崩壊の兆し
「「おはようございます」」
私たちは元気よく教室に入って支度を始める。
今日はちょっと男子が騒がしい。
「おはよう!」
「あっ、綾ちゃんおはよう!」
「ねぇ今日朝会だよ、噂によると転校生が来るらしいっていう話なんだけど」
「この頃に転校生なんてこないでしょ。もう夏休み1週間で始まるよ」
「私も真木ちゃんのいう通り、男子たちのデマでしょ。男子っていそういうところあるし」
「だよねー」
男子が騒がしい理由はこれだったのか。なんでこんなデマ流して、楽しいのかな?
いやまぁ、まだ転校生が来る可能性もあるし、できれば来て欲しいけどね。
「あっそろそろチャイムが鳴るから座って待っていよ」
「じゃあ」
『キーンコーンカーンコーン』
「皆さんおはようございます。」
「おはようございます」
「今日は時間割に変更が……」
あっ、先生の話を聞いている風に見せて、みんな手紙を回し始めてるぞ。
確かにこの先生、話が真面目で無駄に長いから私も嫌いだけど手紙を回すのは流石に少し失礼だと思うが。
こんなこと考えているから私たち3人に手紙が回ってこないのかな?チクると思われているのかもしれない。
「また、今日は朝会があります。用意のできた人から外に出て並びましょう。分かりましたか。」
「はい!」
返事だけはちゃんとして。
「では話は以上になります。」
「行こう!真木ちゃん綾ちゃん」
「うん行こう!転校生が来てくれるかもしれないしちょっと楽しみだな」
「あれ、その話信じてるの?」
「まぁ普段よりは楽しみだなぁ」
話しながら私たち3人は階段を降りていく。
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「進行はどうだ」
「手筈通りいっています。」
「了解。転校生の噂はどれぐらい広めた?」
「学年全体に広まっています。他の学年は興味があまりないようです。」
「じゃあ、なんかゲーム世界1位とか適当な嘘で興味を引くぐらいの工夫はしろよ使えねぇなぁ!」
「申し訳ございません。」
「じゃあ計画通り進行してくれ、くれぐれも失敗するなよ」
「はい。」
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「何か職員室の方から転校生ってさっき聞こえてこなかった?」
「確かに聞こえた。転校生が本当にいるのかもね!」
「まっさか〜いないでしょ」
「転校生がいて欲しいという欲が生み出した幻聴ということか……」