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胡遙さん無駄話  作者: 南方胡遥


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褒めちぎれ

 仕事で現役の高校生とお話しする事が多々有る。

 多々有るというよりほぼ毎日だ。毎日学校に行く前や、学校が終わってからみんな頑張ってバイトに来てくれている。

 女子は小鳥ちゃん達。男子は子犬ちゃん達だ。みんな純粋に可愛い。

 女子は「南方さん聞いてくださいよー!アレがアレであんな事になっててそれでね!コレがこんな事になってるんですよ!でね!ちゅんちゅんピーピーピーチクパーチク」一生懸命語ってくれる小鳥ちゃんだ。

 男子は「南方さん!コレ終わりました!次何か有りますか?俺コレしに行きますね!ハッハッハッハッ…」と出来た事を一生懸命報告して次のボールが飛んでくるのを待っている子犬ちゃんだ。


 私は彼らから見たら母親と同じくらいの年齢のおばちゃんだ。褒める事を真っ当に仕事の世話をしている。叱れば良いと言うものでは無い。

 若さ故に失敗も有る。失敗したら一つずつ改善して行けば良いのだ。目くじらを立てて叱りつけるようなことでは無い。

「何か怒ってるなぁ…」で済ませるより「ここはこうすれば良かったのか!」という閃きと発見を自ら出来るように教えを与える。


 若さはとても羨ましい。知識や経験をスポンジで水を吸うように吸収してくれる。さっき教えた事をもうマスターして実践してくれているのだ。

「人に話しかけるの苦手で…」

 接客業に来てそれは勿体ないなと思う発言を最初はしていても、一連の流れを数回見せて

「やってみようか!」

で、野に放ったら初日の業務が終わる頃にはちゃんとレジを打って「ありがとうございました!」とお客様を送り出せるようになっている。


 接客一回毎に褒めるのは忘れない。

「いいね!本当に初めての接客?めちゃくちゃ良かったよ!次はココをこう言ってみようか!もっと良くなるよ!そしたらこの流れでコレを出せるからね。いいよいいよ!ゆっくり言ってみよう!素晴らしい!」


 何せ褒める。もし失敗しても良いところを探して褒める。必ず褒めるところはある。

「話し方が丁寧だった。」

「姿勢がとてもいい。」

「ちゃんとありがとうございましたって言えたね。」

「お金の確認ちゃんとしてて偉い!」

「ビニール袋すぐ開けれるのいいなぁ!」

「そこにいるだけで天使!」

「ここに働きに来てくれてるだけで最高!」

「朝起きて来てくれた!凄い!」

 小さな事だが、まずは褒める。

 失敗してもダメ出しはしない。次が有る。

「次はきっと上手くいく!伸び代しか無い!大丈夫!!」

 そう。若い子には本当に伸び代しか無いのだ。


「自分褒められて伸びるタイプなので。」

 それは人間誰でも同じだ。"踏んだら強く生きる雑草"とかそういう根性論で育てても頭でっかちな劣等感の塊しか育たない。

 将来社会に出ても誰にも優しく出来ない。共感も出来ない。上の言う事をきちんと聞いて実行する事も出来ない。社会の使えない奴が完成する。


 私は高校生の彼ら彼女らの将来を育てている。

 ダメな所を見つけて叱りつける為に存在している訳ではない。


 ダメな所や悪い所なんて誰にでもすぐ見つけられる。

 頭の悪そうな小学生男子が「◯◯君がこんな悪い事してたー!」と教師や親に言い付けるのと同じだ。

 「悪いところ見つけたから言ってやろう」と言うのは相手の表面しか見れていないとても浅はかな人間だなと私は見ている。「自分は小学生の頃から何も成長していません!」と自らの無能と無知加減を猛アピールしてどうする。


 子供にでも大人にでも私はこう言う。

「人の悪いところを言う前にその人の良いところを3つ言いなさい。」

 言えないならそれは君が他人の表面しか見ていない薄っぺらな感性を持ち合わせて生きている証拠だ。

 人の良いところを探すのはとてもとても難しい。好きな人のいいところはいくらでも出てくるだろう。だが、どうでも良い人間の事はどうだろう?

 中々難しいと思う。

 嫌いな人間の事ならどうだろ?

 私は嫌いな奴の事なら尚更良いところを探し出してやろうと思って接する。

「お前の良いところを探し出してやったぞ!なんだ!?お前実は良い奴だな!!」

という事になる。

 最初から自分にとって良い気持ちにさせてくれる人間など中々いないのだ。そもそも最初から気分良くさせてくれる人間など胡散臭過ぎるだろう。良い事ばかり言ってくるのは最初だけ。そう言うのはよく有る事だ。

 私ももしかしたらそうかも知れない。


「すまん。今会ったばかりなので貴方の内面までは語れない。貴方の表面的な事ばかり話してしまうので申し訳ないのだが。」

 そこから始まっても良いのも事実だ。

 声が良い。目元がとても綺麗。肌が綺麗。指が長い。爪が綺麗。それこそ、シャツのセンスがいい。メガネが独特。いっぱいピアス付けてる。その人の身体の一部以外の目に見える所を褒めても構わない。

 誰しも褒められて悪い気にはならないだろう。褒められ慣れていない人も世の中には大勢いる。そういう人は大概褒められた所を自分で下卑する答えを言ってくる。勿体無い話だがかと言う私もそうだった。

 しかし職場で若い子を褒めて居たら彼らも人を褒める方法を覚えてくれている。

「流石!しごデキ!最強!」

 みたいな事をちゃんと言ってくれるようになった。

 折角褒めて頂けているのだ。褒めてくれた言葉に対して自分が否定するのはある意味失礼では無いかと思い

「お褒め頂き光栄の極みぃ〜」

とか

「ありがとうッッッ!!!」

と大袈裟なレベルで返す様にしている。

 褒めた側も礼を言われて悪い気はしない。礼には礼を返す。そう言うものだ。

 これからの季節、新しく仲間入りする人も増えるだろう。図らずともあなたは誰かの先輩だ。

 "威張り倒して偉そうにするけど褒めてくれない先輩"と"いつもニコニコオープンで褒めてくれる先輩"あなたはどちらの先輩に就きたいか。

 自分の身になって考える良い時期になるのでは無いだろうか。


 私は今日女子高生に

「一緒にちょこザップ登録して保護者代わりに一緒に来て下さい!南方さん見た目強強だからお母さん代わりで来てたくれたら変な人が絶対近付いて来ない。」

とお願いされた。

 見た目強強は褒めてもらえているのか喜んで良いのか礼を言えば良いのか分からないのだが。

 慣れ親しんだおばちゃんスタッフとは言え、そこはあなたのお母さんに相談してから私に話を通してくれ。

 とりあえず「誘ってくれてありがとう」

 


 


 



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