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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第七章 敵か味方か!?やつの名は・・・!編
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第七十五姉「・・・いりゅーじょーん!」

感想をくださった方と評価をいれてくださった方がいらっしゃいました。ありがとうございます。

ヒロくんも「今後もうちの姉をよろしくお願いします。ファン的な意味で。それ以上は無理。」って言ってました。


あねおれを読んでくださった方みんなが姉好きになりますように!

「ねぇ!これちょうだい!」


 そこにはうちのお姉さまと、アホみたいにでかい剣があった。

 え、ティラノサウルスとでも戦うの?




「小回りが利く武器買いにきたのに、なんでそんな斬馬刀みたいな剣もってくんだよ!どんな状況で使うんだそれ!重量級武器はミカエルくんで我慢しなさい!」

「いやー絶対これだって!お姉ちゃんの第六感がビビビッときたのよ!最悪、さっきのミスリルソードを返却してこれ買う!」


 メイン武器がハンマーと超大剣とかバランス悪すぎだろ・・・

 そりゃ俺だってさきねぇがこんなでかい武器振り回したら、感動で失禁する可能性すらあるけど。

 勝手に裏口から武器持ってきて、さすがのアルゴスさんも険しい目つきだ。


「・・・おいムラサキ。それ、振れんのか。」

「え?そりゃ振れるでしょ?」

「・・・・・・ちょっとやってみろ。」


 あまりのでかさに、外に出る俺たち三人。

 店の近くにいた人たちがビックリしている。

『おい、あれ、鈍器姉弟じゃないか?』『ほんとだ。すごいかわいいな。』『男の子のほうもけっこうかっこよくない?』

 ざわざわとしだして、今から何が起こるのかと観客が出来始めた。


「やってみろ。」

「やらいでか!」


 その声と共に、持ち上がる超大剣。

 オオオッ!と観客から声があがる。

 こんなかわい美しい美少女が、こんなでかい剣を持ち上げたのだ。当然の反応だな。

 はっはっは!うちの姉でーす!この絶世の怪力美少女はうちのお姉さまでーす!

 超気分いい!


「せぇーのぉ!」


 正眼の構えから、真っ直ぐに振り下ろされる剣。

 ブォォォォォォォォン!

 ウワァァァァ!という悲鳴と共に、正面にいた観客たちが風圧で吹き飛んだ。

 すげぇ・・・なんじゃこりゃ。

 あたったら即死だよ。なんという武器だ!

 ・・・って、だからそれじゃ意味ないんだよ!魔石壊れちゃうでしょ!

 パチパチパチパチパチパチパチパチ!

 観客から拍手が巻き起こる。

 さきねぇは機嫌よく大剣を持ったまま手を振っている。


「まさか人間でそれを扱えるやつがいるとはな。それ、やる。上手く使え。」

「さんきゅーじっちゃん!」


 拍手を背に店内へ戻る俺たち。


「えっと、代金のほうなんですけど・・・」

「やるっていっただろうが。持っていけ。」

「いいんですか?」

「・・・コイツは俺が一刀で竜の首も切断できるような剣が見たくて自分で作ったやつだ。ただ、でかすぎてドワーフだとバランスが悪く、人間ではそもそも持てるやつがいない。獣人は重い武器を持つのを嫌うしな。ずっとお蔵入りしてた、いわば失敗作だ。」

「いや、作る前に気付きなさいよ。その顔でドジッ子とか流行んないわよ?つーかこれ失敗作なの?折れたりしない?」

「せんよ。出来自体は問題ない。使える者がいなかっただけだ・・・しかし、どうやって持って行く?かなり重いぞ?」


 ああ、そっか。さきねぇの魔力のこと話してなかったな。

 アルゴスさんならいいだろ。

 さきねぇの魔法力と魔法量について話す。


「色々おかしな娘だとは思っていたが、まさか魔法力Sとはな。しかし、魔法量G(-)か。聞いたこともないな。魔法袋に入るのか?」

「おふ、こ~す!種も仕掛けもないこの袋!こ~れ~に~?」


 コンビニのビニール袋くらいの大きさの魔法袋に、物干し竿に近い長さの剣がスルスル入っていく。

 何度見てもビックリドッキリアイテムだな。


「・・・いりゅーじょーん!」

「ほんとに入りやがった。魔法使いは便利でいいもんだな。」


 ちょっと羨ましそうなアルゴスさんだった。

 その時、お店のドアが開く。


「私だ。二人はきている・・・な。いい武器は見つかったか?」

「エルエルおっす!」「お疲れ様ですノエルさん。」「ノエル様、ようこそいらっしゃいました。」


 ノエルさんだ。

 いつもかわいらしい服装だが、今日はフリフリのドレスみたいな感じだ。


「おお、どうなされたのですかノエル様。いつにも増して美しいお姿で。」

「ああ、これか?ガイゼルのやつが贈ってきたんだ。しかもどこで知ったんだか、ヒイロとムラサキの分までな。あいつは相変わらず耳がいいらしい。」

「ガ、ガイゼル様からですか。それはすごいですね・・・」


 誰や。置いてきぼりすぎだ。

 そしてニコニコしすぎだろアルゴスさん。

 この風景だけ見ると『おじいちゃんと孫』って感じだな。


「ちょっとその、がいぜる~ん?とかいうやつはどうでもいいけど、私たちにもそんな感じの服用意してくれたの!?」


 ひゃっはー!と喜ぶさきねぇ。

 こういうフリフリヒラヒラした感じの服も好きなんだよなこのひと。目立つから。

 つーか、がいぜる~んてどんな間違いだ。宇宙天使~んか。


「うむ、ちょっと待て・・・これだ。ガイゼルのことだから、大きさも多分合ってるだろうな。」

「「おおおおおお!!!」」


 ノエルさんが手にしたのは、純白をメインに金色で縁取りされた美しいドレスだった。

 なんというプリ○セスローブ!


「いいじゃんいいじゃん!着てみていい!?」

「ああ、ムラサキの物だからな。アルゴス、奥の部屋を借りるぞ。」

「どうぞお使いください。」


 そして三人・・でゾロゾロと奥の部屋へ入ろうとする。


「・・・おい待てヒイロ。どう考えてもお前はここで待機だろ。」

「!? なん、だと・・・?」

「いや、普通だろ。なんでそんなに驚く。」


 わかってねぇーなぁアルゴスさんはほんとによぉ!シスコンっつーものをよぉ!!

 はっ!でも、目隠しとかして、ドレスに着替え終わったさきねぇを一気にバーン!と見たほうがいいかな!?

 それとも、ドアの隙間から少し覗いて、見えそうで見えない感じで見たほうが!?


「俺はどうしたら!!どう思いますアルゴスさん!?」

「なにがだ!?」


 そんなことを話しているうちに、さっさと部屋に入るさきねぇとノエルさんだった。

 ご丁寧に部屋の前に炎の壁まで作ってやがる。これではドアの隙間から覗けない!

 のぉぉぉぉぉえぇぇぇぇぇるぅぅぅぅぅう!!!!

 生まれて初めてノエルさんを呪った俺だった。



 着替えること十数分、ついに炎の壁が消え、ドアが開いた。

 

 そこには女神がいた。


高天原たかあまのはら神留坐かむづまります、神漏岐かむろぎ神漏美かむろみみことちて・・・」

「祝詞!?知らない間にその高みにまで登ってたのね私!?」


 正座をし、目を瞑り、手を合わせ、ぶつぶつと唱え始めた俺に、完全にドン引きのノエルさんとアルゴスさん。

 わかるまいな、異人にこの神々しさは。これだから黒船世代は困る。

 ごめん、あまりの神聖さにちょっと混乱してるんだ。


「いやーまさかそこまで感動されるとは。今日一日これでいこうかしら?」

「すごくいいと思います!ぜひそうしましょう姉上!」


 ノエルさんとアルゴスさんのおじいちゃん・おばあちゃんコンビは『えっ』って顔してる。

 例え相手がノエルさんであろうと、文句があるなら俺が相手だ!




 結局、そのまま着替えずアルゴスノブキヤを後にする。

 アルゴスさんの『こいつら、やっぱどっかおかしいな』という苦りきった顔が印象的だった。

 とりあえず市場に向かい、なんか買おうかという話になった。

 さきねぇはノエルさんにミスリルブロードソードのマサムネさん(命名さきねぇ)を見せながら楽しそうに自慢話をしている。全然刀じゃないけど、このネーミングセンスが紫クオリティ。

 正直ノエルさんにとってはしょぼい武器なんじゃないかと思ったが、見ているこっちまで微笑んでしまいそうなほど、嬉しそうにさきねぇの話を聞いているノエルさん。

 よかったねおばあちゃん・・・ほろり。


「おい、どうしてくれるんだ!?」


 そんな時、近くで怒鳴り声が聞こえた。ケンカか?

 そこには手下と思われる男を数人引き連れた変な男と、出店をやっているっぽいおっさんと女の子がいた。

 足元には大量のりんごっぽい果実が転がっている。

『貴族に目を付けられるなんてかわいそうに』『服にちょっと水がはねたくらいでそこまで』と周りの人々が囁いている。

 ふむ、どうしたもんか。

 これが物語なら熱血主人公が助けるところだが、貴族を敵に回してさきねぇに危険が及んでは意味がない。俺にとって見知らぬ百万人の命より、さきねぇ一人の命のほうが何億倍も重いのだ。

 さきねぇは気分屋だし、ノエルさんは仲間や家族以外にはけっこうドライだし。

 よく考えると、正義っぽさが全然ないね俺ら。まぁ勇者でもないしね。

 もし手を出すようなら止めに入るか?

 そんなことを考えていると。


「そこまでよ!」


 どこからか、よく通る声が鋭く響く。

 なんか聞き覚えがあるような?




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


イ、イッタイダレナンダー!

あと、ドレスに関してはあの名前で画像検索してください(笑)


ガイゼルさんは冒険者ギルドの頂点に立つ九人の役員の一人で、めっちゃ偉いおじさんです。ノエルさんの熱狂的ファンでもあり、ことあるごとにノエルさんにゴスロリ服を贈る変態紳士です。

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