転職ハローワーク(仮)
「はぁ良く寝た」
朝日というより昼の日差しを浴びながら、簡易的に作った藁ベッドを隅に片付けた。
そして気持ち良くドアを足蹴りしてから颯爽とギルドに向かう。
もといた地球での俺のお気に入りのジャージに憂鬱な眩しい光を当てながら。
いつもなら俺は裏口から入って制服に着替えて接客やらするのだが、それももう違う。
そう!俺はこの忌々しいギルドから遂に辞めることができたのだ!
理不尽な上司からパワハラを受け、尚且つ給料も低いし労働基準法もクソ食らえって感じの所なんだが、
今日はギルドの西側にあるグラウンドに用があって来た。
理由は2つ、1つ目は炊き出し。川原者・・・・・・簡単にいうとホームレスのために毎週5回、ギルドが自主的に
行っているものなのだが、俺は今、絶賛職無しニートである。
一応、冒険者という形だけの職には就いてはいるものの、皆昼間っから酒ばっか飲んでて冒険をしようとは
誰も思っちゃいない。
なので後先考えずに、金を使いきる奴が良くいるのだとウザい上司も前に言っていた。
そんならクエスト・・・・・・依頼をこなせば良いじゃんと思ったのだが、ここはなんと中央都市フィルムライト。
俺がたまたま運悪く飛ばされた異世界始まりの土地である。
そして中央都市だけあって、冒険者の上位互換的な存在である王、直属の『騎士団』が街に近づくモンスターどもをボコボコにしてくれてんだと。なので、モンスターがほとんどいないため冒険者も仕事がない。
仕事がないということは金も手に入らない。嫌な無限ループだよ。
ゲームとかで見たモンスターで溢れる自然豊かな世界はどこにいってしまったのだか。
こうなら地球温暖化・・・・・・いや異世界温暖化は間違い無しだな。
森林伐採も沢山やってるらしいし。
ともかくだ、『騎士団』のせいで金がない奴・・・・・・まぁ俺もだけど、
炊き出しには結構参加してるという訳なのだ。
一気にこの世界はゲームだと思ってたりした俺の心を吹き飛ばしたり・・・・・・
そして2つ目だがコレが一番重要だったり・・・・・・
そう!仲間の勧誘である。俺は今まで、ここら辺りで一番弱いとされる『スライム』と戦ったりしてるのだが
あの有名某RPGゲーム・・・・・・俺が転移先を決める時に見てしまった・・・・・・青い惑星、最後の記憶でも言うべきか、
そしてそのドから始まりトで終わるゲームのスライムと外見がほぼ一緒なのだ。
あの特徴を持った丸い目、そして極めつけのあの形・・・・・・雫とか水滴みたいな形ね。
その特徴がほとんど一致しているのだ。
違うのは普通スライムって水色を連想すると思うんだけど、
こっちの世界は一体・・・・・・いや、一匹一匹色が違うんだよ。
赤とか青とか黄色とか。前、上司・・・・・・レイに聞いたんだけど何でもココのスライムどもは人間達が知っている色より多いんだとよ。意味不明な発言だが、こういうことらしい。
つまり、スライムは人間が作ってきた・・・・・・発見してきた色より知っている数が多いらしい。
おかしいよな。だって人が確認した色意外色って言わないと思うんだけど。というか、トンボみたいな感じ?
動物って人間と見ている色とは違うとか言うし。
まぁ、俺が考えても無駄な事だし。勉強なんてクソ食らえっていいながら教科書をフリマに出したこの俺に科学とか
違う世界の話の事だから。多分・・・・・・。現実逃避じゃないからな。勘違いするなよな。
和訳して『龍の探求』のスライムとこの世界のスライム。
似て非なるものなんだけど、ほとんど同じだろう。
だって攻撃も突進とかあの有名な『スラ・●タック』みたいな突進の速いverとかしか無いし。
倒すのも簡単だったんだけど、それは賭者のスキルじゃなく、他の冒険者から見よう見真似で覚えたほぼ自己流の
剣技だし。賭者のスキルとは完全賭けのスキルやそれを手助けするスキルしかないのだ。
この中央都市では賭者はただのネタ職業だの人生捨てた奴とか言われてるし、こんな職業になろうと思う奴がそもそもいないのだ。それを俺は転移したての頃は苦しんだものよ。スロット、ポーカー、ルーレット、ブラックジャック
などなど・・・・・・。そして手助けするスキルは『絶対交渉継続条約』・・・・・・絶対に相手に約束を守らせるらしい。
それが出来なかった場合は、冒険の書によると体の穴という穴から謎の液体が分泌する・・・・・・らしい。
このことを事前に話すと皆約束を守るんだよなぁ。そのせいでまだ試したことがない。
試すとしたら、男だな、こりゃ。
そして二つ目、こちらは至ってシンプルな『イカサマ力向上』。単にイカサマをしやすくすらしい。
それにコレは強化できるらしく自分の有り金を注いでいくと、とてつもなく強くなるって
Goog●e先生並みの力を持つ冒険の書に書いてた。スキルはコレで全部だけど、思ったことが2つある。
1つ!賭者は負け組職業である!
2つ!
やはりこの世界も金がものを言うんだなぁ・・・・・・。はぁ。