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22 前世 ( 3 )

翌日、魔塔主は王子と一緒に馬車で王宮に向かった。

王宮に入るとすぐに宰相の出迎えがあり、王の待つ部屋へと案内された。そこは王の私室で、魔塔主はセグルスが、分かっていて自分を私室に呼んだ事に気付き堪らない気持ちになった。


「セシル、久しぶりだな」


「久しぶりだな、セグルス。アレンはちゃんと届けたから安心してくれ」


「アレンが世話になったな。昨日オリビアにセシルが来る事を伝えたらとても羨ましがられたぞ......」


セグルスが明るく振る舞っている事が分かる。

向かい合って座り、笑顔で言葉を交わす2人の前に紅茶の入ったティーカップが置かれると王の視線を受けて皆が下がって行った。


すると王は真剣な表情になり紅茶を1口飲んでから言った


「聞かせてくれセシル、アレンの事か?」


「そうだ。アレンには操りの魔法が掛けられている」


「なん……アレンが…」

王は驚き言葉に詰まった。


「そうだ。間違いない。セグルスも知っての通り、あの手の魔法は解除するのに何年もかかる事が多い。だが、アレンの場合、既に掛けられてから何年も経っている」


「では解除できるのか?」


急かせるように王が聞いてきた。魔塔主は少しでも安心させるようにゆっくりと言った。


「解除できる。操りの魔法は強力だが、掛けられてから何年も経っている事と、アレンの心が魔法の言葉に抗おうとしたのだろう、それが頭痛の原因だが、そのおかげで魔力は弱くなっている。

すぐに解除するのは難しいかもしれないが、必ず解除できる」


「アレンに魔法が掛けられたのが何年前位の事になるのかセシルには分かるか?」


「5年、いや6年か。それ位前に掛けられたはずだ。少しずつ魔力が弱まったところにアレンの心が魔法の言葉に抗おうとして、頭痛が酷くなったようだ」


「そうか、解除しなければ頭痛も治らないということか……操りの魔法に掛けられた者は解除された後は正気を保つ事が難しいと聞いている。アレンはもう…」


王は顔色を失い、既に終わった事を話すように呟いた。

それを見た魔塔主は王に近付き、肩に手を置くと力を込めながら言った。


「セグルス!しっかりしろ!大丈夫だ。アレンは俺が助ける。だからお前はアレンの事を調べろ。急に眠ってしまった事はなかったか。急に親しくなった奴はいないか。何でもいい。手掛かりを掻き集めるんだ。

セグルス、お前だってアレンに魔法を掛けた奴を許す事は出来ないだろう?」


王の目に光が戻るのが見えた。


「そうだな。セシルの言う通りだ。すぐに調査を始めるから安心してくれ。息子を頼む。オリビアには私から伝えておくよ」


「すまない、セグルス。

5日後にアレンを魔塔に来させてくれ。解除には時間がかかると思うから付き添いは要らない。全てこちらで準備するから荷物も少なくて大丈夫だ。終わったらまた連絡する」


そう告げると魔塔主は帰って行った。


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