第2話
とある牧場で目覚めた。牛の鳴き声が聞こえる。
まぁ、夢だろう。自分が牧場にいるわけがないのだから。
「あら、勇者さん。ここでお昼寝を…」
そう、彼女はメロウ。魔法使いの少女だ。
「ああ、すまない。先を急ごうか。」
「はい。なんだってお姫様があの魔王に囚われてしまっているのですから…タントの事もありますし、私達も前に進まないと。」
「…そうだな」
そう、この夢は自分が勇者となって魔王に囚われた姫を救うために旅に出るお話。よくあるロールプレイングゲームの世界のようだ。
俺はこの世界を知っている。
というのも、一度見た夢の続きなのだ。
王に姫の奪還及び魔王の討伐を命ぜられ、この少女と王都から旅に出ている。
途中、僧侶のタントが仲間に加わり、3人で旅をしていたのだが、旅の途中、宿泊した町で魔物の襲撃を受け、その際にタントは死んでしまった。
たかが夢の話であるにもかかわらず、妙にタントの事を鮮明に覚えている。
綺麗なブルーの瞳。とても心地良い瞳。まるであらゆる世界を希望の光で照らすような…
「前に進め。君は姫を救い、英雄になるんだ。こんなところで立ち止まっちゃだめだ。」
彼はそう言い残しこの世を去った。
…もうタントに出会うことは叶わないのだろうか。
夢なんだ。もう一度タントに会わせてくれないだろうか。