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5話 戦闘狂、町に着く


私の拳はボスウルフの体を貫いていた。

拳を引っこ抜くと、ボスウルフは地面に倒れこんだ。

ボスウルフの息はもうない。


あのスキルを使って数歩歩いただけで、体はすでに限界を向かえていたのだろう。

そんな中、最後に放ったあの一撃、素晴らしい攻撃だったと言える。


それにしてもまさか魔王と戦う前に、こんな面白いことがあるなんてね。


**********************************


ボスウルフを倒した後、クルアの町を目指し歩いているとリンが話し掛けてきた。


『ミリーナ様、あのウルフの素材剥ぎ取らなくていいんですか?』


リンも私の性格を知っている癖に尋ねてくる。


「あいつは私と同類だから良いのよ」


普段、魔物に感情移入することなどないのだが、今回は同類だったものでついしてしまった。あんなにかっこいい者の一部を売るなんていうことはできない。


「まぁ、町まであと少しあるし適当にその辺の魔物倒すわよ。っと言ったそばからさっそくあんなところにいるわね」


なんて会話をしながら、私はその辺にいた大きな角が生えた角イノシシとやらを一撃で倒しクルアの町へと向かった。


********************************


<クルアの町> 


(ねぇ、リン。ここって町なのよね?どうしてこんなにも大きいのかしら?)


私が想像していた町の10倍以上広いものがそこにあった。

 

『そのはずなんですが……。一千年もの時間が経って変化していったんですかね』


私は独り言がヤバい奴だと思われないように≪念話≫を使用してリンと話す。


 にしても、この大きさは一千年前の王都並じゃないの……これで町の規模なら、この時代の王都ってどんだけ広大なのよ……。


私は予想外の町の規模に驚きを感じながらも、とりあえず魔物を売るためギルドに向かうことにする。

私は門番の人から貰ったこの町の地図を広げる。

ギルドは……っと。ここか。


この地図の北東に位置するところにギルドのマークがある。

1本の剣と1つの盾が左右に並んで描かれている。

町の大きさとか通貨とかいろいろなものが変化しているのにもかかわらず、これだけは一千年前と同じままだ。

 

 私は思う。このマーク正直ダサい。

 もう少しかっこいいマークは無かったのだろうか。

まさかとは思うけど上層部の人達はこのマークを気にいっている?

それとも、長い間このマークでやって来たから、仕方なく使い続けているのかな。


私はそんなどうでもいいことを考えながらギルドへと向かう。


道中やることもなく暇なのでこの町の様子を観察する。


パッと見た感じだと、商人や冒険者、傭兵が多いように見える。

それに周りの建物を見ると民家らしきものはなく宿屋ばっかりが建てられていた。

そして、地図を見た感じこの町には学園も無かった。普通、町規模なら1つや2つあってもいいはずだ。

そこから考えられることとして、この町は人が住むために作られたものではなかったのだろう。

おそらく戦争で使われるための臨時拠点として作られたもの。それがそのまま残り続けた結果、普通の町とは違う風に発展していったのだろう。


私は昔似たような町に入ったことがあった。

冒険者や傭兵は素行が悪い者が多いので治安はかなり酷く、少しでも入り組んだところに行くと変なやつがいたり、冒険者や傭兵を客にして犯罪スレスレもしくは犯罪行為が当たり前みたいな店も多々あった。


後、こういう町には衛兵が多く配置されているのだが賄賂やらなんやらでまともに機能していないことも珍しくない。

結局のところ何かあったら自分達で対処しなければならない。

対処できる自信がないのなら、人目が多くある通りを通るとか、夜の外出を極力控えたりするべき場所だ。

 

 そんな訳で、昼間に大通りを歩いてきた私は特に誰にも絡まれることなく、ギルドまで来ることができた。

 ギルドの扉の上には地図にあった剣と盾のマークが描かれたダサい木の看板があった。

 

 私は扉を開け、中に入る。 

 

 扉側には木の机と椅子が左右に置かれてあり数人の冒険者たちが昼間から酒を飲んでいる。

そして奥にはカウンターがあり、受付の人がいる。

 特に一千年前と変わったところは見られない。

 強いていえば少しギルド自体が大きくなっているということだけだ。

 町の大きさも変わればギルドの大きさも変わる。自然なことだろう。

 

 私は受付嬢のところに向かった。

 

 「ねぇ、魔物の素材を売りたいんだけど」

 「ふぇ?かわいぃぃ……。あ……、はい!できますよ!」

 

 ……なるほど、パッと見で一番頼もしそうな人のところに向かったつもりだったが、違ったかもしれないわね。

 

 「そう、どうしたらいいの?少し大きいものだからここじゃ厳しいと思うわよ」


 「もしかして《収納魔法》持ちの方ですか!」

 

 受付の女性は目を見開いてこっちを見てくる。

 眼力が凄い。

 ガバァってなってるよ。

 

 「え、ええ。まぁそうだけど」

 「かわいいだけではなく《収納魔法》まで使えるなんて……。あ、こっちにきてください」

 

 受付嬢がカウンターから出て、手を解体所のマークがある方に向け、歩き始めたので私は後ろを付いていく。



 **************************************

 

 ギルドの裏にある解体所。

 

 「ここに出してもらえますか?」


 私は言われた通り≪収納魔法≫から角イノシシを取り出し地面に置いた。

 ちなみに解体するのは面倒だったのでそのままだ。

 

「角イノシシじゃないですか……しかも限りなく綺麗な状態……」

 

それはそうだろう。

なんせ一撃で仕留めたのだから。

 

「この状態なら王金貨2枚ほどですかね」


王金貨か。

確か王金貨1枚で金貨10枚分の価値だったわね。


「分かったわ。ちなみにこの町の宿屋ってどのくらいで泊まれるのかしら」 

「大体金貨1枚あれば泊れますね」

「そう、ありがとう」



 私はカウンターで王金貨2枚を受け取るとすぐにギルドから出た。

 

 出る前に受付の人が「入り組んだとこには行かないようにしてくださいね。危険な人がいっぱいいますから」っと言ってたので、予想通りやばい店やらなんやらがあるのだろう。

 

 まぁ忠告してくれたことはありがたいのだけど、私は今からそこに向かうつもりだ。

 

 なぜかって?

そりゃ、私の経験からしてああいう所には表に出ていないような情報がたくさんあったりする。

 もしかしたら魔王の情報もあるかもしれない。

 ということは行かないという選択肢はない!



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