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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
ダンジョン経営してみます

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5

 各フロアを監視できるモニターが並ぶ、いわゆる監視室を見てオレガノは目をキラキラとさせ、体をぴょこぴょこ揺らす。


「オレガノ様、魔王時代にダンジョン経営してたんですよね。現場視察とかしてこういう場所見たことあるんじゃないですか?」


「あるのじゃ。だけど、決まった場所しか連れて行ってくれんし、あっちを見たいって言っても「今は何もしてません」とか「整備中です」とか言って行かせてくれんのじゃ。会議室に閉じ込められて、部下が資料を読むのを聞くだけのつまらない視察だったのじゃ」


 そのときのことを思い出したのか、不満顔で両手を上げて怒るオレガノの姿を見て、クミンは吹き出す。


「なにが可笑しいのじゃ」


「いえ、前も言いましたけど、魔王だったころってもっと迫力があったのに、怒り方が可愛らしいのでつい……」


 ムスッと頬を膨らませるオレガノを見て、再びクミンが吹き出す。


「まあ確かに、ちょっと見た目に引っ張られてる感じはするわよね。私が会ったときはもっと威厳はあったような気はするわね」


「アンジェリカまで酷いのじゃ。余は余のまんまじゃぞ! そんなことよりもダンジョンじゃ! ダンジョン経営のやり方を教えてほしいのじゃ!」


 怒っていたかと思えば、クミンとアンジェリカの間を走り抜け、興奮気味のオレガノがモニターを指さす。

 そんな姿を見て、クミンとアンジェリカは目を合わせ笑みを浮かべる。


 ***


 ゲームのコントローラのようなものを持ったオレガノが、画面に表示されているアイコンを選び、出てきた項目を指さす。


「アンジェリカ! この『せり上がる階段』の下20センチ以下蹴り上げ分20センチずつ上がり、頂点は100センチってなんなのじゃ?」


「階段の段数が五段で、一段目は地面から20センチ、五段目は100センチ元いた場所よりも高い位置に強制的に連れて行かれるってことよ」


「なるほど、分かったのじゃ」


 口をやや尖らせて画面に夢中になるオレガノ横では、オレガノがアイコンを選択し、画面の地図上に配置するたびに増える、予算額の項目にあたふたする。


「できたのじゃ」


「予算額三千万オーバーですけどね……」


 満足そうなオレガノの横で、クミンはダンジョン制作予定合計金額の項目を青い顔をして画面を見つめる。


「そもそも地下一階しかないダンジョンって需要あるんですか?」


「そうね、初心者向けとして売り出せばそれなりにあるわよ。後々二階、三階と広げていけばその初心者たちがリピーターになってくれるかも」


「いや、リピーターって……それダンジョン的には損してませんか?」


 クミンの意見に、アンジェリカが首を横に振る。


「何度もチャレンジさせようって思わせることが大切なのよ。つまり攻略できるかできないかギリギリの難易度で突き放す。だけども時々甘いアメを与えるの」


「えぇ……アメを与えるってこちら側の損ですよね。奪い取って次の人を招き入れた方がよくないですか?」


「難易度が高いダンジョンは一部のマニアしか来なくなるわ。それよりもムチ八割でヒリヒリ感を与え、アメ二割で一瞬の快感を味合わせれば、立派なダンジョン中毒者の出来上がりよ。そんな奴らは、ダンジョンにロマンや一攫千金を夢見て何度でも来るわ。最終的には薬草をあげても喜んで帰っていくわよ」


「ダンジョン中毒者って……」


 アンジェリカがさらりと説明する内容に引き気味のクミンとは対象的に、オレガノが前のめりで手を挙げる。


「ダンジョン攻略に必要な道具や、魔物に有効な武器の配置はどうすればいいのじゃ?」


「それは、私に言ってくれれば、私達が手掛けるハヌマーン商会、人間の間ではアルムス商会と呼ばれる、武器や防具、道具屋や宿屋まで手掛けるお店へ手配するわ。そこで登録した武器や道具が買われて一回目の使用が、オレガノが作ったダンジョンで使われたのを確認したら、売り上げの二パーセントが、マージンとして支払われるの」


 アンジェリカの説明に、クミンがポンと手を打つ。


「なるほど、だからときどき特定の道具や高価な武器が、攻略に必須なダンジョンがあるのですね。納得しました」


「お金次第だけど、攻略情報って感じで、持っていると便利な道具や魔物に有効な武器なんかをそれとなく噂として流すことも可能よ」


「ダンジョンのことが違った意味で怖くなってきました」


 ダンジョンの秘密を知れば知るほど、頭を押さえて首を横に振るクミンの前にアンジェリカが立ち手に持っているものを手渡す。


「ゴーグル? これなんですか?」


 手渡されたゴーグルと、手袋を手に首を傾げるクミンにアンジェリカが笑みを浮かべる。


「それを使って、オレガノが作ったダンジョンをテストプレーしてもらえる? 二人しかいないんでしょ、クミンも手伝わないと」


「え、ええ。まあ……これでダンジョンをテストってどうやってやるんですか?」


「シミュレーター室にて作った仮想空間内を自由に動けるようになるわ。作ったダンジョンに不備がないか確かめるの。ちなみにこれ、一回のシミュレーションで30万ほどお金かかるんだけど、ダンジョン制作が初めてのお客さんってことで今回だけ無料にしてあげる」


 ウインクするアンジェリカに、生返事でお礼を述べたクミンは手に持っているゴーグルと手袋を見て不安そうな表情を見せる。

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