第八十二姉「えっと、今日の日経平均株価はっと・・・」
前回の更新、久しぶりに自動更新しました。
朝5時から夜22時までケータイ・パソコンに触れられる環境にいなかったもので。
報告が遅れて申し訳ありません。
そんな会話をしていると、後ろから『弟(妹)がいない!』という叫び声が。
見つめあい、苦笑いをする俺たちだった。
それから数日が過ぎ、ついに運命の日が訪れた。
空は雲ひとつない晴天、バァン!バァン!とでかい≪火球≫が鳴り響いている。
絶好のイベント日和や!
大きな広場には色んな屋台が立ち、香ばしい匂いが漂っている。
大道芸人もジャグリングをしたり大玉に乗ったりと張り切って頑張っている。
多くのアルゼン住人たちが集まり、思い思いに楽しく過ごしている。
企画したかいがあったというものだ。
そして。
広場の中央には大勢に囲まれた5人の姿があった。
「れでぃ~~~~~すあんど、じぇんとるめぇぇぇぇぇぇん!本日はお集まりいただき、ありがとうございまぁぁぁぁす!」ワァァァァァァァ!
「これより、第一回!ホットドッグ大食い大会inアルゼンを開催したいと思いまぁぁぁぁす!司会はわたくし、冒険者ギルドアルゼン支部のアイドルこと!マリーシア・ホルンが務めさせていただきまぁぁぁす!」ワァァァァァ!ババアヒッコメー!
「今ババアっつったやつでてこいやぁぁぁぁ!聞いたことあんぞ今の声!お前冒険者だろ!次会ったらギルドから除名させてやっからな!!」
「いや、早く進めてよ・・・」
「おっとすいません愛しのヒイロさん!きゃ、愛しのとかいっちゃった!」
「えっと、今日の日経平均株価はっと・・・」
「お願い聞いて!」ワハハハハハハ!
掴みはオッケーですな。
「えー解説は鈍器姉弟でおなじみ、ヒイロ・ウイヅキさんでーす!名言『女性は20歳過ぎてからが本番でしょ。20半ばとか激熱じゃないですか!』は多くの女性に希望の光を与えました!」
「・・・どうも、ヒイロ・ウイヅキです。よろしくお願いします。」
え、なにその説明。すごい恥ずかしいんだけど。
そして観客の中から『キャー!』とか女性の歓声がちらほら。
ついに時代が俺に追いついてきたか。
あ、あの人『結婚とか都市伝説』が口癖の28歳のベテラン冒険者さん(処女)だ。
つーかこの世界(時代?)、25歳過ぎたらいき遅れのBBA扱いとか女性にはかなりハードだよな。
まぁ日本も戦前まではそれが普通だったみたいだけど。
あ、お姉さまがすごい顔でめっちゃにらんでるぞー。
「おねえさまだいすきー。」
めっちゃ笑顔で手を振っているさきねぇ。ちょろかわいい。
「ちっ。えーでは内容を説明したいと思います!といってもルールは簡単!ここにある大量のホットドッグを10分間に何本食べられるかを競い合ってもらいまぁぁぁぁぁす!」ワァァァァァァァァァ!
そういうと手元のホットドッグと砂時計を指差すマリーシアさん。
「では早速選手紹介に入りたいと思います!エントリーナンバー1番!『稼ぎの大半は胃袋の中さ!』冒険者のキモハン・サンポー選手ー!」ワァァァァァァァ!
なんか小太りのおっさんが手を振っている。けっこう食いそうだな。
「続きまして、エントリーナンバー2番!『腐っていようとパンはパン!』商人のネルコト・ネーネ選手ー!」ワァァァァァァ!
太ったおっさんがペコペコ頭を下げている。デブばっかやな。
「エントリーナンバー3番!『ドワーフの誇りを見せてやる!』ドワーフのアルガ・バザーム選手ー!」ワァァァァァァァ!
ドワーフか・・・ちっちゃいけど、食えるのかね?飲兵衛のイメージはあるけど。
つーか違うところでドワーフの誇り見せろよ。なんで大食い大会やねん。
「エントリーナンバー4番!この大会開催のきっかけになった一人!『妹こそ至高!異論は認めない!』獣人のヴォルフ・グラール選手ー!」ワァァァァァァァァァァァァァ!
「カチュアー!お前の為に勝つぞー!!」
そのカチュアさんは俺の隣に座っているが、色んな意味で顔が真っ赤だ。
恥ずかしさ:嬉しさが7:3くらいかな。
「そして~最後はもちろんこの人!エントリーナンバー5番!『立てば芍薬、 座れば牡丹、 歩く姿は百合の花!花鳥風月、百花繚乱!自由であること風のごとく、華やかなること花のごとく、美しきこと雪のごとく、眩きこと月のごとし!』・・・ってヒイロさん、これ、言い過ぎっていうか誉めすぎじゃないですか?完全に身内びいきですよね?一人だけ説明文異常に長いし。」
俺から渡されたカンペを読み上げるうちに苦い顔をしだすマリーシア。
は?だって事実だし。文句ある?
とりあえず目力と顎をクイッっとやって『つべこべ言わずにさっさとやれ』と指示を出す。
「(冷たいヒイロさん・・・でも悔しい感じちゃう!)えーアルゼンの誇る、歌って踊れる有望冒険者筆頭家老!ムラサキ・ウイヅキ選手ー!」
「今日のピッチが雨上がりなら、私の左足で虹をかけてあげるわ!」ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!
意味不明だけどかっこいい!
しかしさきねぇの時だけすごい声援やな。さすが俺の自慢のお姉さまや!
「以上、五名の選手が競い合い、勝者は一人!勝つのは人か、マシーンか!」
『マシーンってなに?』『さぁ?』といった声が聞こえたが華麗にスルー。
日本語は通じるのに機械関係は絶望的とかよくわかんねぇ世界だわほんと。
あ、ちなみに『音声拡張魔法具』とかいうマイクもどきを使ってしゃべってます。
なんでもありか。まぁ『破軍炎剣』もいるしな。
「選手のみなさん、準備はよろしいでしょうかぁ!?それでは、第一回大食い大会・・・開始!」
ピィー!と笛が鳴り、一斉に動き出す選手たち。
「各選手、色々な食べ方があるようです!キモハン選手は大口を開けて一気食いです!ゆっくり食べているようですが大丈夫でしょうかぁ!?」
デブ一号が美味そうにホットドッグを食っている。
それに触発され、屋台でもホットドッグがガンガン売れているようだ。
俺の商才が怖いぜ。
ちなみに俺達姉弟と仲が良い人とノエルさんの知り合いの屋台を一番利益が出るであろうこの大食い会場の近くに配置している。
縁故採用?コネ?当然だろうが!世の中そんなもんなんだよ!
これでこの大食い大会のおこぼれからあぶれた商人たちに『初月姉弟に便宜を図ればいい思いができる可能性がある』と思わせられるだろう。
商人は自分達に利があるとわかれば味方になってくれるからな。
冒険者をさきねぇの天性のカリスマで、商人を利益で味方に引き込めれば異世界での生活も安定するだろう。
クククク。俺はさきねぇとの楽しくて幸せな異世界生活を過ごすためなら手段はえらばん!
「(なんかヒイロさんが見たこともないくらい邪悪な笑顔を見せている・・・かっこいい!)さぁネルトコ選手も一気食べ、いや違う!一気飲みだぁー!一気に飲み込んでいる!大丈夫なのかぁ!?」
「良い子は真似しないで、ゆっくりよく噛もうね?」
こういう気配りは大事よね。
「アルガ選手は二口で食べる作戦のようです!すごい早さでホットドッグがなくなってゆきます!」
「あの身長であんなに食べられるというのは、さすがドワーフというところですね。」
よくわからないが、適当にそう言っておく。
だってドワーフの知り合いなんてアルゴスさんしかいないし。
「さぁ本日の目玉の一人と言うべきヴォルフ選手ですが、口いっぱいにほお張りむしゃむしゃと咀嚼しております!」
「リスみたいでかわいいですね!いいですね!ケモナーの気持ちが少しだけわかった気がします!これで女の子だったら最高でしたね~。」
「!? よく食べる女の子好きですか!?私、いっぱい食べるん「チェンジで。」早い!!」
そんな会話をして、さぁ次はさきねぇの番というところで、周囲からザワザワとした気配が伝わってきた。
ふふふふ、勝ったな!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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