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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第九章 騎士と盗賊の終わらない円舞曲!編
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第八十五姉「最初に武器のパワーアップが出なかったらリセットは基本だったわね。」

皆様、一週間ぶりでございます。

同じくコメディを書いてらっしゃる作家様に「頑張れよ!どうしてあきらめるんだよ!もっと熱くなれよ!(意訳)」という心温まる激励をいただきましたので、頑張って週に一回は更新していきたいと思います。


18時32分に更新したらサーバーエラーとな!?

 さきねぇと俺は路地裏を駆け抜けていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・まいたか?」

「ふぅ、ふぅ・・・楽観視はできないわね。今のうちに早く移動しましょ。」

「そうだね。二又だけど、どっちにいく?」

「そうねぇ・・」

 

『いたか!?』

『いや、そっちは!?』

『こっちもいない!でもこのへんにいるはずだ!探せ!絶対に逃がすな!』

 

 俺達を探す声が聞こえる。やばいな、近いぞ。

 俺とさきねぇの眼が鋭くなる。

 

「とりあえず、こっちね!」

「了解!」

 

 右の道を選び、走り出す。

 そのままの勢いで曲がり角を曲がる。

 すると。

 

「「「あ。」」」

 

 ばったり、顔見知りの冒険者と遭遇してしまった。

 まずい、ここにもいやがった!?

 

「いたぞ!鈍器姉弟ドンキーブラザーズがいたぞぉぉぉ!」

 

 瞬時に周りを数人の冒険者に囲まれる。

 クソッ、裏切り者め!

 

「大人しく捕まりな。いくらお前らでも、そのざまじゃどうにもできないだろう?」

「はっ!この程度、ちょうどいいハンデっしょ!」

 

 といいつつも、状況はけっこうやばい。

 俺は魔法が使えず、さきねぇは後ろで両手を縛られている。

 そして、周りには6人ほどの冒険者たち。

 

「・・・どうする?」

「当然、決まってるでしょ!」

「だよね。」

 

 覚悟を決める。

 

「「推し通る!!」」

「お前らいくぞ!この人数で囲んでやれば勝てる!」

「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」」

 

 まさか、こんなことになるなんて。

 一週間前の俺達は想像もしていなかった。

 

 

 

「「ないとあんどしーふ?」」

「そう、『騎士ナイト盗賊シーフ』だ。知らないか?かなり有名な遊びだぞ?」

 

 ノエルさん作の朝ごはんをもきゅもきゅと食べ終わり、紅茶っぽい飲み物を飲んでまったりしていた時だ。

 急にノエルさんがそんな話をしだした。

 

「こっちで有名でも、私たち日本人だからね~。ダンジョンズ&ドラゴンズくらいしか知らないわ。」

「懐かしいな。よく二人でやったね~さきねぇは戦士で俺が魔法使いで。」

「最初に武器のパワーアップが出なかったらリセットは基本だったわね。」

「・・・思い出話はけっこうだが、私が目の前にいるのに私がわからない会話で楽しそうにするのはやめてほしい。正直寂しい。」

 

 最近、ノエルさんもこういうことを言ったりするようになってきた。しょぼーんな顔がちょうかわいい。

 

「す、すいません!とりあえず、そのナイトアンドシーフってのはどんな遊びなんですか?」

 

 まぁなんとなくは想像つくけど。

 

「ああ、子供たちがよくする遊びらしくてな。まず、騎士役と盗賊役に別れるんだ。盗賊役が逃げて、騎士役がそれを捕まえる。盗賊を全員捕まえたら騎士の勝ち、時間内まで逃げ切ったら盗賊の勝ちだ。」

「「つまり、ドロケー(ですね)(ね)。」」

 

 ドロケーだ。ケードロじゃない。俺たち姉弟はドロケー以外認めないぞ!

 実はこれ、地域によって呼び方が違う。

 高校にあがってから気づいた事実で、一時期クラスで『ドロケーかケードロか』の論争が巻き起こった。

 当初はドロケー不利だったが、さきねぇがアンチケードロだったため、最終的にドロケーが勝利した。

 それがどうしたって話だが。

 

「それで、そのナイトアンドシーフがどうしたのよ。もしかして、エルエルが子供たちに混ざってやりたいけど恥ずかしいから一緒にやってほしいってこと?それならPleaseおねがいしますが必要じゃない?」

「ぶっ飛ばすぞ!」

 

 荒ぶるノエルさん。どうか鎮まりたまえ!

 

「まぁまぁ、さきねぇの寝言は無視して。やりましょう?三人だとできないから、誰か誘いましょうか。スレイとかヴォルフとかカチュアさんとか。ラムサスさんとかマリーシアさんもきっと参加してくれますよ。」

 

 あ、ヴォルフはもう呼び捨てだし、敬語も使っていない。

 お互いに数少ないシスコン仲間だと認め合い、心友となったからだ。

 ヴォルフ自身も妹ラブなことが異常ではないかと悩んでいた部分もあったらしい。

 が、自分を超える超級シスコンの俺が現れたことで、自分は間違っていないと覚醒したらしい。

 俺個人としては自分を『俺は間違っていない!と声高に叫ぶ間違っている人種』だと思っているため、それもどうかと思ったが、まぁいいかと思いそのままにした。

 姉を愛している時点で普通ではない。普通じゃないからなに?って感じではあるが。

 話がそれた。元に戻そう。

 

「だから違う!私がやりたいわけじゃない!!アルゼンを舞台にして、冒険者でナイトアンドシーフをやってみないかと話があがってるんだ!」

「「ほぉ!」」

 

 街を舞台にドロケーか・・・面白そうだな!

 さきねぇも目が爛々と輝いている。やる気メーターMAX!

 

「でも、どっからそんな話がでてんの?」

「冒険者っていうからにはギルドじゃねーの?」

「ヒイロの言うとおり、ギルドからだ。この間の『商工会主催の』大食い大会が好評だったのを見て、ギルドでもなんかやろうかという話になったらしい。」

「うわー安直ー。『向こうでウケたからウチもなんかやろう』って一番ダメなパターンじゃない?」

「二番煎じ感半端ないね。成功しますかね?」

「さてな。精霊王のみぞ知るってやつだ。」

 

 肩をすくませ、ヤレヤレポーズのノエルさん。

 つくづく動作がかわいいなこの人。

 

「というより、なんで一番最初に私たちに声がかからないのかしら?おかしくない?」

「・・・なぜ一番最初にお前たちに声をかけなくてはいけないんだ?」

「だって大食い大会の主催みたいなもんよ?仕方ない、この私が責任を持って新企画をプロデュースしてあげましょうかしらね!」

「「・・・・・・」」

 

 嫌な予感しかしない俺とノエルさん。

 

「よし、そうと決まれば善は急げよ!さっそくギルドに向かいましょう!」

「・・・ヒイロはどうする?」

「止めても無駄なのはわかってるんで、ついて行きます。ストッパーいないとどうなるかわからないんで。」

「そうだな。じゃあ私もいくか。」

 

 そんな感じでアルゼン目指して出発する。

 最近はいちいち歩くのがめんどうなため、ノエルさん特製『馬ゴーレム』の馬車を使う。

 丈夫で疲れ知らず、決められた道を真っ直ぐ歩くだけなので消費魔法量も(ノエルさんから見れば)少ない、素敵な乗り物だ。

 動く速度は人間の早歩き程度だけどね。

 俺が御者として前に乗り、魔物が近づいてきたら魔法で迎撃する。

 さきねぇとノエルさんは馬車の中で話したり寝たり本を読んだりとくつろいでいる。

 ゴトゴトゴトゴト。

 お、赤・青・緑・黄グミーが集まってる。グミーの集会でもやってるのかな?

 平和やね~。

 

 

 あっという間にアルゼンの門までたどり着くが、ゴーレム馬車で街中まで入っていくと目立ちすぎて人が集まってきてしまう。

 そうすると動けなくなってしまうため、門に繋いでいく。

 ノエルさんの乗り物に手を出すバカはいないから街壁に横付けするだけだ。

 三人で馬車を降りると、門番さんたちが敬礼で迎えてくれる。

 

「通るぞ。」

「はっ!どうぞ!」

 

 教育は行き届いているようだ。

 今日はタイチョーさんはいないみたいだな。

 

「いつもお疲れ様です。よかったらこれどうぞ。」

 

 俺はそういうと≪聖杯水アクアホーリー≫を門番さんたちに振舞う。

 

「お、ありがとう。こんなうまい水はヒイロくんじゃないと作れないからね。ありがたくもらっておくよ。」

 

 俺の≪聖杯水≫は美味いしのど越しさわやかだし二日酔いに良く効くと、もらうと嬉しいアルゼン門番差し入れランキング、堂々の第二位(タイチョーさん調べ)とのこと。

 ちなみに第一位は『さきねぇの笑顔』らしい。こいつらとは美味い酒が飲めそうだ。

 門番さんたちに手を振り、街の中に入るのだった。

 

 


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ドロケー、今やったら体力的にきつくて死にそうになるんでしょうね。

それも楽しそうではありますが(笑)

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