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ロスト・フェアリー  作者: とらつぐみ
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第3章 秘密の里6

 森はまだ暗く沈んでいた。夜明けがまだ遠く、森を横切る小道はひっそりとした影の中に浮かぶ。そこを、馬車が1台進んでいた。荷台には家財具一式を載せている。しかし馬車を取り囲むのは1つの家族ではなく、男達だ。フードを深く被り、武器を見えないように持っている。その中にオークの姿もあった。


 オークはそっと闇の深い周囲の藪を見る。弓矢を持った男達が密かに従いてきている。


 馬車は、小道をゆっくりと進む。草むらに覆われた小道を、山刀で払いながら進んでいく。


 すると、その先に山賊達が待ち受けていた。



山賊

「待ちな! 村が大変なこの時に逃げるとは薄情な連中だ。荷を置いて行きな。争うなら命も奪っていくぞ!」



 オークが合図を出す。


 すると家財具の中から武装した男達が飛び出す。周囲の森から弓兵が次々と現れる。


 山賊達は狼狽した顔で、周囲を見る。村人達が山賊を取り囲んでいた。



山賊

「へっ! 戦の経験のない田舎者どもが。出し抜いたつもりか」



 ヒュン!


 山賊の足下に、矢が突き刺さる。



オーク

「戦の経験はありませんが、矢の達人揃いです。服従しなさい」


山賊

「……チッ」



 山賊達が武器を捨てる。


 オークは山賊達6人を縄で縛った。残りの1人を解放した。



村人

「いいんですかい?」


オーク

「これは宣戦布告です。備蓄が充分でない以上、短期決戦を狙います」

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