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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第九章 騎士と盗賊の終わらない円舞曲!編
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第九十姉「・・・誰が一番?」

感想を二件もいただきました。ありがとうございます。

マリーシアさん人気爆発!・・・か?気のせいだな。

 ドロケーに対する熱い想いを語り合う、いい年した大人たちだった。

 そして、子供時代ぼっちだったためナイシー未経験のノエルさんは、話に入れないため頬をプクーっと膨らませて『私、不満です!』アピールしていた。




 それから一週間が経過し、『第1回!ドキッ!冒険者だらけの騎士&盗賊、略してナイシー大会!ポロリはあるの?』が開催されることになった。わかると思うが、大会名の命名はさきねぇだ。

 深夜のテンションで『これどう!?イケてない!?』『おお、いいんじゃない!?イケてるイケてる!』となって決定してしまった。

 朝起きた後、さきねぇを除く全員が『やっちまった・・・』な顔になっていたが、意見の通ったさきねぇはニコニコ笑顔だった。

 それと、結局ハンデは

・俺=大会中は魔法使用禁止

・さきねぇ=両手を後ろで縛り、両足に重りをつける

で決着した。

 ヘラクレスかよ。



 広場には50人の参加者だけでなく、多くの住民が見学にきている。

 お、マリーシアさんとラムサスさんだ。


「えーこれより支部長よりお話があります。」

「みなさんこんにちわ。冒険者ギルドアルゼン支部、支部長のラムサス・クラブです。ほんじ「話なげーぞー!」まだ何も話してないだろ!もうお前の声だけで誰かわかるんだよ!黙ってろ!」わはははははははははは!


 まぁさきねぇの声はよく通るからな。指揮官向きだ。


「こほん。ではルールを説明します。まず、騎士役にはこの赤いナイトTシャツを着てもらいます。盗賊役にはこっちの青いシーフTシャツを。わかりやすいですね。」


 う~ん、わかりやすいけど、ダサい。


「騎士・盗賊ともに殴る蹴るなどの攻撃は禁止です。騎士は盗賊を捕まえる場合、体の一部を掴み『盗賊捕まえた!』と宣言してください。衣服も体の一部とみなします。そして捕まった盗賊は牢屋、つまりそこの円の中に入ってもらいます。」


 指差した先には直径10mほどの円線が引いてある。

 けっこう大きく感じるな。こんなもんだっけか?覚えてねーや。


「盗賊側は捕まった盗賊にタッチすることによって脱獄できます。もちろん牢屋に入る前、護送中の盗賊を触っても復活できます。制限時間3時間以内に盗賊が全員捕まれば騎士の勝ち、時間外まで逃げ切れば盗賊の勝ちです。盗賊が逃げ出して100秒数えたらゲーム開始です。なにか質問は?」


 あたりを見渡すが、特におかしいところはないみたいだな。

 まぁこっちの世界でも有名な遊びらしいから、みんな大体のルールはわかってるんだろう。


「そして、今回の勝利チームにはなんと!10万パルが贈られます!」ウォォォォォォォォォォォ!


 ふむ、日本円にして100万か。25人で分けたら一人頭4万円・・・微妙。

 まぁ賞金が目的のナイシー大会じゃないしな。


「それでは、各自自分の所属するTシャツを受け取ってください。15分の作戦タイムの後、ゲームを開始したいと思います!」ワァァァァァァァァ!


 なんか子供のころの運動会思い出すな。


「じゃあちょっくら行ってTシャツ二人分受け取ってくるお。」

「頼んだお!」


 列に並ぶと、マリーシアさんが顔で『ヒイロさん!ぜひ私の手から受け取ってください!』って主張していたので華麗にスルーし、違う女性職員さんから青い盗賊Tシャツを受け取る。

 『寝取られた!?』とか聞こえたが、気にしない。そもそも寝てないし。

 参加者には事前に誰が騎士で誰が盗賊か伝えてあるので特に混乱もなく進む。


「はい、さきねぇ。女性更衣室はあっちだってさ。」

「うっし、ちょっくら着替えてくるかな。オラ、ワクワクしてきたぞ!」


 戦闘民族みたいなことを言いながら更衣室に向かうさきねぇだった。

 入れ替わりにスレイが近寄ってくる。


「こんにちわヒイロさん!敵同士になっちゃいましたね。」

「だな。まぁお互い手加減無用だ。むしろ手加減なんかしたらさきねぇに全滅させられるから気合いれてけよ!」

「盗賊に全滅させられる騎士とか聞いたことないですけど・・・ムラサキさんならやりかねなくて怖いですから全力でいきます!」

「うむ!」

「それでは、また後で!」

「お互いがんばんべ~!」

「は~い!」


 手を振りながら元気に去っていくスレイ。

 懐く後輩というのはかわいいのぅ。

 さて、と。


「とりあえず、盗賊さんはこっちに集まりましょー!」


 俺が声をかけると、ぞろぞろと盗賊役が集まってくる。

 な、なんか本当に悪そうな顔してるやつらを集めたな。本職の盗賊さんじゃないよね?

 とりあえず顔見知りの冒険者たちに声かけるか。

 そうしていると、着替え終わったさきねぇが小走りにこっちへ向かってきた。

 そして、仁王立ちで腕を組み、一言。


「私がこの『紫影旅団』の首領ドン、ムラサキ・ウイヅキである!」


 自らボスを名乗りやがった。足についているハンデの重りが脱獄囚っぽくて雰囲気が出ている。

 周りの冒険者たちも最初はキョドっていたが、結局『お、おぅ・・・』的な感じでとりあえず納得してくれた。


「我らの目的は騎士どもを出し抜き、お宝を手に入れることにある!世の中、弟を除き金が全てだ!そもそも~」


 さきねぇお得意の演説が始まった!


 ~5分後~


「と、いうわけで、憎き騎士どもに目にものを見せてやるわよ!わかったかお前ら!」

「「「「「「「「「「へい!親分!!」」」」」」」」」


 インスタントうどんが食べごろになるくらいの演説が終わると、紫影旅団の士気はMAX近くにまで上昇していた。

 みんなノリノリだな。

 ほんと、さきねぇはこういう士気向上というか扇動なんかさせると天才的だよな。

 25人もの大所帯だ、顔見知り程度でしか知らない者もいるはずだが、余所余所しい空気は全く感じられない。

 全員が『勝つ!』というやる気に満ち溢れている。

 まぁ同じアホなら踊らにゃソンソン!な考え方なんだろう。良い事だ。


「まずは番号を割り振る!1は私で2はヒロね。3はあんたで、こっから順に4、5、6・・・って感じになるわ。もし捕まったら全力で番号を叫ぶこと。4番が捕まったら『4番乙!!』って感じよ。そうすれば誰がどの辺で捕まって、どれくらいの人数が牢屋にいるかわかるわ!」

「さすが親分・・・!」「知将だな!」「これは勝てるんじゃねぇか!?」「ムラサキ親分ばんざーい!」


 盛り上がってるなー。そしてノリ遅れた俺。

 俺を仲間にいれたげてよぅ!


「あとはね~・・・」


 親分呼ばわりされて気をよくしたさきねぇが各人の役割などを決めていく。

 みんな真剣に話を聞き、頷いている。

 その顔を見ていると、誰もさきねぇを大将に掲げることに疑問や不満はないようだ。

 人心掌握力半端ねぇー。

 我が姉ながら恐ろしい能力だ。

 世が世なら騎士姫とか姫将軍とか呼ばれてそうだな。


「・・・という感じよ!わかった!?」

「「「「「「「「「「おぉ!」」」」」」」」」」

「円陣!」


 その言葉ともに円陣が組まれる。

 ちょ、俺も入れてくれ!


「・・・誰が一番?」

「「「「「「「「「「親分です!」」」」」」」」」」

「やっぱり!私が!ナンバーワン!」

「「「「「「「「「「やっぱり!親分!ナンバーワン!」」」」」」」」」」

「やっぱり!私が!ナンバーワン!」

「「「「「「「「「「やっぱり!親分!ナンバーワン!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「イエェー!!!」」」」」」」」」」」」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!

 俺たちの作戦会議を見ていた街の人々も、大笑いしながら拍手をくれた。

 住民への『冒険者楽しいよ?怖くないよ?』アピールもいい感じだな。


「それではそろそろ始めの合図を送る!」


 お、ラムサスさんの声だ。

 ふふふ、血が滾るぜ!


「では、『第1回!ドキッ!冒険者だらけの騎士&盗賊、略してナイシー大会!ポロリはあるの?』・・・開始!い~ち!に~!さ~ん!」

「よし、お前たち、散開せよ!!役目を全うし、勝利を私に献上しなさい!」

「「「「「「「「「「勝利を親分に!!」」」」」」」」」」


 その言葉とともに一斉に散らばる盗賊役冒険者たち。

 あいつら、仲よすぎだろ。

 まぁいいか、それじゃ俺らもいくとしましょうかね。


「さきねぇ、いくよ!」

「おうとも!」


 俺とさきねぇも動き出したのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


初めてレビューをいただきました!めっちゃ嬉しいです!

しかもコメディ年間ランキング上位に名を連ねる作家さんから!

もし私が美少女だったら「はわわ~!れびゅーもらっちゃいました~!」とか言って喜んでましたね!アラサーなので言いませんが。

謎のおっさんがMMO内で繰り広げる大冒険喜劇!『謎のおっさんとMMO』!そのまんま!好評連載中!


このCMは藤原・ステマ乙・ロングウェイの提供でお送りいたしました(笑

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