表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

4話 ボスウルフ視点の戦闘狂

(ボスウルフ視点)


今、俺は死にかけている。

こんな状態になったのは、ついさっき見つけた女との戦闘の結果だ。


それは村の中で最強の俺とその部下たちで狩りをしている時のことだった。

今日は中々獲物が見つからなく困りはてていたのだが、そんなところに部下の一人から人間の女を見つけたという報告がはいった。見にいってみると明らかに弱そうな女が立っていた。

しかし、俺はその女を見たときにとてつもない悪寒を感じた。

俺は自分を疑った、目前にいるのは非力そうな女だ。それなのに何故こんなにも怯える必要があるのかって。


だけどよ、次の瞬間俺に走ったものは間違ってなかったんだなって気づいたんだ。

部下たちが女に襲い掛かっていったとおもったら、その次の瞬間には跡形もなく消えていった。

この女がどうやって部下を消したのか俺にはさっぱり分からないが、明らかに常軌を逸脱していることだけは理解できた。


本来ならここで尻尾を巻いて逃げるのが正解なのだろうが、俺はあろうことかこの女に挑んでしまったのだ。俺の攻撃はことごとく躱された。


別に挑んだことに後悔はしていない。むしろ楽しいとさえ感じている。


村の中で最強だった俺は戦闘をするたびに簡単に勝っていき、次第に戦闘をする意義を見出せなくなっていたんだ。それからは日課の狩りや同じ村のウルフ同士での戦闘訓練が苦痛でしかなかった。俺は昔のように心が燃えるような戦闘をしたいとずっと望んでいた。


一度、村を出て外の世界にいる強いものと戦いたいと思うこともあった。

しかしそれは許されない。俺には守るべき仲間がいる。俺の自分勝手な行動で仲間を危険にさらすことは絶対にできない。だから俺は我慢し村に残った。

そんな中、出会ったのがこの女だ。

この女にあって戦っているうちに俺は昔の感覚に戻れた気がするんだ。

戦闘を愛していたあの頃への感覚に。

だから俺は立ち上がって女の方を見る。

会った時は分からなかったが今この女を見れば分かる。俺と同じく戦闘がとてつもなく好きだっていうことを。


もし、俺が思っているお前ならばスキルが発動するまでの無防備な時間に倒すなんていう面白くない真似は絶対にしないだろう。だから俺はとっておきの切り札を使う。


《神狼纏い》


我らウルフ族を生み出した偉大な先祖の力を一時的に引き出すことのできるスキル。

俺はこのスキル昔使ったことがある。そんときはたった1秒発動しただけで3日寝込んでしまうほどであった。


だが、今の俺ならおそらく扱うことができるだろう。

女の方は予想通り攻撃してこない。


ならば俺が成功すればいいだけの話。

スキル発動時から、俺の体に纏い始めていた紫炎が全身に広がった。


ドクン!ドクンン!!ドクンンン!!!


心臓の鼓動が早くなる。

もって数十秒ってとこだろう。

最短で勝負を決めなければならない。


俺は全神経をこの女に向け一撃で仕留めることにする。

意を決して、俺は女に向かって歩き始めた。

女に近づき全身全霊を掛けた一撃をかましてやる。


もう少し、あと3歩、後2歩、後1歩。


この1歩を踏み出せば俺の攻撃が届く範囲になる。

当然この女も分かっているはずだ。分かっていて尚、俺の一撃を真正面から受け止めるために攻撃をしてこない。


俺は歩みを進める。


ついに攻撃範囲内に入る。

俺は一瞬の静寂の後に音を置き去りにし、紫炎に纏った爪を女の心臓めがけて放つ。




俺に戦闘の楽しさを思い出させてくれてありがとう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ