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7歳になったアリアローズは、魔力測定を受けるため、家族と共に王都の中央教会に来ていた。

入り口で本人確認をした後、礼拝堂に入り、家族と座って待つ。名前を呼ばれたら前に出て、神官の前にある大きな水晶の上に両手を置くと、水晶が光を放ち、その放たれる光の色によって魔力量を知る事ができる。

白→黄色→青→紫→赤の順で魔力量が多く、アリアローズの手の下で水晶は紫に輝いた。

周囲が一瞬どよめいたが、公爵令嬢の魔力量が多くても あまり意味が無いとばかりに、すぐに皆落ち着いた。


帰りの馬車の中、

「リア、凄いじゃないか!紫の光を出すなんて、お父様、ビックリしたよ」

「僕なんて青でも凄いって言われたのに、リアはもっと凄いよ。 今夜はお祝いだね」

「ほんとね。ユーリスの青も綺麗だったけれど、リアの紫もとても綺麗だったわね。リアがこうして無事に魔力測定を終えられてほんとに嬉しいわ」

「リア様の光。ほんとうに綺麗でしたね。紫を見たのは初めてです。有難い事ですね。帰ったらすぐにお祝いの支度をしましょうね」

皆が喜んで褒めてくれ、アリアローズはとても嬉しかった。


(これで魔法の話ができるようになったわね。でも、お父様は許してくれるかしら?)


アリアローズは早く魔法を勉強したかったが、父に何と言ってお願いしようかと馬車の中で考えていた。


屋敷に帰ると、待ち構えていた皆が次々水晶の色を聞き、喜んでくれた。マーサはすぐに厨房に行き、料理長にお祝いの話をすると、厨房の皆も喜んでお祝いの準備を始め、紫色のケーキを作ってくれた。

夕食は豪華なものになり、紫色のケーキもとても美味しかった。


食事が終わり、4人でお茶を飲んでいる時、アリアローズは父にお願いしてみた。


「お父様、私、魔法のお勉強をしたいの。せっかく紫の魔力量があるのだから、勉強して、魔法師になりたいの。だめかしら?」


一瞬時が止まったかのようだった。しばらくしてから父が言った。


「リアの気持ちはよく分かった。我が家だけでなく、貴族のこどもは狙われやすい。

2人には常に護衛を付けているが、2年前にユーリスが水晶を青く光らせてから、魔塔に依頼してグレイに来てもらっている事はリアも知っているだろう?

今日、リアも魔塔に登録されたはずだ。

身を守るため、リアも魔法を習うのは構わないよ。

だが、リアはまだ7歳。急いで将来を決める必要はないだろう?

みんなより少し魔法が使える可愛いお姫様のままでも良いのではないかな?」


「リア、お父様のおっしゃる通りゆっくり考えましょ。魔法が使えるようになったらお母様にも見せてね」


 お母様が笑顔でウインクする。

魔法師は栄誉ある職業ではあるが、貴族の令嬢は働く必要がない。増してや、国内で最も家格の高い貴族、バルトレイ公爵家の令嬢には考えられない事だった。


反対されて、魔法を勉強する事は出来ないかも知れないと覚悟していたアリアローズは、両親の優しさが嬉しくてたまらなかった。


(やっと魔法の勉強ができる)


「お父様、お母様、ありがとう!」

いつの間にか嬉しくて零れた涙をユーリスが優しく拭いてくれた。



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