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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
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3

 口を押さえて思わず声を出してしまったローリエは、自分に集まった視線に気づきあわあわと慌てふためく。


「なにか気になることがあった?」


 クミンに尋ねられ一瞬戸惑いの表情を見せるが、意を決したのか大きく頷く。


「仮説の話になるんですけど、投影魔法を使って、サフランさんたちガーゴイルで各地にオレガノ様の姿を映し出すってことできないかなぁ……って思ったんです」


 ローリエが前置きをして発言した内容に首を傾げるオレガノとクミンに対して、アンジェリカが応える。


「できるわよ。ただそれをやる意味はなにかしら?」


「名前は偽ってオレガノ様を映し出してみたら他の人は気づかなくても、もしかしたら勇者たちは見抜けるかもしれません」


 ローリエの答えにアンジェリカが手をポンと叩く。


「なるほど、勇者たちがオレガノを今の姿にしたのであれば気がつくというわけね。でも、もし違うなら?」


「反応がないのなら名前を明かします。さらに魔王軍復活も宣言すればさすがに勇者たちも反応するかと」


 ローリエとアンジェリカが視線をぶつけ意見を交わし合う。そんな中、2人の会話を聞いて理解できたクミンが口を開く。


「オレガノ様を映し出すっていっても、なにを見せるの? 最初は名乗らないならなおさらなにをするのか思いつかないんだけど」


 クミンの質問にローリエがオレガノを指さす。ネギを頭に刺し両手にもネギを持っているオレガノは、皆の視線が集まってポカンと口を開けている。


「まさか……」


「ネギが必要かは別にして、オレガノ様が可愛い姿を見せればいいんじゃないですか。踊ったり、歌ったりをサフランさんたちを通して皆に見てもらうことで目的は達成できると思います」


「そんなどこぞの知らない女の子が突然映し出されて踊ったってびっくりするだけでしょ。興味持って見てくれるならまだしも、驚かして警戒されたら元も子もないと思うんだけど。それなら各地を回って大道芸でも見せた方が注目を集めれるし、警戒もされないんじゃない?」


「ちょっと待って!」


 今度はクミンとローリエの会話を聞いていたアンジェリカが手を広げ、2人の会話を遮る。


「待って、待ってて、今何か思いつきそうなの……」


 眉間寄せたしわを指で押さえ「待て」と言いながら手を広げ制するアンジェリカを皆が見守る。しばらく唸ってたあとアンジェリカがどこからか突然カメを取り出して上に掲げる。


「撮影強化型ガーゴイル、カメオくん!」


 アンジェリカに名前を呼ばれ、短い手足をパタパタさせるカメオくんが首を伸ばしてオレガノたちを見ると、恥ずかしそうにペコリと頭を下げる。


「サフランたちのように映写はできないけど、撮影の画質を上げ鮮明な映像を発信することができる子なの。つまり撮影特化型ね」


 説明しながらオレガノを手招きして呼ぶと、カメオくんの前に立たせる。さらにサフランを呼んでカメオくんと反対方向の壁側に向かせると、クミンたちを壁を見るように誘導する。


「オレガノさっきの可愛い踊りしてもらえる?」


「余は踊ればいいのかえ? 任せるのじゃ」


 オレガノがネギを持って踊り始めると、アンジェリカがカメオくんの甲羅に触れる。するとカメオくんの目が光り、続いてサフランが目から光を放ち、壁に踊るオレガノを映し出す。


「これは?」


 投影された壁で踊るオレガノを指さすクミンが尋ねると、アンジェリカは笑みを浮かべいつの間にか手に持っていた大きな紙をオレガノに向ける。それに気がついたオレガノが踊りを止めて、文字を目で読むと両頬に人さし指を当て満面の笑みをみせる。


「余はオレガノなのじゃ! 今から踊るからよーく見て欲しいのじゃ。楽しんでもらえたら使い魔のガーゴイルにお金を渡してくれると嬉しいのじゃぞ!」


 そう言って再び踊り出すオレガノを、サフランが映し出した映像で見るクミンとローリエは驚きの表情を見せる。


「芸を見せてお金を集める……これってつまり大道芸ってことですか?」


「ええ、そうよ」


 ローリエの質問にニヤリと笑みを浮かべ答えたアンジェリカが言葉を続ける。


「オレガノがなにをするかは脚本を作って突き詰める必要があるけど、表向きは各地にガーゴイルを派遣し芸を見せお金を集める。この方法における利点はガーゴイルを派遣した場所が把握できているから、勇者一行が接触してきた場合や見かけたときに場所の特定がしやすいこと。芸を見せるためにガーゴイルを飛ばすから、空を飛んでいても怪しまれることなく目視による視察ができることなどが上げられるわ」


 アンジェリカの説明にクミンとローリエが納得した顔で同時に頷く。


「みんな娯楽には飢えてて、新しいものへの食いつきはいいはずよ。注目を集めれてお金も稼げつつ、勇者をおびき寄せる……そうね投影魔法の送信による監視から見せる、つまりは送るから配るへ『配信』による娯楽を! 『オレガノの可愛さを全世界に届けよう大作戦』よ!」


 興奮気味に作戦名を宣言するアンジェリカをクミンとローリエはやや冷めた目で見る。


(作戦名がダサい。とくに大作戦とかつけるのが、なんか古臭い……)


(カルダモンさんのネーミングセンスと通ずるものがあります)


 嬉しそうなアンジェリカを前に2人は、思っていることを言わずにそっと心の中にとどめておくのである。

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