える
ねぇ、何をそこまでの罪を犯したの。私は見ていたけどわからない。なにがそこまでの罪だったのか、それとも、罪とはそういうものだったのか。
それは裂かれていく、60の角度を3個もっている炭素と水素と酸素で出来たそれは、上に載せられた物を裂いていった。内臓のスープがこぼれていく。それを皿に集めて飲み干すのだ。スープを取り出したら、焼くのだ。電子が通って分子の運動が活発になっていく。
元々は、1個体の存在は、フルコースへと変貌した。
私は考えた。この1個体と、変貌したあとのフルコースの天秤は。同じ重さなんだろうか。スープを取り出すにしても、外気の不純物は必ず混じるから重くなる。でも、焼くと水分が飛んで軽くなるよね。状況しだいなのかな、難しいな。
そもそも、重さを決めるのは誰だろう。重力かな、密度かな、それとも料理してる別の1個体かな。誰が重さなんて決め付けたんだろ、同じでは駄目だったのかな。
料理してた1個体が、モノトーンな箱に入れられた。出荷されるみたい。ロープでぶらぶら、血抜きには失敗したのかな。焼かれてカルシウムになった。あぁ、もったいない。
この個体たちは同じ個体を捌くんだ。重さなんて量れないくせに勝手な思い込みで捌くんだ。面白いよね、おかしいよね。
じゃあ、私は裁くよ。君たちみたいに私は私の価値観で。理不尽、どうしてこんな事をするのって、そんなことを言う事が理不尽だよ。あなたたちは良くて私は駄目なんだ。ふーん
じゃあいいよ。勝手にしたらどうかな。私はもう知らないよ、都合よく縋って泣いて、自分たちはどうなの。
だって、他人事じゃない