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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
ダンジョン完成は新たなお金の香り

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6

 クミンたちはまず町の入り口にあるこの町だけで使える通貨、つまりはチップに交換する。


「白が500、赤が1,000、緑が5,000そして黒が10,000エンですか。小さいですし、なんだかすごく損した気がしますね」


「クミンの姉さんよ、ここではそのチップで賭けるだけでなく、食べ物から泊るところまで全て使えるんですぜ。大勝ちして、うまいもの食って、高い酒を飲み、豪華なホテルに泊まって次の日も稼ぎに行く。それらを円滑にやるのにチップはすごく便利なんですぜ!」


 小さなコインに変わったお金を不思議そうに見るクミンに、タラゴンが自慢気に説明する。説明を受けながらクミンはチップを指先で擦ったり掲げたりして観察している。


「これ、なにかの魔力を感じるんですけど。なにか術式が施されているんですか?」


 クミンの質問にタラゴンは指を鳴らしながらウインクをする。


「そこに気がつくとはさすがですぜクミンの姉さん! 偽造防止と、偽物判別、盗難防止、そして町の外に出したりできないように管理されているんですぜ」


 タラゴンの説明にローリエとサフランがチップを片目をつぶって見たり、振ったりして確かめている。オレガノは「そんなことすぐに気がついておったのじゃ」と胸を張って笑っている。


「さて、皆さんチップは持ちましたか? じゃあおいらについて来てください。張り切っていきましょうぜ! さー! えい、えい、おー!」


 拳を挙げテンション高く気合を入れるタラゴンとオレガノ。めんどくさそうに腕を上げるクミンと恥ずかしそうに斜め上に上げてしまうローリエ。意外とノリノリに翼を上げるサフランたちは一つ目の店に入る。


 店に入ると各テーブルに多くの人だかりができていた。


「ここは三つのダイスを振ってその合計、奇数か偶数かなんてのを予想して賭けるゲーム、シックボーってのが行われているんですぜこれが」


「合計? 奇数偶数? それが賭けになるんですか?」


 タラゴンの説明にローリエが反応する。


「凄く単純に見えるけど、意外に奥が深いんだなこれが。賭け方が沢山あるし、一度に多くの人が賭けられる上に進行が早いから、パパっと賭けて一気に儲けることも可能なんだぜ! ま、先ずはおいらの華麗なる活躍を見てくださいってもんだ」


 熱く語り始めたタラゴンがチップを数枚手にすると、近くのテーブルにある人だかりに紛れ込む。やや遠巻きにオレガノを抱っこしたクミンたちはタラゴンの様子を見守る。

 黄色のスーツにモヒカンという非常に分かりやすい姿のおかげで、オレガノたちは人混みに中でも見失うことなくタラゴンの行動を観察できる。


 黒いチップを4枚を緑のマットの上に書いてある『Big』の上にベットし、タラゴンがふっと笑みを浮かべる。


 テーブルにいるディーラーがベットを締め切りテーブルに並べた三つのダイスを客に見せると、カップの中に入れ振ってマットの上に置きスッと横にスライドさせカップを上げる。


「1、2、6」


 出目が読まれると、テーブルにいる客たちが喜びの声を上げたり、友人と手に持っていたグラスで乾杯を始めたりとそれぞれの喜びを表現する。逆に悔しそうにしたり、次の数字を予想し始めたりはたまた怒ったり泣いたりと様々な感情を見せる。


「まあウォーミングアップはこれくらいでと。次は……」


 出目の合計が9であり、大きい目11~17が出ると予想したタラゴンは負けたが、既に次の数字を予想し始めている。


「あの一瞬でタラゴンさん、黒チップ4枚ですから40,000エン負けてます」


「ギャンブルって怖いのね」


 ローリエとクミンが言葉を交わしていると、オレガノがクミンの肩を叩く。


「余もやってみたいのじゃ」


「オレガノ様はちっこいので賭けれませんよ」


「だからクミンが代わりにやるのじゃ。1、2、3に賭けるのじゃ」


「は? そんな数字出るわけないですよね。ルール理解しています?」


「バカにするじゃないのじゃ! ルールくらい分かるのじゃ」


 憤慨するオレガノを抱いたままクミンは白いチップを親指で弾いて、マットの上に描かれている1、2、3ダイスの目が描かれているマスに投げ入れる。


 クミンは子供を抱いているメイド姿の女性というだけでも目立つのに、無駄にカッコいいベットの仕方を見せた上に1、2、3の出目に賭けるというトリプルに目立ってしまう。


 当の本人は気にすることもなく、白のチップを賭けたことに不満を言うオレガノを適当に宥めている。


「ベットタイム終了です。ではっ」


 ディーラーの声に緊張が走る。ワクワクが瞳から溢れ、キラキラしているオレガノと冷めた目で見る対照的なコンビが見守る中、カップの中から出てきたダイスは……


「1、2、3、オッズ125倍でそちらのメイドさんに」


「へ?」


 クミンの元にチップが運ばれる。白いチップ1枚が黒6枚、緑2枚、白1枚になって返って来たことにクミン目を大きく見開き驚く。


「もっと賭けておったら、すごく増えておったのじゃ。クミンが怖がるから儲けが減ったのじゃ」


「こ、こういうのは調子に乗ってはいけないのです。冷静であるべきです。しかし……結構簡単そうですね」


 クミンはマットの上に描かれた賭け方のパターン見て呟く。


 ***


「ぬぬぬっ! 次は偶数! 間違いありません!」


 唸るクミンが緑のチップを偶数のマスへ投げる。


「3、4、6」


「くはぁ〜っ! おかしい、おかしいです! うちがこんなに外すなんてありえません!」


 クミンは怒りを露わにしながらディーラーたちを睨む。


「クミンさん、疑ってはダメです! ここは熱くならずに一旦外へ出ませんか」


 不正を疑うクミンをローリエが必死に諌めながら、外へと連れて行く。


「そ、そうだ別のゲームをしましょう。それがいいです。そうです! これは視察ですからたくさん見てみないといけませんからね。はい! 行きますよ」


 ローリエは不服そうなクミンを引きずりながら別のカジノの店へと入って行く。

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