お化け屋敷に挑む
「よう、久しぶり」
正雄が茂に言った。
「GW以来か?」
茂が応じた。
俺達は今、「お化け屋敷」と呼ばれている村の外れの一軒家に行こうとしている。
「本当に出るのか、そこ?」
壮太が言った。すると正雄が、
「らしいぜ。俺のバスケの先輩の友達が追いかけられたって」
「まさか!」
俺は驚いて言った。慎吾が、
「マジでやばいらしいですよ、そこ。俺、帰りたくなって来たなあ」
「相変わらずのビビリだな、慎吾?」
からかうように茂が言った。慎吾は剥れて、
「ビビリじゃねえよ! 何だよ、その言い方は!?」
「そんなに怒るなよ、慎吾」
正雄が仲介した。
「とにかく行ってみようよ。ここで話していてもラチが開かない」
俺がそう提案すると、
「そうですね」
と壮太が同意した。
やがて俺達は噂の「お化け屋敷」のすぐそばに着いた。
「うひー、確かに凄く出そうな外観だな」
壮太が言った。俺が、
「そうか? 何も感じないけど」
「いや、すっげえ気持ち悪いっすよ。俺マジやばいかも」
茂が寒気を感じたように身を震わせた。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ。戻った方がいいよ」
俺は茂の変貌振りに気づいて言った。
「そうみたいですね。茂、車に戻った方がいい」
正雄もそう言った。
「あれ?」
その時正雄と壮太、慎吾と茂が顔を見合わせた。
「あのさ、お前らの先輩じゃないの、そちら?」
慎吾がブルブル震えながら尋ねた。壮太も蒼ざめて、
「ち、違うよ。お前らの先輩かと思ってたぞ」
4人が一斉に俺から離れた。
俺はニッとして言った。
「ようこそ、我が家へ」