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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
激戦を終え固まる結束

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7

 大陸の中央にあるキュイーズと呼ばれる町に滞在する男女は、食堂の丸テーブルに対面に座っている。


 食事を終えて空になった食器が並ぶテーブルに足を置いて、椅子をゆらゆらと揺らす少女は、口にくわえたフォークを椅子のリズム合わせて揺らす。


「おい、カラミィーテ。なんで認識阻害の魔法を使ってコソコソ動かなきゃならないんだ?」


 黒い鎧を着た男、トルナードが不機嫌そうに尋ねると、深く被っていた魔女の帽子のつばを押し上げ目を覗かせたカラミィーテも不機嫌そうな顔で睨む。


「説明したじゃん。最近ガーゴイルの数が多くなってるから一応警戒してるって」


「ガーゴイルってあれだろ? なんだったか……あれだ! 大道芸の魔法使いモモとかの映像配信のためのヤツだろ。だったら警戒する必要ねえだろ。そもそも俺らに敵う奴なんて存在しないんだからどうでもいいだろ」


「まあそうなんだけどさ。それよりもトルナードは、魔法使いモモちゃんとやらの姿見た?」


 口にくわえていたフォークを手に取り、先端をトルナードに向けたカラミィーテが尋ねる。


「あ? 小さなガキだろ。それがどうした?」


「いやさ、モモちゃんって子、ティフォンお姉ちゃんが好きそうな子じゃん。この子が現れた時期と、やりたいことがあるって使い魔で連絡寄越して、そのまま音信不通になってる今の現状ってなんか引っかからないかっての? トルナードは気になんないわけ?」


 けだるそうに尋ねるカラミィーテを見たトルナードが吹き出して笑う。


「ぷっ、なんだつまり、そのモモってガキがティフォンをやったって言いたいのか?そんなことあり得ねえだろ。そもそもあのティフォンがやられるわけねえだろ。知ってるだろ、あいつ不死身だぜ。どーせどこかの町や村を襲って欲望の限りを尽くしてるんだろうよ。音信不通になるのなんていつものことだろ?」


「まぁ、そうだけどさ……」


 歯切れの悪い返事をするカラミィーテをトルナードがニヤニヤして見る。


「それにしてもお前意外に慎重なとこあるんだな。こんな補助系魔法も使えるなんて初めて知ったし、攻撃魔法をぶっ放すだけの脳筋野郎じゃねえってことに驚いたぜ」


 うひゃひゃひゃと馬鹿にしたように笑うトルナードを見て、不機嫌そうに頬を膨らせ口をへの字に曲げたカラミィーテはフォークを口にくわえ、再び椅子を揺らし始める。


 魔女の帽子を深く被り直したカラミィーテが呟く。


「何番目だったっけ……弱いくせに無駄に抵抗してくるくそめんどくさい星があったんだよねぇ……。似てるんだよね、この空気感がさ」


 小さな呟きは、トルナードがお腹を押えゲラゲラと下品な笑い声にかき消される。


「ちっ、この色ボケが。女の魔王を前にして視野が狭くなってるし。つかえねぇー」


 悪態をつくカラミィーテの文句もまた、トルナードの笑い声にかき消されてしまう。


 ***


 地の底からうねりながら盛り上がっては地下へと帰っていくマグマの流れをはるか上から見下ろすクミンとローリエ、アンジェリカにカルダモンたち。


「質の良いマグマだろう?」


「質が良いのかがよく分からないですけど、前回使用したマグマよりも活発に動いている感じはしますね」


 クミンが答えると頭にタオルを巻いたカルダモンが満足気に頷く。


「シラントロ様の協力を得て、いきのいいマグマを譲ってもらえたんだわい」


「いきがいい……ますます意味が分かりませんが」


「温度が高いってことですか? 前のダンジョンよりも粘土が低いというか、トロミが少ない気がします」


「おお! さすがローリエの姉ちゃんだわい! その通り温度が高いんだわ! これもシラントロ地方のマグマ移送技術と、温度管理技術を提供してもらえた結果だわい。あっちにも腕の良い技術者がいて勉強になったわ」


「……マグマを運ぶとお金がかかるんだろうなぁ」


 ガハハハと嬉しそうに笑うカルダモンの近くで、クミンがポツリと呟く。


 その内容に皆が目を丸くして押し黙る中、アンジェリカが口を開く。


「大丈夫よクミン! シラントロ様は優しい方だからかなり安くで、それはそれは破格の価格で移送まで行ってくれたわ」


「いや、お得とかそんな問題じゃありませんよね? なんでうち名義で借金が膨れてるかってことです!」


 ギロッと顔を近づけて睨むクミンに、アンジェリカが目を逸しながら下がる。


「ごめんなさいって、ダンジョン作るのもタダじゃないから、会社が自前でダンジョンを建設すると顧客が冒険者を取られるんじゃないかって苦情がくるの。だから一応の顧客の依頼ってことにしないといけないのよ。それに工事費用も経費で落とせないし、金融関係での信用問題とか色々あるのよ」


「だったら、うちじゃなくても!」


「ちょうど魔王オレガノ軍関係者の中でダンジョン作ってたし、クミンしかいなかったの。それにこの間のティフォン戦のダンジョン作成のときに書類に印鑑押してくれたから、その拡張ってことで手続きしちゃったの。許して! ね? ね? そうだ! この間撮ったとっておきのオレガノの写真あげるから!」


「いらない!」


「そんなこと言わずにね? 可愛いわよオレガノ。私のお気に入りの寝顔の写真もあげるから」


「ふん!」


 ムスッとして怒るクミンにタジタジになりながら必死に宥めるアンジェリカ。その後ろにいるローリエが心の中で呟く。


(クミンさんの怒り方……かわいい)


 クミンの新たな一面を見て、キュンとしてしまうローリエであった。

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