[EPISODE2]CHAPTER1-RAINY NIGHT
若干の性的な表現が含まれます。
その日の夜は酷く土砂降りの雨だった。
人工の光で照らされる雨は凍てつくほどに冷たく感じ、街の片隅で悪魔は涙を流す……。
◇
〔THE CITY|中央島|中央区|シークル二丁目|トーカイビル五階|PM 10:37|デンワガナル〕
【アルフィン・フォータス】と【二階堂春樹】が行為を終えて一息をついていた。ちなみに行為の結果、16対9でアルフィンの搾り取りで勝ち越しだった。
「ニカイドー……はぁ、はぁ……相変わらずケダモノすぎ……」
「アルの中が気持ちいいからな」
二階堂の言葉にアルフィンは顔を赤らめ、シーツに包まった。
◇ー◇
二階堂春樹 / ニカイドウハルキ / Haruki Nikaidou
性別:男
年齢:20代
職業:何でも屋
特記:元・中央区区役所職員
アルフィン・フォータス / Alphin Fortus
性別:女
年齢:20代
職業:何でも屋
特記:元・都市警察捜査官
◇ー◇
そんな時、事務所に置いてある電話が鳴り響く。二階堂は行為で疲れた身体を起こし、電話に出る。
「はい、アルニカ事務所」
『あ、ニカイドー君?』
電話の相手は女だった。
「【フィリー】か?」
『そうよ、ちょっと手伝ってほしいことがあって……今からこっちに来れるかな?』
「こんな時間にってことは厄介な奴だな……分かった。場所はオフィス?」
『ううん、北区の都市警察で待ってるわ』
「了解」
電話を切り、二階堂はアルフィンに向き直す。
「フィリーから電話があった、どうやら厄介ごとっぽいみたいだからこのまま向かう」
「分かったわ……私はどっかの誰かさんに体力を持ってかれたから少し休んだら連絡するわ」
◇
〔THE CITY|中央島|北区|ヴァレス三丁目|都市警察中央島北署地下・死体安置室|PM 11:26|ジョウホウキョウユウ〕
中央島北区ヴァレス三丁目にある都市警察中央島北署の地下にある死体安置室で電話の相手であるフィリーこと【フィリス・マーキュリー】は険しい表情を浮かべていた。
◇ー◇
フィリス・マーキュリー / Phyllis Mercury
性別:女
年齢:20代
職業:何でも屋
特記:元・都市警察中央島北署副署長
◇ー◇
「悪い、遅れたか?」
そこへ二階堂が到着する。
「大丈夫だよニカイドー君、すまないね」
「なに、これも縁だ。それでどんな厄介ごとなんだ?」
二階堂の問いにフィリスは顔を解剖台の方へ向ける。
「……酷いな」
二階堂は解剖台の方を見て怪訝な表情を浮かべる。そこには目から血の涙を流したような全裸の男の死体が横たわっていた。
「北区では直近一週間で同様の死体が七人ほど来てるわ。特徴は見ればわかると思うけど血の涙を流したような苦悶の表情を浮かべている。それに合わせて、北区で新型の麻薬が出回っている」
「麻薬?」
「ええ、その麻薬の通称は悪魔の涙。出所不明、製造拠点も不明とお手上げに近いわ」
フィリスは両手を挙げて降参のポーズを取る。
「当然、このあたりの麻薬売人とかも調べてるよな」
「それが、売人自体が殺害されて辿ることも困難よ」
二階堂は再び死体に目を向け、ふとあることに気が付いた。
「なあ、血の涙以外に共通点はないのか?」
「いえ、どうしたの?」
二階堂は死体の手首に指を指す。そこにはロープで縛られたような跡がクッキリと残っていた。
「どうやらただの新型麻薬ってだけではないみたいだ」
「ちょっと待って、少し確認したいことがあるから」
そう言ってフィリスは死体安置所を後にする。
◇
少し経って、フィリスが戻ってきた。
「お待たせ、この死体の男。都市警察の潜入捜査官だったわ」
「名無しの権兵衛ではなくなったか。潜入捜査官となると捜査資料がどこかにあるはず」
二階堂の言葉にフィリスは小さく頷く。
「そうなるとこの男の拠点を探す必要があるな……ここまで来たからには付き合うぜ」
「ありがとう」
新エピソード突入!
今回は短くまとまる……といいなぁ……。