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古代魚

作者: 春風 月葉

 何をするわけでもない。何もせず、停滞を好み、それを安寧と呼んだ。加速する世界に置き去りにされても、やはり歩調を合わせることはない。ただその場に留まり変わらずにあろうとする。

 変わらずに生きていても自らを取り巻く環境は変わる。変化を望む者は次々と離れていった。それでも自分が変わろうとしないのは、変わらぬことを選んだからなのか、変われぬだけなのか。考えるだけ無駄な言葉遊びだ。

 残酷な時間は静かに私たちを枯らしていく。望まずとも、人はかわる。変われなかった自分には、常に変わり続ける者たちの光は眩しすぎた。変化から目を背けて逃げ出せば、そこは暗くて深い海の底。ここには光も差し込まない。もう、眩しくはない。

 青年であった日から、あの頃の輝きを忘れられずにいる。それがまだ自分の中で燃えているのだと信じることで、変わらぬ自分を肯定している。あの頃を捨てることができずに、取り残されている。ただ、過去の自分に縋っている。

 いつまでも心だけが止まった時間の中にある。身体は老い衰えていく。かつての仲間たち、過去の姿は思い出せても、今の彼らを知らない。合わなくなってもう久しい。

 あの頃のようにもう一度。そう願っても、今の自分には遠くの光を見上げることしかできなかった。

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