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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第九章 騎士と盗賊の終わらない円舞曲!編
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第九十三姉「いや、洗えよ。」

ブクマ600突破いたしました。ありがとうございます。

大勢の読者さんに読んでもらえていると思うと、ブラコン姉弟の普及にも力が入りますね!むん!


姉好き増えろ~、姉好き増えろ~・・・!

 串焼きを食べつつ、両手が使えないさきねぇに串焼きを食べさせる。

 食べ終わると、もらった水を飲み(飲ませ)一息つく。

 ・・・ぬるいし若干濁っててまずかった。




 あぁ、魔法が使えない今、≪聖杯水アクアホーリー≫が恋しい。

 さきねぇの顔にも『まっず!』と書いてある。

 普段は俺の魔法水かノエル川(仮)の清い水しか飲んでないからな~。

 生活のランクを上げることは簡単だが、下げることは難しいという典型例だった。


「あ!鈍器姉弟がいたぞ!」


 もう見つかったか。まぁそもそも隠れてないけど。


「しかも串焼き食ってやがる!なめやがって!」

「弟は殺せ!姉は捕まえろ!」

「「「「「弟は殺せ!姉は捕まえろ!」」」」」


 こえーよ。なんなんだよあいつら。

 騎士役のくせに盗賊っつーか世紀末世界のモヒカンどもみたいなこと言ってんぞ。ヒャッハー!

 そんなんだからアルゼン住民からの冒険者人気が落ちるんだろうが。


「つーかてめーら俺のさきねぇ捕まえて何する気だ!ぶっ殺すぞ!!」

「いや、牢屋に連れていくんでしょ?」


 大激怒の俺氏に冷静にツッこむさきねぇ。

 ちゃうねん、あいつら絶対『あわよくばムラサキさんにタッチ・・・!』とか『連行するときに二人っきりでお話・・・!』とか考えてるねん!

 許さへんで!弟の目の黒いうちはそんなことはさせまへん!おーきに!


 またも追いかけっこが始まる。

 まだ騎士役達あいつらは全軍総攻撃状態なのかな。

 戦術としては正しいかもしれんが、他の盗賊役たちが暇だろうからかわいそうだな。

 残り一時間切ってもこの状態だったらわざと捕まるか。

 もちろんさきねぇには女性騎士役にしか触らせないが。


「まっはふほー、ゆっくひたべさせてほひいわ。」


 といいつつ、いまだに口をモグモグさせているさきねぇ。


「ゴクン。ふぅ、さて、いきますかね!」

「あらほらさっさー!」


 二人そろって走り出す。

 俺達は疾風、誰にも止められないぜ!



 それからもひたすらに逃亡を続けた俺達だが、さすがに疲れが出始めた。

 なんとか追っ手を振り切り、路地裏で一息つくさきねぇと俺。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・まいたか?」

「ふぅ、ふぅ・・・楽観視はできないわね。今のうちに早く移動しましょ。」

「そうだね。二又だけど、どっちにいく?」

「そうねぇ・・」

 

『いたか!?』

『いや、そっちは!?』

『こっちもいない!でもこのへんにいるはずだ!探せ!絶対に逃がすな!』

 

 俺達を探す声が聞こえる。やばいな、近いぞ。

 俺とさきねぇの眼が鋭くなる。

 

「とりあえず、こっちね!」

「了解!」

 

 右の道を選び、走り出す。

 そのままの勢いで曲がり角を曲がる。

 すると。

 

「「「あ。」」」

 

 ばったり、顔見知りの冒険者と遭遇してしまった。

 まずい、ここにもいやがった!?

 

「いたぞ!鈍器姉弟ドンキーブラザーズがいたぞぉぉぉ!」

 

 瞬時に周りを数人の冒険者に囲まれる。

 クソッ、裏切り者め!

 

「大人しく捕まりな。いくらお前らでも、そのざまじゃどうにもできないだろう?」

「はっ!この程度、ちょうどいいハンデっしょ!」

 

 といいつつも、状況はけっこうやばい。

 俺は魔法が使えず、さきねぇは後ろで両手を縛られている。

 そして、周りには6人ほどの冒険者たち。

 

「・・・どうする?」

「当然、決まってるでしょ!」

「だよね。」

 

 覚悟を決める。

 

「「推し通る!!」」

「お前らいくぞ!この人数で囲んでやれば勝てる!」

「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」」


 その時だ。


「親分を助けろー!」「「「「おおー!」」」」


 柄の悪い冒険者たちがこっちに突っ込んでくる。

 あれは、紫影旅団の遊撃部隊『フィンガーファイブ』!命名さきねぇ!


「クソ、援軍か!でも、ムラサキさんさえ捕まえればこっちのもんだ!いくぞ!」

「「「「「了解!」」」」」


 六人のナイトが一斉にさきねぇに襲い掛かる!クソがっ!


「さきねぇ!」


 ナイトの一人がさきねぇの服を掴む。

 しかし!


「ムラサキさん捕ま「紫流奥義、大車輪!」ぅわぁぁぁぁ!」


 そう叫ぶと、腰を落としてすごい速さで回転するさきねぇ。

 さきねぇの服を掴んだナイトがぐるんぐるん回って周囲のナイトたちをなぎ払った後、本人も吹っ飛ぶ。

 す、すげぇな。ジャイアントスウィングみたいになってる。


「あ、いたぞー!ここだー!」


 ち、背後から新手がきやがった!数が多すぎる!


「フィンガーファイブ!やつらをかく乱しつつ後退!・・・死ぬなよ!」

「親分たちも!」


 さきねぇと俺はフィンガーファイブの横を駆け抜ける。

 すまん、お前達の犠牲は無駄にはせんぞ!

 しかし、どこに逃げれば・・・


「ムラサキ様!会長!こちらです!」


 その時、細道から顔を出した少女から声がかけられる。あの子は・・・!


「さきねぇ!いこう!」

「だ、大丈夫?あいつ誰?」

「とにかくこっち!あの子が俺達を罠に嵌めるはずがない!」


 そのままの勢いで少女の後ろについていく。


「この道は地元の人間でもあまり知られていません・・・せまいですが、ここをくぐってください。」


 行き止まりかと思いきや、壁にかけられた布を取り外すと子供くらいの大きさの穴があいていた。

 少女と同じように三人そろってしゃがみ、穴をくぐる。

 

「ここなら多少は休めると思います。水と食料はここに。」


 コップ一杯の水とレモンっぽい果実を差し出す少女。


「気が利くわね。いただきまうす!」

「助かったよ。たしか、会員番号13番の・・・サラちゃん、だったかな?」

「は、はい!会員番号13番、サラです!会長閣下に番号と名前を覚えていただけているとは光栄です!」

「そんなに改まることはない。俺たちは同志なんだから。」

「あ、ありがとうございます!」

「・・・・・・で、この女は誰なわけ?」


 さきねぇの目が妖しく光り『浮気?』と問いかけている。


「は、はじめまして!わたし、『ムラサキ・ウイヅキファンクラブ』の会員で、えっと、会員番号13番です!サラって言いますです!も、もしよかったら握手してくださいです!」


 顔を真っ赤にしながら手を差し出すサラ。


「・・・ふぁんくらぶ?わたしの?」


 さきねぇが???顔で俺をみてくる。

 俺はにやりと笑う。


「ふ、会員番号00番、ヒイロ・ウイヅキです。会長やってます。」

「お前か!」

「はっはっはっは!」


 さきねぇは大人気なので、放っておくとすぐ変な男どもが近寄ってくる。

 そんな大勢のカスどもを相手にするのはバカらしいので、一計を案じた。

 すなわち、ファンクラブによる統制である。

 会員以外の人間はさきねぇに触れることは許されないし、俺の鉄壁のガードによって話す機会もほとんど設けない。

 逆に会員ならば、俺を介してさきねぇと話ができたり握手したりできるのだ。

 しかも、今なら会員費は無料!

 そして、このファンクラブにはもう一つの意味がある。

 会員を通じて町の噂や様々な情報を集めさせているのだ。

 情報というのは一種の宝のようなものであり、あって困ることはない。

 有事の際は大いに役立つだろう。


「前に酔っ払いに絡まれてるところをさきねぇに助けられたんだってさ。覚えてない?」

「へー。ごめん、全然覚えてない。」

「いえ、いいんです。私、影が薄いんでムラサキ様が覚えて無くても当然ですから。」


 恥ずかしそうに笑うサラちゃん。


「まぁいいわ。後楽園遊園地で僕と握手!」

「あ、ありがとうございます!もう一生手を洗いません!」

「いや、洗えよ。」


 一見するとなんかマリア様が見てそうな雰囲気だな。あくまで雰囲気だけだが。

 水を飲み、レモンっぽい果実を食べ体力回復を図る。


「助かったわ少女よ。今度一緒に飲みましょ。奢るわ。ヒロが。」

「あ、ありがとうございます!」

「おい。」


 まぁ俺はファンクラブ会長だからな。それくらいは払ってやるか。


「よし、次は私達が反撃する番ね!ヒロが考えた例の作戦、いくわよ!」

「うっし、やるか!でも、あくまで最終手段だからね。」

「わかってるって!」


 意気揚々と出発する姉弟であった。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


作者の関西弁指導はエビス丸先生です。ゴエモンは~ん!


ドロケー編、なんとか次回で終わります。

3~5話で終わらせるつもりが二倍の話数に・・・どうしてこうなった

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