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1話 戦闘狂の少女は戦いを求め一千年後に行く


・・・一千年前・・・


深い森の中に、赤と白を基調とした戦闘服を身にまとい、黄金の髪を左右に少しずつ結んでいる可愛らしい少女がいた。


「私より強いやつはもういない……?」 


大きな岩の上に座っている私は、周りに這いつくばている瀕死状態の勇者パーティーを見ながら呟いた。 


突然だが、私は今とてつもなく落ち込んでいる。

何故、そんなにも落ち込んでいるのか?

原因は勇者パーティとの戦闘だ。

いや、厳密に言うとそれは戦闘ではなく蹂躙といった方が近いだろう。


一対複数であるにも関わらず、途中から一方的な展開になってしまったのだ。


「最強の勇者パーティーね…、どんなに楽しい勝負ができるのかと、ひそかに期待を膨らませていたのにさ。これじゃ周りに被害がでないように、わざわざこんな森の奥にまで来た私がバカみたいじゃないの」


自分と対等に戦える者がいないというのは、これだけ辛いものなのか。


 「ああ、ガチで暇。退屈しぎるわ。これからの人生どうしようかしら」


私は今16歳。そして人間の平均年齢はおおよそ80歳。

つまり、これから死ぬまでの約60年間、私は私よりも強いやつが現れない限り、ずっと暇な生活を送らなければならないのだ。


戦闘が大好きな私にとって、その生活は苦痛でしかない。


「本当にどうしようかしら」


私は過去一頭を使っているんじゃないかというくらい問題解決のため頭を働かせた。

しかし、まぁ答えはでない。


「よし!こういうときは仲間に頼るべきよね。リン起きてる?」


私はリンという仲間に話しかけてみる。

リンはこの世界にある最高難易度のダンジョンを攻略したときに、報酬として着いてきた最高位の妖精だ。報酬が最高位妖精だったことに驚きはしたが、仲間がいなかった私にとって良き話相手になってくれた。


『起きてますよ。何の用でしょう?』

 

 私より、ずっと幼い声が頭の中で響く。

この声は私にしか聞こえていない。

あと、基本的に妖精は姿形を持っていない。


「リンに質問なんだけどさ、この世界に私より強い者っている?」


『ミリーナ様より強い人ですか、ちょっと待ってください……ダメです。探してみたんですけど見つかりませんでした。……しかし、ミリーナ様がどうしてもって言うのなら強い者と戦える方法はあります』


リンは少し悩み、私にある提案をした。


『理由は不明ですが、約一千年後に最強の魔王が時代を超え転移してくるそうです。そこでミリーナ様も転移され、転移してきた魔王に戦いを挑まれてはと思うんです』 


ほう、意外過ぎる回答が返ってきたわね。

転移、魔王、最強。

面白そうな単語が沢山出てきた。


私はウキウキしながらリンに質問をする。


「転移か、私にそんなことできるの?」


『はい、できます。つい先ほどの勇者パーティーとの戦闘でミリーナ様の魔力量が一千年後に転移するために必要な魔力量に追いつきました。そして次の問題である魔法の制御ですが、わたしが制御するので問題ないです。つまり、ミリーナ様は魔力を放出するだけでいいのです』 


なるほど、その転移に必要な魔力が先ほどの蹂躙で入った微々たる量の経験値のおかげで集まったのか。ふむふむ。


「そうなのね、有難いわリン。ところでその転移して一千年後に行ったときは0から、つまり赤ちゃんからスタートなの?」


『いえ、今のミリーナ様の状態で行くことができます』


ふむ、都合の良いことに記憶や体はそのままで時代を跨げるらしい。

これでもし赤ちゃんスタートだったら最初の数年間が暇になっていたところだったから良かったわ。

まぁ、仮にそうなったとしても周りは自分より強いものしかいないということだ。

ということは勝負相手に困ることはないだろうし、一から己を鍛えるということもできるからそれはそれでありではあるのだが。



「じゃ最後の質問、なんで魔王が一千年後に転移してくるのを知ってるの?そして、何故それを今私に教えてくれたの?」


『……はい、妖精の中でも最高位であるわたしは他の者より魔力を感知することに長けています。なので、魔王が転移することは以前から知っていました。そして、ミリーナ様に今言ったのは先ほども述べたように、ミリーナ様の魔力が転移するだけに必要な魔力量に追いついたためです。わたしとしても、まさかミリーナ様がたった数年間でここまで魔力量を伸ばすとは思いもしなかったので、ミリーナ様に教えるのを完全に忘れていました」


「へ~、リンが予想していないレベルで私が強くなったってこと?それはちょっと嬉しいわね。っと」


私は転がっている勇者たちを踏みつけないように大きな岩から飛び降りる。

もし間違って踏みつけでもしたら、ただでさえ瀕死なのに今度こそ確実に死んでしまう。

さすがに勇者が女の子に踏まれて死にました、だと民衆に示しがつかないというものだ。



「よ~し、さっそく行くか」


『はい、それでは準備に入ります。ミリーナ様は全力で魔力を放出してください』


「了解っと言いたいところだけど、そのまえにこいつら遠ざけないとね」

 

 ここに居られて魔法に巻き込まれでもされたら面倒だ。


「《強制移動》」


私は勇者たちのほうに手を向け魔法を発動させる。

瀕死の勇者たちの真下には魔法陣が現れる。

そして次の瞬間には勇者たちはその場から消えた。


《強制移動》、自分より格段に劣る者もしくは相手が気絶しているときに限り、強制的に移動させる魔法。

この魔法が使われる場面は、戦かなんかで指揮官が部下を死なせないために使ったりするのが主だ。

移動先はあらかじめ現地に行き、移動ポイントを設定するかどこに飛ぶか分からないランダム移動の2パターンがあるが、基本的にランダム転移は使わない。もし転移先がモンスターの巣穴やどこかも分からない異界の地だったらほぼ百%で死が待っているからだ。もし、使うとしたら転移先のポイントを設定していなくて、かつ仲間が危機に瀕している時とかだろう。


ちなみに私はこの森の近くにある町の入り口に設定している。


今頃、勇者たちが瀕死の状態で町の入口に倒れているということで大騒ぎになっているだろう。まぁ殺さなかっただけ、有難かったと思ってね。


 

 「よし、これで良いわね」


勇者パーティをこの場から遠ざけ、今度こそ用が無くなったのでリンに言われた通り魔力を放出する。

 

 いつもは周りに被害を出さないために抑え込んでいたので、久々の解放感を味わうことになる。なんとも気持ちの良いものだ。

 

私の魔力はどんどん消費されていく。

それに伴い、無数の魔法陣が周りに生成されていく。

こんな量の魔法陣を見ることなど生きていて中々ないだろう。

もし大規模な魔法を初めて見る人がいるのなら、この光景は神秘的に感じるに違いない。

魔法陣が光輝いていくにつれ、私の意識は徐々に遠ざかっていく。

魔法の発動まで近いということだ。


そうして遂に魔法が発動する。

『魔法発動成功』

私の意識が飛ぶ瞬間リンの声が微かに聞こえてくる。


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