第4話
…
目覚めが悪い。頭も痛い。
そしてなんか煙っぽい。
火事かと思い部屋を確認したが何も燃えてはいなかった。
そして煙の元には、見たこともない生物がいたのだ。
「やあ」
「お前しゃべれるのか…」
「ああ、君の夢、とても美味しい。」
「今すぐ出ていけ。」
「そんなこと言わないでよ。怖いなぁ。」
「…お前は一体なんだ??」
そう聞くとケラケラ笑いながら答える。
「僕はディスパー。美味しい『夢』を求めて気付いたら君のもとにたどり着いた。にしても君の夢はとても美味しい。」
「…夢が美味しい?」
「ああ、ぼくは人間の夢を食べるのさ。君の夢は本当に美味い。感謝しているよ。」
そういえば、夢を食べる幻獣に獏というのがいる。
幻獣なのだから、存在するわけがないのだが。
「これは夢か??夢の中なのか??」
「夢の中じゃないよ。それより、『仕事』というものをやりに出かける時間じゃないのかい?」
時間は7時。
こいつ…
「…仕事はしていない。」
「そうなの?人間というのは、生きるために『仕事』をしてるって前に会った人間が教えてくれたんだけど。」
「もういいだろ、早く出ていけ。」
というか、どうやってこの部屋に入ってきたんだ??
「なんか君って、怖いね。そんなんじゃ『英雄』になんてなれないよ。」
何を言っているんだこいつは?
「いいから出てけ!!!」
「はいはい。怖いね~。でもまた君が夢を見る頃にまたやってくるよ。君の夢はとても美味しいから。」
そういうと、一瞬にして姿を消した。
「何だったんだあいつは…」
夢を食べるってなんだ。それにあいつの口ぶりだと、まるで俺が見た夢の内容を知っているような…
気持ち悪い。
夢の中の自分を見透かされているようで気持ち悪い。
…たかが夢の話だ。なにも気にすることではない。
しかし、こんな早い時間に起きるのは珍しいな。
なにを考えたのか家を出て周辺を歩いてみる。
これから仕事に向かうであろうスーツ姿の人間ばっかりだ。
…
数十メートル歩いて、すぐに家へと戻る。
起きて数十分しか経っていないにも関わらず、なんかすごい疲れた。
なにもする気が起きない…
…こんな一日、早く終わってくれ