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胡遙さん無駄話  作者: 南方胡遥


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11/20

葬送⑤

 義実家に戻るとまず刑事さん達に連れられて2階リビングに入る。

 犬5匹がギャンギャン吠えている。が、それよりも汚部屋が広がっている。

「ご遺体の方の財布や保険証はどこですか?」

と、義兄に質問されたので通訳。

「ああああい」

 と首を振る義兄。

 その場で固まる刑事2人と私。

「分からないそうです。」

 ちょい震えながら言ったが、義兄が首を振りながら言った事で向こうも気付いていた。


「そのまま何も触らないで下さい。この部屋から出て下さい。捜索します。絶対何も触らないで下さい!呼ぶまで入らないで下さい!」

「兄ちゃん!この部屋の物は何も触らないで!部屋を出よう!お姉ちゃんの財布とか探してくれはるから!このお巡りさんと出よう!呼んでくれはるまで入ったらあかん!」

 大声で義兄に伝えた。


 最悪だ。

 このゴミ袋だらけの糞尿を片付けて無い部屋で家宅捜査だ。最悪以外に言葉が無い。

「あ。ちなみに、財布はどんな色と形でしたか?」

「兄ちゃん!お姉ちゃんの財布の形と色は?」

オドオドしながら

「いんうお、おえうあい…」

手で大きさを作った。

 "いんう"という言葉で思い付く色。

 趣味の悪い頭の中お花畑のいい歳こいて少女趣味な義姉の持ちそうな財布の色など分かりきった事だ。

「ピンクのコレくらいだそうです。」

「ピンクですね!手の平サイズですね!分かりました!探します。」


 何なんだよあのクソアマ!!死んでからどんだけ他人に迷惑かけてんだよあのクソが!!私の脳内は生ゴミと化したクソ馬鹿女への文句でいっぱいだった。

 だが、そうも言ってられない。


 ピンクの手の平サイズの財布を刑事さん達が探してくれている間我々は下の階で取り調べだ。

「何時に発見したか」

「その時間まで何をしていたか」

「何故死んでいると気が付いたのか」

「朝出掛ける時はどうだっか」

「いつもリビングには入っているのか」

等々2時間近く取り調べを通訳した。

 そして証書が出来てサインとハンコを押す瞬間、取り調べ官の電話が鳴った。


 サッ!とサインをする書類を没収された。

 何かただ事では無い雰囲気の受け答えだ。

「では、もっと詰めて聞きます。はい。」

 何だ?もっと詰めて?

 電話を切った後、私だけ誰もいない廊下に呼び出された。


「あのですね、遺体発見時間と死後の経過時間に差があり過ぎてまして。このまま進めると…保護観察遺棄罪になる可能性が出ます。」

 やっぱりそうですよねー。

 そりゃあの遺体だ。素人の私が見てもアレは今さっき出来た遺体では無い。

 保護観察遺棄罪とは何ぞや?死体遺棄罪みたいなもんか?と思って聞いた。

 死体遺棄罪は"亡くなっていると分かった上で放置する"罪。

 保護観察遺棄罪は"亡くなっている事に気が付かずに家族が放置する"罪。

 という事らしい。

 この罪が成立すると、義母と義兄が犯罪者になってしまう。


「恐らく…2.3日経っていると思われるそうです。なので、月曜日から金曜日までの出勤帰宅の時間と本人の様子を詳しくさらって書く必要があるので…再取り調べになります。」


 さっきまでの時間は一体…帰れない。

 はい、もう今夜は帰れない!!

 そして、家宅捜査もまだ終わらない!!


 先に取り調べが終わっている旦那に事を言って

「私は最後まで帰れない。先に帰って息子を頼む。そして寝てくれ!」

 死亡フラグでも立っているのか何なのか。

 お互いハグして肩を叩き合った。

「ママ…任せたよ。」

 旦那も"骨は拾ってやるからな"と言わんばかりのセリフだ。

 2人とも週末で疲れている上でこの仕打ちだ。多少頭がおかしくても仕方ない。

 旦那は私に言うと疲れ果てている義母をベッドに横にさせて、息子がスヤスヤ寝てると思われる家に帰って行った。

 コレで良い。

 取り調べ官が資料の準備をし直している間にタバコ休憩を挟んだ。

 真夜中の空気が寝不足の目に染みる…

 タバコの火を消して家の中に入った。取り調べ第二ラウンドの始まりだ。

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