第八十七姉「お前、マジでいつかシメるからな。」
書き始めてはや四ヶ月。ブクマが300になりました。
今後もブラコン姉の普及に力を尽くしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
「つまり?」
「ヒゲよ。」
「「「意味がわからん!!!」」」
三人合計して250歳近いであろうツッコミ、通称『250歳ツッコミ』が入った。
誰にそう呼ばれてるかは知らん。
「まぁいい。それよりガルダ、お前がなぜここにいる。普段は顔を出さぬくせに。」
「ほほ。ギルドでアルゼンを盛り上げるための催しを考えている最中でしてな。ギルドなんぞどうでもいいですが、アルゼンのためならおいぼれも頑張ろうかと思いまして。」
ということは、実行委員の一人ということか?
「なるほどね。じゃあいきましょうかおじぃ。どこで話し合いやってんの?」
「・・・なぜお主が参加するのじゃ?」
「もう、ばっかね~?私がいなかったらむしろ始まらないでしょ~?」
ガルダじぃの肩をバンバンと叩くさきねぇ。相変わらず強気すなぁ・・・
「ふむ・・・まぁいいじゃろ。若者の意見に耳を傾けるのも良いことじゃろう。」
「・・・後悔するなよガルダ。」
ノエルさんのその言葉に『?』って顔をするガルダじぃ。
さすがに初見でさきねぇのやばさを見抜けはしないか。
四人でギルド内の一角、第三会議室へいく。
中にはラムサスさんを筆頭に何人かの職員さんがいた。
なぜかマリーシアさんまでいる。受付やれよ。さぼりか。
「ああ、ガルダ老、どうでし・・・ってノエル様!それにヒイロくんにムラサキも。どうされたんですか?」
「いや、お前たちの催しにムラサキが興味をもってな。連れて行けとうるさいから連れて来た。」
「にゃんにゃん♪」
なぜか招き猫ポーズのさきねぇ。か~わ~い~い~!
俺に召還魔法の力があったら、バハムートやイフリートよりもまず始めにデジカメ召還してたわ。
「・・・いや、別に全然かわいくないけど。」
「目が腐ってるんですか!?≪聖杯水≫2リットルくらい目ん玉に注ぎ込んであげましょうか!?」「どこがだ!めちゃくちゃかわいかっただろうが!!」
「す、すいません・・・」
瞬時にブチキレた俺とノエルさんに謝罪するラムサスさん。
全く、これだからアァー!な人は困る。
「で?ドロケーやんだって?」
「ド、ドロケー?いや、ナイトアンドシーフだよ。」
「そもそも長い。ナイシーやろうぜ!・・・シーナイやろうぜ!ふむ・・・語感的にナイシーね。今後、ナイトアンドシーフ、略してナイシーと呼ぶことに決定しました!拍手!」
パチパチパチパチ!
・・・パチパチ、パチパチ
俺が率先して拍手をすると、それに続いて、探り探りではあるが拍手が追加される。
「まぁ略名は基本だよね。」
「そ、そういうものなんですか?」
「そういうものです。」
いつのまにか隣に来ていたマリーシアさんにそう答える。
「ところで、なんでナイシーをやろうって話になったの?」
「え?ああ、この前商工会主催の大食い大会があっただろう?あれが想像以上に好評でね。『次はいつやるんだ?』って問い合わせが殺到してるらしいんだ。」
「商工会に対抗してってことですか?う~ん・・・」
特に目標もなく何かを始めるのは危険すぎる気がするが・・・しかも大会だって商工会が企画したわけじゃないし。
「いや、それもあるんじゃが、アルゼンの住民にもっと冒険者に興味をもってもらいたいという狙いもあってのぅ。」
「冒険者に興味?ここ、新人冒険者のメッカでしょ?」
「うむ、そうなんじゃが、アルゼン出身の若者たちの冒険者離れが激しくての~・・・」
ちょっと寂しそうなガルダじい。
「理由はわかってるんですか?」
「アンケートをとってみたんじゃが、理由は『面白くなさそう』『魔物少ないのにわざわざ戦う理由ある?』『お金稼げなそう』『アルゼンの冒険者はあんまり強くなさそうでダサい』あたりが大半をしめた。」
「「「・・・」」」
黙ってしまう俺達。
理由がせつねぇ・・・そうだった、アルゼン周辺なんて新人冒険者と雑魚魔物しかいないもんな。
「そこで!住民に冒険者に興味を持ってもらうのと、アルゼン自体を盛り上げるためにも何か面白そうな企画を!・・・という理由でナイトア、あ、いや、ナ、ナイシー?をやろうかって話になったんだ。誰でも知ってる遊びだからね。」
「なら、武闘大会のほうがいいんじゃないですか?『強い!かっこいい!』ってなりません?」
「・・・ヒイロくん、ここはアルゼンだよ?かっこよく戦えるような強い冒険者、いると思う?」
「お、おぅ・・・」
ラムサスさんの言葉に、つい納得してしまう俺。
確かにアルゼンは冒険者暦数年のE級冒険者が大半だもんな。
騎士物語みたいなかっこいい剣戟は期待できないか・・・
「ちょっと待ちなさい。ここにいるじゃない!かっこよく戦える美少女が!」
「ノエルさんは強すぎるでしょ。」「ノエル様は容赦ないでしょ。「ノエル様は観客巻き込むじゃろ。」
俺達首脳陣の言葉にノエルさんはウンウンと頷いている。なぜ観客巻き込む気満々なのか。
「私よ!エルエルじゃなくて、わ・た・し!!」
エヘン!と胸を張るさきねぇ。服の上からでもわかる大きなお胸がたゆんと揺れる。
とりあえず男性職員に目で『見てんじゃねーよ殺すぞ』と伝える。
見ていいのは俺だけなの!
ラムサスさんがため息をつく。
「ムラサキさんも考えたんだけどねぇ。今のアルゼン支部の中だと、アルゼン出身者で一番強い冒険者はD級のラウルなんだよ。」
「ラウル?なんか聞き覚えがある気が・・・?」
「覚えてない?魔法使い試験受かった時の飲み会でムラサキさんとヒイロくんでボコボコにした・・・」
「あ!あいつか!」「誰?そんなやついた?」
覚えてないのかよさきねぇ・・・俺があいつを回復しなかったら殺人罪でお縄の可能性すらあったんだぞ。(第六十四姉参照)
「ムラサキさんとラウルが戦ったら確実にラウルが負ける。盛り上がるかもしれないが、結局『アルゼンの冒険者よわ。だせぇ。』になっちゃうでしょ。」
「う~ん、難しいですねぇ。」
「それに、冒険者たちにも依頼とか気にせず楽しめるようなイベントがあったほうが生活にハリがでるだろう?」
「おお、そこまで考えてるんですか!さすが支部長!冒険者ギルドの若手幹部候補生!」
「ふふふ、まぁね!」
「単なるH×Hじゃなかったのね~。」
「お前、マジでいつかシメるからな。」
額に青筋を浮かべるラムサスさん。
どっちの気持ちもわかるからなんともいえん。
「じゃあナイシーは確定なわけね。私達以外に誰が参加するの?」
「・・・それなんだけど「いや、わしから説明しよう。」
ガルダじいがラムサスさんの話を遮る。
「初めての試みなんでな。子供ではなく、戦闘力を持つ冒険者同士でやるのじゃ。ヒートアップしてどんな結果になるかもわかっておらん。よって実力がわかってる者だけでやろうと思っておる。つまり、お主達は不参加じゃな。」
「「・・・・・・はぁ!?」」
「当然じゃろ?おぬしらが何が出来て、どれくらいの実力を持つかしらんのじゃ。これで人でも死んだら責任問題じゃからな。」
このじじい、日和やがって。
さきねぇと目で連絡をとる。
「よしわかった。とりあえずヒゲを抜こう。」「そうだな。」
「ぬ、抜かせるか!」
必死にヒゲを守ろうとするじじい。
あめぇよ・・・初月姉弟なめんなよ!
「わかったわかった!なら実力を見せてみろ。そこの二人と試合をして、その結果で決めようかの。」
「わかったわ!男に生まれたのを後悔するくらい痛めつけてやるわ!」
「「「「「「どこに何をする気 (だ)(じゃ)!!!」」」」」
さきねぇの恐怖発言に、俺含むその場にいた全ての男性が悲鳴をあげた。
突然指名された名も知らぬ男性職員二人よ・・・ご冥福をお祈りしております。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
武闘大会とかあっても「結局、さきねぇが優勝した。」の一行で終わらせそうな気がします(笑)




