[EPISODE1]CHAPTER2-REQUEST
〔THE CITY|中央島|中央区|シークル二丁目|トーカイビル五階|AM 8:13|ライホウ〕
ドアベルの音がチリンチリンと響き渡る。
「いらっしゃ……ってなんだ、メイベルか」
応対に出た二階堂は、来訪者の姿を見てゲンナリした。
来訪者の名は【メイベル・リン】。二階堂とアルフィンの顔馴染みだ。
◇ー◇
メイベル・リン / Mabel Ling
性別:女
年齢:20代
職業:情報屋 兼 ハッカー
特記:元・台華国軍情報部情報官
◇ー◇
「ニカイドー、やっほー」
「何がやっほーだ。まーーーーーーーーーーーた厄介事でも持ち込んできたんだろ?」
「ニカイドー、なんでそんなことを言うの?」
メイベルの抗議に対し二階堂は溜息をついた。
「前例が多すぎんだよ、ぜ・ん・れ・い・が」
二階堂はモンゴリアンチョップをメイベルにかました。
◇
〔THE CITY|中央島|中央区|シークル二丁目|トーカイビル五階|AM9:47|イライナイヨウ〕
カップに注がれたコーヒーを啜りながらアルフィンはジト目でメイベルを見やる。
「で?」
「だから依頼だよぉ、い・ら・い」
メイベルはショルダーバッグから一通の封筒を差し出す。
「元市警捜査官のアルーと一セントの暗殺者のニカイドー向けのね」
二階堂は封筒の中身を取り出す。数枚の調査報告書と写真が入っていた。
写真には女性の死体が写されていた。
「非道い……」
二階堂から渡された写真を見てアルフィンは怪訝な表情をあらわにする。
「で、目星は付いていないのか」
調査報告書を目に通していた二階堂はメイベルに問う。
「残念ながら。市警の方もお手上げ状態。犯行現場はいずれも都市防犯システムのカメラに映らない死角ばかり、周辺のカメラ映像でも顔がハッキリと映らない周到さ、手慣れた屑よ。アルーの後輩が私という代理人を通じてあなたたちに伝えるほどよ」
コーヒーが入っていたカップの取っ手にひびが入る。
「やっぱ面倒事じゃねーか。アル、気が乗らないなら俺だけでやるが」
二階堂はアルフィンを見やる。アルフィンの顔は怒りで満ちていた。
「大丈夫……むしろ腸が煮えくりかえるほどだわ。女の敵には去勢が必要よ……メイベル、引き受けるわ」
アルフィンは都市警察時代から愛用する拳銃【USP9】のスライドを引く。
「だな、俺も承った。メイベルは引き続き情報収集をよろしく。何か分かったらメールを送ってくれ」
二階堂もアルフィンと同調するように怒りを滲ませる。
「わかったわ。それとアルーの後輩には私から連絡するけど最新の捜査状況はそっちに聞いてね」
EPISODE1のCHAPTER2です。
一応EPISODEは起承転結の四話構成で行くことを意識しているけど難しいな。
ノリとしてはトムとジェリーとかのカートゥンのような一話完結スタイルでって思ってるけど……
無駄に風呂敷が広がるのを防がないとなぁ……