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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第八章 仁義なき聖戦!姉VS兄!編
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第七十七姉「全くです姉上。無知とは最も恥ずべき大罪の一つですね。」

新章です。

今話は、自分で考えたのに『これはさすがにねーだろw』と自分で爆笑してしまったネタがあります。

面白いか面白くないかは皆さんのご判断にお任せします。

なお、原作とは一切関係ありません。

 どうもこんにちは!E級冒険者の初月緋色です!

 なに、聞こえなかった?しょうがないなぁ~。

 E級!冒険者の初月緋色です!ひゃっはー!




『愛と正義と以下略ムーン事件』から一ヶ月ほど経った。

 もうこの世界に来てから二ヶ月以上。月日の流れは早いものだ。

 あれから気の向くままに依頼を受けたり、休んだり、遊んだりしてきた。

 森でE級魔物を100匹以上ぬっ殺したり、遺跡を発見したりと実績を積んだ俺たち姉弟は、晴れてE級に昇格することになった。

 普通、F級からE級に上がるには1~2年かかると言われている。

 それを一ヶ月とちょっとで昇格したのだ。異例というほどではないが、スピード出世であることには間違いない。

 ラムサスさんからはD級昇格も打診されたが断った。

 一気に昇格すると妬まれる恐れがあるからな。

 どうせいつかは昇格できるのだ。慎重に穏やかに過ごして生きたいと思います。



 今日は暇つぶしに適当に依頼を受けにいく途中だ。

 森の奥地に生えてるブルーハーブでも採ってこようかな。


「あ、ヒロ、今『ブルーハーブでも採ってくるかー』みたいな顔したでしょ!アルゼン葉っぱ隊はいいわよもう。あーきーたー!」

「む、じゃあ何受けたい?希望をどうぞ姉上。どんな願いも3つだけ聞いてあげましょう。聞くだけな。」

「正に外道!」


 あーでもないこーでもないと話し合いながらギルドに入る、といつもと雰囲気が違った。

 ギスギスしているし、なんか怒鳴り声が聞こえる。

 ケンカか?愉快だねぇ。関係ないからスルーだな。


「あ、ムラサキさん!ヒイロさん!いいところに!」

「おお、スーじゃん。なんかあったん?」

「実は流れのC級冒険者が、冒険者二人組みにからんでるんですよ。支部長も外出してるらしくて、どうしようもなくて・・・」

「ふーん。ほっとけば?あたしらには関係なっしんぐ。」「そんなんギルド職員に任せておけばいいやん。」


 チラ見すると、獣人の男女二人と人間の臭そうなおっさんの姿が。

 言い争う声が大きくなり、内容が耳にはいってくる。


「もう一度言ってみろ!」

「獣くせぇ魔物もどきがしゃべんなっつってんだよ。いいからそこの犬娘よこせ。遊んでやっからよ。」

「てめぇみてぇなクソヤローに妹を渡すはずねーだろボケ!いっぺん死ね!」

「ぁあ?やんのか犬ころ。」


 ほぉ・・・前言撤回だわ。

 兄妹きょうだいを見捨てたならば姉弟きょうだいにあらず。

 さて、愛と正義とキョウダイの名の下に、あの人間のクズ代表みたいなカスの首でも切断しますかねー。

 ≪水鋭刃アクアチャクラム≫を創造しようとしたら、すでに動いているお方がいた。

 もちろん我らがお姉さまだ。


「ちょっといいかしら?」

「あん?おお、犬娘よりよっぽどいい女じゃねーか!やっぱお前いいや。こっちの女と遊ぶわ。」

「あの、臭いから消えてくれません?」

「・・・あ?」


 瞬間、殺気が吹き荒れる。

 ふむ、腐ってもC級か。この程度の圧力はかけられるらしい。

 スレイを含め、周りの冒険者達は顔が青ざめている。

 まぁノエルさんと特訓している俺らからすればこの程度の殺気、ダックスフンドに吠えられてるようなもんだ。

 ノエルさんの殺気はタイガー(しかも毛色は白)!って感じ。


「いいから消えなさいって。口の臭さがギルド内に充満して困ってんだけど。」

「このアマぁ・・・俺はC級のロド「それが?お前も冒険者ならランクじゃなくて二つ名で自分を語れよ。」

「な、なんだと?」


 二つ名で語れとかまた無茶な・・・

 獣人兄妹は突然の事態にポカーンとしている。


「はぁ・・・ちょっとヒロ聞いた?こいつ、二つ名も持ってない癖にこの私にケンカ売ってるみたいよ?私を誰だと思ってるのかしらね?」

「全くです姉上。無知とは最も恥ずべき大罪の一つですね。」


 とりあえずのっかったけど、これからどうすんだろ。


「て、てめぇは二つ名持ちだっつーのか!?あぁ!?」

「当然だろうが恐怖!悪臭マンよ。」

「な、なら、名乗ってみろや!お前の二つ名をよぉ!」


 当然なのかよ。弟だけど初めて聞いたわ。

 しかしすごいな。

 よく考えれば、いや、よく考えなくても『ランクじゃなくて二つ名で自分を語れ』とか完全に意味不明なのに、なぜか二つ名で勝負しなきゃいけないような雰囲気になっている。

 完全にさきねぇのペースだ。


「いいでしょう。耳をかっぽじってよく聞きなさい。私の二つ名は・・・」


 誰かがゴクリ・・・とつばを飲み込む音がした。




「『絶対姉姫シスタープリンセス』・・・『絶対姉姫』の紫よ!」




 声を出して笑わなかった自分を褒めてやりたい。

 人生でベスト3に入るほどのファインプレイだ。

 なんでそこチョイスした?


「し、『絶対姉姫』・・・?」


 お願いだからいい歳したおっさんがシリアスな声で『し、しすたーぷりんせす・・・?』とかいわないでくれ!俺の我慢強い腹筋が超新星爆発しちゃう!


「そん、そんな二つ名聞いたことねぇぞ!適当なこといってんじゃねぇ!」


 さて、そろそろお姉さまの援護射撃といきますか。

 俺はチラッと周囲の冒険者たちに目線を送る。

 そして口を『イー』の形にする。

 さすが紫連合。それだけでわかったようで皆、一様に頷き、口を『イー』の形にする。

 すると、聞こえるか聞こえないか、でも耳を済ませれば丸聞こえなレベルの音量でひそひそ話が開始される。


「おい、あの冒険者、よりによって『絶対姉姫』にケンカ売ってるぞ」「終わったな」「せっかくC級になれたのに、今後は一生病院のベッドの上ね」「『絶対姉姫』なら100回くらいは殺しそうだよな」「いや、相手が殺してくださいって泣き叫ぶまでいたぶり続けるだろ」「ともかく、あいつ、人生終了のお知らせだわ」「ザマぁwww」


 その声はC級のロドなんとかさんの耳にも入ってる。

 ちょっと震えてる。ちょろい。


「・・・くそぉぉぉ!だったら、その二つ名にふさわしい強さを見せ、て、み・・・」


 ロドなんとかさんが最後まで言い終えることはなかった。

 さきねぇが冗談の最終形態みたいなでかい剣を魔法袋から取り出し、肩に担いだからだ。

 アルゴスさんから強奪ちょうだいした超大剣のノブナガさま(命名さきねぇ)だ。

 竜の首を刎ねる為に作られたソレの大きさは、地面に刺して後ろに回ったら体がすっぽり隠れてしまうようなレベルだ。

 そんなものを片手で持ち上げ、肩に担いだのだ。両手持ちにしたらどれほどの速度と威力がでるのか想像もできない。


「私はとても優しいので、もう一度いいます。消えなさい。私はとても優しいので。重要なことなので二回言いました。」


 さきねぇがまるで聖母のような笑顔で殺気を放つ。

 おお、こわ。我が姉ながら、なんつー恐ろしいプレッシャーや。おしっこちびりそう。

 ロドなんとかさんは顔面蒼白だ。

 さぁどうでるかな。現段階で俺も≪水鋭刃≫を六枚、すでに創造済みだ。

 もし自暴自棄になってさきねぇに手を出そうとしたら・・・・・・殺すか。


「っっっっっっくそが!覚えてろ!!」


 完全に雑魚臭を漂わせながら雑魚っぽい台詞を吐いて逃げ出す雑魚。

 冒険者の一人が入り口から顔を覗かせ、ロドなんとかが見えなくなるまで見送る。

 そして。


「・・・いなくなりました。」

「・・・・・・ぷ。」

「「「「「「「「「「ヴぁっハッハッはっはっはっはっは!」」」」」」」」」


 ギルド内に大爆笑が響き渡った。


「やばい、受けるー!」「ムラサキさん、なんすか『絶対姉姫』って!初耳ですよ!」「見た?さっきのあいつの顔!アンデッド並みに顔真っ青だったな!」「ムラサキお姉さま素敵ー!」「C級もなんのその!ムラサキさんマジかっこいいっす!超リスペクトっす!」「流れ風情がでかい顔してんじゃねーぞー!」「酒だ!酒持ってこーい!」「宴会だ!鈍器姉弟ドンキーブラザーズにかんぱーい!」


 一斉にさきねぇに群がる冒険者たち。

 ギルド内からは『ムっラっサキ!』コールが鳴り響いている。

 そして、当事者であったはずの獣人兄妹は何が起こったかわからず、目が点になっていた。




うん、まぁそれだけです。

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