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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
ダンジョン完成は新たなお金の香り

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7

「ツ、ツーペア……」


「私はワンペアです……」


 クミンとローリエが自分たちの手札を出して、がっくりと肩を落とす。


「くっ、こんなところで負けてられない! ローリエ、もう一回!」


「は、はい!」


 熱くなるクミンの膝に座っているオレガノが、クミンに配られた二枚のカードとディーラーの切るカードをじーっと見つめる。


「クミン、今回は勝負できるのじゃ」


「これでですか?」


「余を信じてみろなのじゃ」


 不服そうに頬を膨らませるクミンがオレガノの言う通りゲームを進めていく。ちなみにローリエは手札がよくなかったので途中で降りてしまう。


「うわっ、数字がバラバラ……」


 中央にある5枚のカードが順にオープンされ、明らかになっていく絵札と数字、色を見て、眉間のしわを深くするクミンの膝をオレガノがパシパシと叩く。


「勝負なのじゃ。今回は多めに賭けるのじゃ」


「へ? ここで?」


「よく見てみるのじゃ」


 オレガノに言われ自分のカードと中央にあるオープンされた4枚のカードを見たクミンがなにかに気がつき驚き、そしてニヤリと笑う。


 最後のカードがオープンされた時点で残ったのはクミンとザ・お金持ちといった感じのよく肥えた男性。相手も自分の役に自信があるようで不敵な笑みを浮かべる。


「フォーダウンです。カードをオープンしてください」


 ディーラーの指示でザ・お金持ちが自分のカードを投げる。


「スリーカード」


 笑いながらクミンを見るザ・お金持ちだが、対するクミンが不敵な笑みを浮かべたことに一転して、のどを鳴らして息を呑み額に汗をかき始める。


 カードを指で弾いて上に飛ばすと、一枚ずつテーブルに並べたクミンがニヤリと笑いながら口を開く。


「フラッシュ」


 クミンの揃えた役に会場がどよめく。数字はバラバラだが同じ絵柄、つまり同じダイヤのマークで揃った役。全10種のなかで5番目の強さながら揃う確率は0.2パーセントという強い役に、それを知る会場は驚きに包まれる。


「ふふふ、うちの勝ちです」


 手もとにきたチップを手もとに手繰り寄せるクミンはニンマリと笑みを浮かべる。


「クミン、勝負は熱くなり過ぎたら負けるのじゃ。ほどよく楽しむことが大事じゃぞ」


「むぐっ、うちは別に熱くなっていません……」


「ふむぅ、そうかえ。ところで余はジュースが飲みたいのじゃ。あとアイスクリームも食べたいのじゃぞ。ちょうど勝ってお金も増えたことだし、ここらで休憩するのじゃ」


 オレガノの一言で外へ出て、出店でアイスとジュースをチップで買ったクミンがオレガノにアイスを手渡す。


「わーい! アイスクリーム好きなのじゃ!」


 先ほどカジノで見せた落ち着いた雰囲気とは打って変り、口の周りにアイスクリームが付くのも構わずかぶりつく無邪気なオレガノを見たクミンは、呆れながら笑う。


「冷たくて気持ちいいですね」


 アイスクリームを一口食べたローリエの言葉に、クミンも手に持っていた自分のアイスクリームに口をつける。


「ほんと、冷たくて気持ちいい」


 少しだけ削れたアイスクリームを見てクミンが微笑む。


「楽しいことは全力で楽しまないと損なのじゃ。だけども引き際も肝心なのじゃ」


 口の周りがアイスクリームでベトベトになって頬まで白いオレガノが語る姿を見てクミンが吹き出す。


「いいこと言ってる気がしますが、全然貫禄の無い姿ですね。オレガノ様は、ときどきお年寄りみたいなこといいますよね。貫禄ないですけど」


「2回も言わなくていいのじゃ!」


 手を挙げて怒るオレガノを見てクミンがまた吹き出す。そんな二人を見て笑いながらローリエがオレガノの口の周りをハンカチで拭っている。


「ちなみにだが……」


「うわっ、いきなり喋り出した。サフラン、寝てたんじゃないですか?」


 オレガノの頭の上でうずくまっていたサフランが突然喋り出したことに、クミンがわざとらしく驚いてみせる。


「寝てねーわ。それよりもクミン! マイナス135,000エン、ローリエはマイナス48,000エン。オレガノがプラス200,500エンだ。二人ともオレガノに感謝しろ。今回の予算額200,000エンを超えたらクミンの頭を突っついていたぞ」


「うっ……」

「ひえっ」


 マイナス組のクミンとローリエが小さな悲鳴を上げ、オレガノがふんぞり返って胸を張る。


「ところでオレガノ様はなぜそんなにギャンブルが強いのですか?」


「なんじゃろな? 余は昔からすこぶる運が良いのじゃぞ。なんとなく勝てるときと勝てんときが分かるのじゃ」


 ローリエの質問にオレガノが答えると、クミンが指を鳴らす。


「だったらその運でこのカジノでお金を稼いで、借金返済すれば良くないですか?」


 クミンが良いことを思いついたと提案するがオレガノは首を横に振る。


「ビビッときたとき、分かるときにしか分からんのじゃ。それに自分のために使おうと思ったときは大抵閃かんのじゃ。今もクミンが熱くなっておったから、どうにかしようと思ったら閃いただけじゃからな」


 オレガノの説明を聞いて、負けていたクミンはなにも言い返せずしゅんとする。


「まあまあ、今回はオレガノ様のおかげでプラスになって帰れるわけですし、カジノの雰囲気を満喫することができましたから良かったです」


 ローリエがまとめに入ると、賛同し頷くオレガノとクミンに対して、サフランが首を傾げる。


「そういえば、タラゴンのヤツはどこだ?」


 タラゴンの名前に全員がハッとした顔で見合わせる。


 そのあと、ルーレットで身ぐるみを剥がされてなおも諦めずに賭けるタラゴンが発見され、オレガノが1点賭けの一撃36倍の配当を叩き出し、タラゴンの借金を返済をする活躍を見せることになる。


 オレガノに泣きながら感謝するタラゴンを連れ、帰りの馬車も騒がしいオレガノ一行は帰路へとつくのだった。

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