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操りの魔法を解除する方法は3つある。


1つ目は、掛けられている人を殺して解除する方法。


2つ目は 、掛けられた様々な魔法を解除する時に使われる『解除の魔法』を使う方法。


3つ目は、掛けられた魔法の上から、操りの魔法を掛けて解除する方法。


1つ目は許されない事だが、この方法で解除された事がある。


2つ目は掛けられた魔法が強い力を持っている場合、解除するのが難しい。

特に人の心に掛ける魔法は掛けられてすぐが1番強い力を持っており、時が経つに連れて徐々に弱まっていく。

掛けられてすぐの魔法を解除する事はほとんど出来ないのだ。魔法の力が弱まるのを待ってから『解除の魔法』を掛ける事になる。そのため、掛けられた人は解除できるようになるまで何年も眠らされる事もあった。


3つ目は、操りの魔法の効果を掛けられてからすぐにでも打ち消す事ができる唯一の方法だが、操りの魔法の薬を作る方法は『魔塔法』によって厳しく管理されていた。


魔塔主は前世を思い出してから少しずつ操りの魔法を研究していたが魔塔主になり、魔塔の全てを管理するようになると、初めて操りの魔法の事が書かれた禁書を手にすることが出来た。


その本には薬の作り方も書かれていたが、古い言葉で書かれていたので、読むのも大変な上に、材料の中に手に入りにくい物があったりで作るのに何年もかかってしまったが、やっと完成する事ができた。


完成すると魔塔主はすぐに王子に

『2人で話したい事があるのだがいつなら良いか教えてくれ』

と書いて伝令を送った。


すると返ってきた返信は2通あった。一通はセグルス王からのもので、明日昼前に来てオリビア妃と3人で昼食を食べようと書かれていた。


もう一通は王子からの返信で、明日の午後は執務室に居るので昼食後においでくださいと書かれていた。


(セグルスの嬉しげな顔が浮かぶようだな)

魔塔主は明日の事を考えると、何だか楽しくなってきた。


翌日、王宮を訪れた魔塔主はセグルス王とオリビア王妃と3人での楽しい昼食を終えた後、王子の執務室を訪れた。


トントントン


「セシルだ。アレン王子に会いに来た」


「ようこそお越しくださいました魔塔主様。どうぞお入りください。アレン様がずっと待っていたんですよ」

扉を開けてくれたユーリスが嬉しそうに言う。


「ユーリスは卒業したらいずれはアレンの宰相になるという事だな?」


「そうなれる様、父に習って勉強しているところなのです」


「ユーリスなら間違いない。アレンもそう思うだろう?」


「もちろんです。ユーリスはとても優秀で、私が教えてもらっているくらいですからね」


3人で楽しく過ごし、そろそろ帰ろうかという時、魔塔主が申し訳なさそうに、アレンと2人で話したい事があると告げた。


ユーリスは快く退室し、それを見送った魔塔主は執務室に魔法の痕跡が無いことを確認すると、遮音の魔法を掛けた。


「遮音ですか。セシル様、何かありましたか?」


「これから大事な話をするから用心のため、掛けさせてもらった」


「セシル様が急に来ると聞いた時から何かあるとは思っていました」


「アレン、これから俺が言う事はおかしな事だが、とても重要な事だから、よく聞いて覚えて欲しい。

『何かを口にした後、気が付くと眠ってしまっていた。眠る前の記憶が曖昧で、なんで眠ってしまったのかも全く分からない』

そういう事があったらすぐに俺を訪ねて来い。夜中でも構わない。

この事は何かに書いても誰かに話しても駄目だ。必ず覚えておいて俺の所に来てくれ。頼んだぞ」


「何か食べたり飲んだりした後、訳も分からずに眠ってしまった時はセシル様の所にすぐに行けばよいのですね?」


「そうだ。自分では大したことはない。眠かったのだろうと思っても、他人の前でなぜ眠ってしまったのか不思議に思うはずなんだ。その時は必ず俺の所に来てくれよ」


「分かりました。約束します」


「約束だぞ」


魔塔主は遮音の魔法を解くと、王子とユーリスに挨拶をして帰って行った。


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