【詩物語~うたものがたり~】待宵の道 ~ランゲ作曲「花の歌」に寄せて~
町あかり
月は冴え 星たちはさやけし
枯れ葉さえやわらかに
虫たちの恋を
町あかり
月おぼろ 星たちは眠れり
白き花やわらかに闇に寄り添う
流れ行くまろやかな小川の岸辺
誘われ 影消ゆ
月のまにまに
合歓の木やさしく
愛しさも寂しさも 月の夜に溶けませ
木の葉擦れ通り抜け
家路を行く
* * *
さだめゆく 魂の輝きが尽きるとも
永遠の眠りに幸あれと
野辺の花に託そう
夜ごと涙の痛みは薄れゆく
知らぬ間に
記憶さえ苗床に 命は続いてゆく
* * *
悲しみも憧れも 月の夜に溶けませ
木の葉擦れ通り抜け
家路を行く
ドイツのピアニスト グスタフ・ランゲ(1830-1889)が作曲したピアノ曲「花の歌」に歌詞をつけてみました。
ぜひ曲を再生しながらご鑑賞ください。