表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロスト・フェアリー  作者: とらつぐみ
148/196

第12章 魔王覚醒2

 リーフ率いる2万の軍団が北に向かって移動していた。馬車の荷台に檻が載せられ、その中でステラが小さくなって蹲っている。



リーフ

「北方の砦での仕事が終わったら、ただちに南へ向かうからな。パンテオンとか呼ばれる神殿を潰す。用意しておけ」


兵士

「はい」


リーフ

「おい、娘。起きろ。もうすぐお前の仕事だぞ」


ステラ

「…………」



 ステラは膝に顔を埋めたまま、動かない。



兵士

「リーフ様が声を掛けているのだぞ! 起きろ!」



 兵士が杖でステラを叩く。



兵士

「この邪教の徒が! 我らに楯突くか!」


ステラ

「…………」


リーフ

「放っておけ。……見えたぞ」



 丘を越えると、海岸線が見えてきた。その海岸線に沿って、堅牢なる砦が作られていた。


 リーフの軍団が砦へと接近する。


 砦のほうもリーフの軍団に気付き、慌ただしく動き始めた。塔の見張り兵士が鐘を打ち鳴らす。戦闘準備が始まっていた。


 リーフの軍団が、砦を前に止まった。



アレス

「そこで止まれ! それ以上近付くと、容赦せぬぞ!」



 砦の防壁で、司令官らしき男が怒鳴った。男の側で、弓矢を持った兵士が身構える。



リーフ

「相手をよく見て言うんだな!」


兵士

「あれが流浪騎士団ですか……。あれだけの小さな軍団です。潰しましょう」


リーフ

「みくびらないほうがいい。奴らは1人1人が一騎当千の豪傑だ。手を出せば、こっちが痛手を負う。行くぞ!」



 リーフは僅かな兵士と、ステラを乗せた馬車を連れて前に出た。



リーフ

「流浪騎士団よ、砦から出てこい! この娘がどうなってもいいのか!」


アレス

「おのれ卑怯者! 娘を人質に取るか!」


リーフ

「ただの娘ではないぞ! ……あれを出せ」



 リーフがステラに命令する。だがステラは蹲ったまま応えない。



リーフ

「おい!」


兵士

「命令に従え!」



 兵士がステラを杖で殴った。


 ステラがわずかに顔を上げる。砦の防壁に、流浪騎士団がいるのが見えた。ステラはにわかに顔を強張らせ、横に振った。


 ステラが動揺している隙に、リーフがその腕を掴んだ。ステラは抗おうとした。だがリーフは強引にステラの腕を引っ張り、その手首に巻き付けてある宝石を流浪騎士団に見せた。



アレス

「……まさか、あなたが……」



 アレスは首に提げていた宝石を引っ張り出し、確かめた。



リーフ

「どうだ! お前達が探し求めていた姫君だ!」


ステラ

「逃げろ! こやつらに従うな!」



 兵士がステラの首に、槍の刃を突きつける。



リーフ

「砦の兵士は投降し、我らに従え! 従わぬなら姫君の命はないぞ!」


アレス

「……ぐぅぅぅ」



 アレスは仲間達に武器を収めるように指示を出した。



リーフ

「よし。こちらの任務完了だ。パンテオンへ向かうぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ