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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
vs.格闘家エリュプ

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5

 全身に雷撃を受けるエリュプが近くにいた1体のリビングアーマーを掴み、持ち上げ投げるが周囲が電撃で包まれている空間では磁場の影響もあって、上手く飛ばず失速して他のリビングアーマーに引っ付いて終わってしまう。


 拳を握り腕を引いたエリュプが魔力を溜めると、正拳突きを繰り出すと同時に溜めた魔力が解放され巨大な渦となってリビングアーマーたちを巻き込んで、サンダードラゴンをズタズタに切り裂く。


 一直線に抉れた地面と鉄くずとなったリビングアーマーと、影も形も無くなったサンダードラゴンを見て口角を上げたエリュプだが、ドンっと鈍い音と共に目を大きく見開き前のめりになる。


「アンカーショット命中! 起動正常……魔力放出確認! 成功です」


 画面に映るよろけつつも踏ん張ったエリュプが自分の背中に刺さった2本目のアンカーショットの存在に歯ぎしりをする。


 天井が揺れると2体の巨大なストーンゴーレムが落下してきて、拳をエリュプ目がけ放つ。


「ザコが!」


 エリュプの拳がストーンゴーレムの拳を腕ごと砕き、バランスを崩したストーンゴーレムの腹を蹴りで粉々に破壊する。そのまま後方にいたストーンゴーレムの首目がけ、蹴り上げ頭を粉砕する。


 次の瞬間エリュプの左肩に槍が突き刺さる。


「どうした? さっきよりも弱っているじゃないか」


 ニヤリと笑みを浮かべるシラントロと、驚いた表情をしたエリュプと目が合う。穂先を引き、蹴りを入れたシラントロに体勢を崩されたエリュプに槍の追撃が襲う。


 わき腹から血を流しながらも身を後ろに引いて槍の先端から逃げたエリュプを、地面から這い出てきた数十体のスケルトンたちとリビングアーマーが囲む。


「お前らのようなザコが崇高な戦いの場に居ていいわけがないだろう! 消え去れ!」


 怒鳴りながら拳と共に鉄球を振るうエリュプの腕に突然糸が絡みつくと、先端にある小さな灰色のナイフがエリュプの腕に刺さる。


 刺さったナイフから糸が離れると、灰色のナイフがボンヤリと光を放ち空気中に青い光を放出し始める。


「魔力が抜ける……これは呪縛の鎖と同じものか……」


 エリュプが目を見開き見つめたとき、別の方向からナイフが飛んできて肩の後ろに突き刺さる。


 慌てて後ろを振り返るエリュプだがそこにはスケルトンとリビングアーマーたちがいるだけである。


「よそ見とは余裕だな」


 背後から振り下ろされた、シラントロの槍を腕で受け止めたエリュプの太ももにナイフが刺さる。


「つっ!?」


 一瞬顔をしかめたエリュプに、シラントロが槍を連続で突き動きを封じる。

 さらに背中に2本のナイフが刺さり、エリュプの体から魔力を抜き始める。


「クソっ!」


 強引に放った蹴りについてきた鉄球が、スケルトンとリビングアーマーたちを砕いていく。


「らしくないな。精細さを欠いているぞ。ウェンスティーとの戦闘ではもっと生き生きとしておったではないか」


 シラントロが鼻で笑いながら突いた槍を避けたエリュプが振り上げた拳は空を切る。


 と同時に腕にナイフが突き刺さる。


「くっ、貴様らこのような卑怯なことを。正々堂々と真正面から戦え!」


「正々堂々? お断りだな。そんなことをしたら私たちが負けるからな、このままやらせてもらう」


「ふざけるな! こんな勝ち方で恥ずかしくないのか!」


「ないのじゃ!」


 叫ぶエリュプの肩に新たなナイフが刺さったとき、可愛らしい声と共に割れた空間からオレガノが現れる。


 両隣にナツメグとフェネルを従え、オレガノが大きな箱の上部から顔を覗かせる。


 カタカタと震える足を長めのスカートで隠し、両隣のナツメグとフェネルに背中を支えられるオレガノは、必死にエリュプを力を込めた目で見る。


「なんだお前は?」


「よ、余は愛らしい魔王! オレガノなのじゃ!!」


「愛らしい魔王オレガノだぁ? ふざけるな! 自分は強者である魔王オレガノと戦いに来たのだ! 貴様のようなガキが、神聖な戦いの場に立つ資格はないと知れ!」


 エリュプに怒鳴られて身を竦め震わせるオレガノを、自身も怖いのを必死で我慢するナツメグとフェネルが支える。


「ガキだから優しくしてもらえるなどと思うな。自分は弱くて、泣くだけの存在が一番嫌いなんだ。お前のように怯えて泣くだけのガキをどれだけ葬ってきたと思う」


 悪魔の形相で睨むエリュプの圧に、涙をボロボロ流しながらもオレガノが叫ぶ。


「お、お前のようなヤツを倒すため! 余はここに……ここに立っているんじゃ! お前なんて怖くないのじゃぞ! 余たちが倒してやるのじゃ!」


 自分に言い聞かせるように叫んだオレガノの持つ箱が光り輝き始める。それと同時に、オレガノの体から飛び出した、水と雪の結晶が箱に吸い込まれ一際強い輝きを放つ。


 広がった光が天井や地面に吸収され消え、その中心にマントをひるがえし腕を組んだ男が不敵な笑みを浮かべる。


「ぬはははははっ! 余が登場したから負けることなどないのじゃ! 勝ち確定なのじゃ!」


 魔王オレガノが口を大きく開けて笑うが、声は後ろで箱を持つオレガノから聞こえてくる。


「魔王オレガノ……力であふれている。これこそ、自分が戦うに相応しい相手だ」


 屈強な男に幼女の声がアテレコされるちぐはぐな状況など気もせず、エリュプは目の前に現れた魔王オレガノを喜びで満ちあふれた目でガン見する。

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