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ロスト・フェアリー  作者: とらつぐみ
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第9章 暗転15

 日が昇り始めて、空が血のような赤色に染まった。オークの命を受けた3人の兵士達が、草原を駆け抜けた。草の先に、血が飛び散ったような赤い色が映っていた。


 不意に、兵士の1人が馬を止めてしまった。



兵士

「何をしている」



 残る2騎も馬を止めて、振り返った。


 しかしその兵士は、2人が言うのを無視して、赤く染まる空を見詰めながら、何かを呟いていた。


 何も返事をしないのに、2人は何かあるのかと思い、彼が見ている方向を振り返った。


 と突然、兵士は弓矢を構えた。電光石火の速さで、1人を撃ち抜いた。



兵士

「おのれ、裏切ったな!」



 残る一騎が剣を抜いた。


 だが弓矢のほうが早かった。矢の一撃は、兵士の額を撃ち抜いた。


 すべてが一瞬だった。2人の兵士は絶命し、馬の上からずるりと落ちた。



兵士

「……貴様……いったい何者だ」



 最初の1人が、まだ息を残していた。


 裏切り兵士は倒れている兵士の側へ近付くと、冷淡に矢で狙いをつけて、その頭に一発、撃ち込んだ。



裏切り兵士

「異教徒の殺害は罪にならない。天国への道だ」



 裏切り兵士は、胸の前で十字を切った。


 裏切り兵士は、王城と別の方向に馬首を向けて、駆けていった。

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