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ネイムレス  作者: 吹岡龍
第一章【記憶の放浪者 -Memories Wanderer-】
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〔四‐6〕 止まぬパラライシス

挿絵(By みてみん)


 ボスと顔を合わせもせずに、絶と螺葵は漆黒の潜水艦〈カローン〉へと引き返すためにエレベーターに乗った。


「ゼツさん。アレが噂に聞く《韋駄天》ですか」

「あぁ。〈ユリオン〉と共に散った男が、最強の名をほしいままにした史上最高のセンスさぁ。いずれは誰かがとは思っていたが、まさかあんな小僧がねぇぃ」

「嬉しそうですね」

情報屋風情(バーグ)に感謝する必要がありそうだと思ってねぇぃ」


 絶はエレベーターの壁に背中を預けると、片手で自分の顔を覆った。


「アレは私から見ても異常(クレイジー)なセンスさねぇぃ。敵のアジトに侵入したわずか一〇秒後には、その中枢部で爆発が起きるんだぁ。私達は露払いすらさせてもらえなかったぁ。任務開始と同時に終了なんてのはザラだったねぇぃ……」

「……とんでもない人がいたものですね」

「アレを経験して以来ぃ、私の感覚は麻痺し通しさねぇぃ」


 感傷に浸っていた彼だったが、唐突に頭を擡げると、螺葵を睨んだ。


「ところでぇぃ、そのバーグについて分かったことはあるのかぁぃ?」

「はっ。目下のとこぉっ――!?」


 絶はソフト帽で螺葵の視界を塞ぐと、拳銃を彼の耳に押し当てた。


「さっさと首持ってきやがれぇぃ。野郎の存在はぁ、いずれ私達の弊害になるぅ……!」

「……そ、早急に、やらせますっ」

「お前もやるんだよぉぅ。ミンチにされたくなかったらねぇぃっ」


 無機質な音が、しばらく静寂を掻き回していた。

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