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15 骨騎士、初仕事を受けた

〈レイセル〉

「……覚悟は出来た。ここからは俺の目的だ」


静かな部屋に、言葉が落ちる。


〈レイセル〉

「仲間の子孫を止めに行く。あいつらの悪事を……終わらせる」


ヴァルシアとセレナがこちらを見る。


〈レイセル〉

「どこにいるか情報はないか?」


セレナは一度目を閉じ、魔法陣を展開した。

大陸の地図が宙に浮かぶ。


〈セレナ〉

「では、まず大陸の確認から始めましょう」


淡い光が四つの国を照らす。


〈セレナ〉

「中央──アークレリア帝国。大陸最大の人間国家です」


〈セレナ〉

「南東──フォレストリア王国。森と獣人の国」


〈セレナ〉

「南西──エルミナ魔導連邦。魔法文明の中心地」


〈セレナ〉

「北──フロストヘイム。雪と氷の国」


〈ヴァルシア〉

「ここ百年、大きく変わっておらぬのう」


レイセルは頷いた。

〈レイセル〉

「ああ。どの国も知ってる」


セレナは続ける。


〈セレナ〉

「そして北東──魔王領ヴァルガルド。魔王城のある地です」


〈セレナ〉

「魔王軍は現在、領土を縮小している状況です。

そのため侵略よりも“管理”によって魔力を得ています」


レイセルは黙って聞いていた。


〈レイセル〉

「……で、子孫はどこにいる?」


セレナは指を三カ所に向ける。


〈セレナ〉

「まず──戦士の子孫は、フォレストリア王国で獣人や珍しい魔物の売買を」


〈セレナ〉

「魔法使いの子孫は、エルミナ魔導連邦で生物実験、毒薬や禁止薬物の売買に手を染め」


〈セレナ〉

「僧侶の子孫は、フロストヘイムで怪しい宗教団体の教祖になっていると言われています」


地図の光がゆっくりと揺れる。


〈レイセル〉

「……三人とも、別々の国か」


〈セレナ〉

「はい。百年の時が経っていますから、血筋も散らばっています」


ヴァルシアが腕を組む。


〈ヴァルシア〉

「それぞれの私利私欲を満たしやすい国を選んだようじゃな」


レイセルは少しだけ考え──


〈レイセル〉

「……どこから行くべきか……」


大陸地図の光が消えたあと、セレナは別の魔法陣を展開した。


〈セレナ〉

「補足があります。レイセル様が滞在していたゴブリン拠点──

あれはフォレストリア王国の領土内です」


〈レイセル〉

「そうだったのか」


〈セレナ〉

「はい。そして近くには“湖上都市ミラージュ”があります」


淡い光が湖の上に浮かぶ幻想的な街を映し出す。


〈セレナ〉

「湖の上に築かれた都市で、獣人と人間が共存する珍しい街です」


〈ヴァルシア〉

「わしも一度行ったことがあるぞ。夜景が綺麗なのじゃ!」


セレナは続けた。


〈セレナ〉

「そして──魔王軍にも情報が入っています」


一拍置いて。


〈セレナ〉

「湖上都市ミラージュの獣人、そして近隣の村の獣人が何者かに攫われています」


空気がわずかに重くなる。


〈レイセル〉

「……攫われている?」


〈セレナ〉

「はい。おそらく戦士の子孫が関わっているかと。

獣人は中立、もしくは人間側に属しますが……

扱いが酷いため、魔王軍に助けを求める者も多いのです」


その言葉に、胸の奥がざわついた。


〈レイセル〉

「戦士の子孫は、フォレストリア王国にいるんだったな」


〈セレナ〉

「はい。攫われた獣人はフォレストリア王国にいるか……すでに……」


レイセルはゆっくりと立ち上がる。


〈レイセル〉

「なら──決まりだ」


鎧の胸に手を当てる。


〈レイセル〉

「まずは“戦士の子孫”から止める」


ヴァルシアが満足げに頷く。


〈ヴァルシア〉

「よい判断じゃ。ゴブリンの拠点に転送できるしのう」


セレナも静かに言葉を添える。


〈セレナ〉

「では、転移準備を整えます。

レイセル様──魔王軍任務として獣人、魔物の不当な扱いを止めてください」


レイセルは短く息を吐き、前を向いた。


〈レイセル〉

「ああ。任せてくれ」


こうして──

レイセルは最初の目的地、フォレストリア王国の領土にある、湖上都市ミラージュへ向かうことを決めた。

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