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第二章☆割れる

「本日2時頃塔京地方で空振がありました」

ニュースがどこからか聞こえる。

僕はやっとの思いで帰宅した。

「こーし!帰ったの?」

おばちゃんが呼んでる。

「ただいま」

「なんだい、元気ないね?帰るのも遅かったから心配したよ」

「うん」

「今日のなぞなぞ。かけたりわったりできるけど、たしたりひいたりできないものはなあに?」

「ガラス」

「なんだい?即答かい?」

おばちゃんが焦っている。

「答えは陶器とかお茶碗。もちろんガラスでもOKだよ」

「……」

「なに?」

「僕が割ったんじゃないんだ!」

「なにを?……ガラス?」

「そう!今日廊下を歩いてたら、バン!って音がしてバリンと窓ガラスが割れたんだ。そばに僕がいたから僕がガラスを割った犯人扱いされて」

ぐうっ。こみあげてくる、我慢していた感情。僕は涙をぼとぼとこぼした。

「こーし!あんたは絶対そんなことしない子だ。おばちゃんがよく知ってる」

「あり、ありがと」

ひっく、ぐす。

「あんたを疑った先生はなんて人だい?」

「数学の板垣先生」

おばちゃんは自分の携帯をとりだすと、僕の通ってる中学校に電話した。

「すみません。うちの公司がガラスを割ったと板垣先生がしかったそうですけど、犯人は別にいます」

「えっ?」

「今日の午後、空振があったのをご存知ですか?空気中を振動が伝わる現象なんですけど、場所によってはそれでガラスが割れることもあります」

応対していた事務の人が職員室に連絡して板垣先生を呼んだ。

「公司かわって」

「え」

受話器越しにさっき学校でガミガミ言っていた板垣先生が申し訳なさそうな声でごめんな、と言った。僕はとても嬉しかった。

「はい、はい、ええ。そうですね。はい。失礼します」

携帯をおばちゃんに返した。

「疑いが晴れたんだね。良かったよ」

「ありがと、おばちゃん。でも、空振ってなあに?」

「どこかで火山噴火とかの爆発があったんだろうよ」

「大丈夫なの?」

「ニュースを聞いて待ってるところさね」

ほどなく、たたら山の火山活動が再開したというニュースが流れた。

けっこう家から近いけれど、当面の心配はいらないようだった。

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