7話 勇者視点の戦闘狂
勇者視点
ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。
こんなことあっていいはずがない!
最強である僕たちが彼女一人に劣勢だと!?
ふざけるな!
可笑しいではないか!
何故だ?どういうことだ!?
最初のうちはまともに戦えていたではないか!
それどころか僕たちの方が勝っていたはずだ。
なのになぜ……?
まさか本気を出していなかった……?
僕たちを相手に?
いやそれはない。
あれは間違いなく本気だった。
では、何故彼女は突然ここまで強くなった!?
そんなことを思っていると目の前で仲間が何もできずに倒されていく。
どんな困難にぶちあったっても一緒に乗り越えてきた仲間が。
同じ釜の飯を食べた仲間が。
おい、もうやめてくれ……。
そんな僕の願いなんて知ったこっちゃないというように彼女は血塗られた剣をこちらに向けてくる、そして同時に視界から完全に消え去った。
僕が彼女を次に視認できた時には、すでに剣が腹に突き刺さっている状態だった。剣を伝い血がポタポタと地面に垂れている。
激痛が走り、意識が朦朧としてくる。
目の前が徐々に霞んでいくなか彼女の方を見る。
この化け物が……。
勇者が倒れたのと同時に、彼女の瞳は金色から紫色へとなった。