを辿れば諜報員に会えるはずだ」


 誠は、ケンが他人に同意するという光景を初めて見た。やはり任務中は、彼も私情を捨てているのだろうか。

 白い肌と同じくコーカソイドならではの高い鼻を持つケンは、眉間の少し下――鼻根筋を揉むようにしてから話していた。エリ曰く、この辺りに鼻腔の大きさを調節するシャッターと、その開閉ボタンがインプラントされているらしい。彼は犬かそれ以上の嗅覚を持っているが、機械やエリのセンスのように、オンオフを自在にできるわけではない。そこで清芽ミノルによって施術され、鼻と耳に同様の調節器が埋め込まれたのだという。

 生まれながらにしてこのようなセンスを持ってしまった彼は、神経質(ナーバス)にならざるを得なかった。だから普段からヒネた物言いしかできないのだとも、〈DEM-3-2〉に乗り込む前にエリはこっそりと教えてくれた。

 誠はそれを知ると、彼の喧嘩腰の性格に危うく同情してしまいそうになった。

 素直になれずに猜疑心を抱いたままの誠を置き、「エリ、裏取り」と酒顛は令した。

 彼女は目を固く閉じて周囲に意識を凝らした。自分と同じように木陰に隠れる面々の体温が周囲にあり、木の上の小鳥、地を這う獣や虫、草熱(くさいき)れが次々と脳裏に浮かんでくる。そうして拡散された彼女の意識は“あるもの”を捉えた。


「……確かに、近くに一つだけ大きな熱源があります。人間――男、ですね」

「性別まで判るんですか、エリさんのセンスは」


 エリは目を開けると、少し照れるように、「ん~ふふぅ~ん。まぁー、何てゆーかぁ~、“口には出せないトコ”まで視えちゃうからねぇ~~」


「「「!!」」」


 驚天動地の爆弾発言に、首をかしげるウヌバ以外の男達はすぐさま両手で股間を隠した。


「テ、テメー、いつもそれで見分けてたのかよ……!?」

「あっ、当たり前じゃない! それで判断したほうが手っ取り早いのよ! 私だってチョットは恥ずかしいんだからね!」

「チョットかよ!」


「エリ、ちなみにこの中でチャンピオンは誰なんだ」と酒顛はいやに真剣な面持ちで問うが、確実に悪ふざけだった。イケない男の性を全開にしたセクハラ発言だった。

 軽蔑の眼差しを我らがリーダーに向けつつ、「……ウヌバ」とエリは解答した。

「さすがはアフリカ人だな」と何の根拠もない偏見で納得した。


「何の話ダ。身長カ?」


 どうして酒顛が豪快に笑い飛ばしながら背中を叩いてくるのか分からなかった。「まぁ、ある意味長さだな! 太さになら自信があったんだがな、いやぁ、負けた負けた!」と彼は言うが、ウヌバには皆目見当がつかなかった。

 こういう話題が嫌いなのか、「くだらねぇ。さっさと行くぞ!」とケンはそそくさと歩き出した。そんな彼に向かってエリは、「ちょっと待ちなさいよ、ブービー賞!」


「口に出せねぇんじゃねぇのかよっ、ハレンチ女!!」


 ウヌバが玉座に君臨し、ケンが三位ということは、「俺が二位か。まぁ、順当か。この図体で若い奴には負けられんからなぁ」独り合点する酒顛だったが、「え、リーダー最下位ですよ?」という彼女の一言で、巨漢はその場で固まってしまった。


「冗談ですよ。さ、早く行きましょう」


 フォローしとくも、しかし石像のようになってしまった彼には届かない様子だった。

 羞恥心(しゅうちしん)の欠片もない彼らに囲まれたウブな少年には、気恥ずかしさだけが募るのだった。


「大人って、何か嫌だ……」




 エリが示したポイントは、獣すら近付かないような足場の悪い谷の中腹だった。

 人っ子一人いない。そんな僻地に横たわる人型の熱源を見つけ、一同は背後から恐る恐る忍び寄った。すると、『そんな大所帯で来られちゃあ、敵に感知されちゃうよ』突然〈MT〉に軽薄そうな声が聞こえた。

 聞き覚えのあるその声に一同が銃口を下げたのを知ってか知らずか、声の主は続けた。


『全くもって組織の技術力には感服しちゃうよね。こんなボタン型電池みたいな物だけで、通信から文書の作成、ホログラム映像による視覚補助などなどエトセトラまでできちゃうなんてさ。利便性高過ぎだね、メギィド博士サマサマだ』

「何で説明口調なんだよ。ってか何でまたテメーがいやがる、フリッツ」

『Hallo、みんな! 厳格な元ミスタードイツ人、フリッツだよ♪』

「聞けや! どうしてテメーがいるんだっつぅんだよ!」


 組織の諜報員であるフリッツは、誰かに向かって決め顔を決めた。

 麦藁帽子にサングラスをかける彼は、大きく窪んだカルデラを望みながら、ピクニック気分でマットの上に寝転んでいる。敵施設を視界に納め、大きなソーセージを挟んだホットドッグを悠長に頬張る余裕はどこから湧いてくるのだろうか。


『ムッフフ。そうカリカリしちゃダメだよ、ケンちゃん。牛乳でも飲んで落ち着きな』

「そうだぞ、ケン。こんな素晴らしい眺めを前に何を苛立つことがあるんだ。よし、ここいらで一服しよう。フリッツ君折角だ、一杯やらんか?」


 毛筆による力強い書体で“千丈ヶ(せんじょうがだけ)”と書かれた酒壷を思い出し、フリッツは青褪めた。


『お、お相伴(しょうばん)(あずか)りたいのは山々なのですが、に、にに任務がありますので……!』

「ならば状況を説明してもらおうか、迅速にな」


 彼らのやりとりに疑問符を浮かべる誠に、「後でのお楽しみ♪」とエリはニヤニヤと訳知り顔で答えた。


『敵は沈黙を守っています。ここ数時間はまともに歩哨(ほしょう)も立てておりませんので、何らかの行動に移る前兆にあるのだろうというのが我々情報部の推測です。まぁそのお蔭で、七つあった退路のうち六つに爆薬を仕掛けることができましたがね』

「〈ヘレティック技術に関する全ての資料を奪取し、そこで開発中の兵器を施設諸共破壊せよ〉――とのことだったな。彼の初陣に相応しい、実にシンプルな任務だ」

「待ってください、酒顛さん。ボクは戦うつもりなんてありませんよ」


 フリッツは〈MT〉を操作して、グループ通話対象に見慣れない〈LUSH-5〉というコールサインを見つけた。ケンがいつにも増して不機嫌な理由が彼にあるのだと気付くと、人知れず口角を上げた。


『やぁやぁ、マコト・サガワ君。確かにこの任務はキミのデビューに相応しい舞台なのかもしれないね。だけどシュテンさん、生憎シンプルとは言えない事情が発生しています』


「どういう意味だ」と〈MT〉のビデオ通話上で酒顛が険しい顔を湛えている。

 フリッツは彼らにこの場で整理した最新情報――数百枚に及ぶ連続写真を提供した。


『これは組織の偵察衛星がこの作戦区域を撮影した過去五〇年間の画像です。ご覧になってお分かりのとおり、半世紀もの間このカルデラは一切、何も、全く変わっていません。にも拘らず、この基地は〈DEM〉を作動してその存在を隠していられる。〈DEM〉が実用化されたのは今から二二年前です。組織独自のステルスシステムであるところのそれが流出していることにも驚きですが、この衛星画像では一体いつ、どのように基地が建設されたのかさえも不明なのです』

「もしかして、組織の衛星がハッキングされて、画像を改竄されてるってこと?」

『Gut、流石は僕のエリーだ。今日も相変わらずクールビューティーだね。ファンクラブ会員一号として誇りに思うよ』


「でへへ~、褒められちった」と子供のようにご満悦で頭を掻くエリに対し、酒顛は訝しげに顎を撫で、「俄かには信じられん。ハッキングの痕跡は見つかったのか」


『痕跡など見つかるはずもないのですよ。何しろ連中(REWBS)が使ったのは、我々が知る限り最も恐ろしい演算能力を持つコンピューターなのですから』


 いつものように滔々(とうとう)懸河(けんが)の弁のごとく、流暢(りゅうちょう)な日本語で彼は言った。

 すると、「まさか……」と酒顛の血相が変わった。愕然とし、絶望し、打ちのめされているようだった。


「おい、フリッツ。くっだらねぇ冗談は止せよ」


 ケンは青筋を立てると、フリッツの無防備な後頭部にハンドガンの銃口を向けた。


『キミ達を前に、“アレ”に関してジョークを言えるほど、僕も無神経じゃないよ』


 軽くあしらうフリッツに、酒顛は問うた。


「確かなのか? 俺はこの目で見たんだぞ、アレに関わる全てが処分される様を」

『残念ですが、盗聴にも成功しています。この基地では、完全自律学習型卓犖電算機(ヒューマニスティック・ハイパーコンピューター)〈ユリオン〉を開発しています』


 酒顛は頭を抱えると、太い木の幹に寄りかかった。


「あの、〈ユリオン〉って何ですか。危険な物なんですか」


 そう訊く少年に、酒顛達が肩を震わせる中、「マコト君」とフリッツは呼びかけた。


『因縁だよね。《韋駄天》の再発掘と時を同じくして、あの悪名高い〈ユリオン〉が再び産声を上げようとしているだなんてさ。バーグって人は、一体何者なんだろうね』

「因縁? バーグ……?」

『キミから自由の全てを奪った者の名前だよ。彼らから聞いていないのかい?』


 誠は第一実行部隊の面々を見渡した。しかし彼らはそっぽ向くばかりで説明の一つもしようとしなかった。


「誰なんです、バーグって。ボクを拉致したのはアナタ達ではなかったんですか!?」

「そうだ、我々が拉致した。どのような人物が関わっていようとも、それは事実だ」

『シュテンさん、単なる一兵士に過ぎないアナタ方が何故全ての罪を被ろうとするのですか。アナタ方は決して悪くない、諸悪の根源はバーグだ』

「それでも俺なんだ。俺ならば、いつでも止められたはずなのだ」


 実行部隊総隊長の頑迷さに、フリッツはほとほと呆れ果ててしまった。

 彼らが悪者なら、自分も同罪じゃないか。


『マコト君、誓って言おう。彼らは命令を遵守し、あくまでキミを保護したんだ。バーグという得体の知れない情報屋から守――』


 ヒュンと音がして、マットに穴が空いた。振り向くと、ケンが構える消音器(サイレンサー)付きのハンドガンの銃口から白煙が上がっていた。


「るっせぇ、喋んな」


 フリッツはグループ通信から誠を除外すると、一同に言った。


『情報をもう一つ提供しておこう。作戦参謀長官殿(メルセデス)の差し金でね、予定よりも多くの諜報部隊がこの作戦区域を包囲している。その意味は解るよね。〈オペレーション:エンジェル・ヴォイス〉、キミ達が彼――マコト・サガワの監視役に命ぜられた理由と同じだよ』


 酒顛は頭を掻いた。エレベーターでの話がメルセデスに盗聴されていたらしい。


『だけど僕は、彼を白だと思うよ』

「……根拠は何だ」

『あの任務、たったの三一時間四八分と短い時間で彼から感じ取った空気さ』


 フリッツは思い出していた。面会謝絶の病室で、独り咽び泣いている彼の姿を。


『マコト君、改めて祈らせてもらうよ。キミに不滅の光があらんことをね』

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