この感触は、きっと剣
「マサツグ君、落ち着け!!
現実に帰れなくなるぞ!!!!」
そう呼びかけながらも、俺にはもう解っていた。
彼にはココしかないのだ。
少なくとも『現実』には彼の居場所は無かった。
しかし、彼が異世界と呼ぶこの空間だけは…
彼を許容した。
もうそれでいいじゃないか。
ああ、そうだ。
確かにこれは幼稚な妄想遊びに過ぎない。
だが、誰に彼を責める権利がある。
「初枝ぁ!!!
テメぇ、調子に乗ってんじゃねええ!!!!」
やはり鳥田には我慢が出来なかったらしい。
拳を握りしめてマサツグ君へ飛び掛かろうとする。
マサツグ君は口を小さくモゴモゴと動かす。
相変わらず言葉は聞き取れなかったが、流石の俺でも彼が何を考えているのか予測できる。
「よせ鳥田ぁ!!!!!」
抜いてから、その感触が剣である事に気付く。
そして、眼前の鳥田越しに俺を睨みつけているマサツグ君と目が合う。
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やあ、マサツグ君。
こうやって、二人で向かい合うのは初めてだね。
俺、ミヤモトって言うんだ。
…ミヤモトから君へ。