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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第六章 脱ニート宣言!冒険者ギルドで依頼を受けてみよう!編
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第七十三姉 番外編『それぞれの何気ない一日』

たまには三人称で。

イベントは何も起こりません。みんないつもどおりの日常生活です。

 ~初月姉弟の場合~


 昼下がりのノエル宅。

 まったりと過ごしている姉弟。

 緋色はコトコトと音を立てる鍋をかきまわし、何度もシチューの味を確かめている。

 一方の紫はブリッジをしながら室内を徘徊するという、見る人が見たら心臓麻痺を起こしそうな奇行の真っ最中だった。


「・・・ふむ、いい感じになってきた。さきねぇー!味見するー?」

「するー!」


 カサカサと音のしそうな格好で緋色に近づく紫。

 緋色ですら一瞬びびっていた。


「こわ!?なにそれ怖い!何に取り憑かれたんですか?」

「実は、弟を求めて這いずり回る姉の霊に・・・」

「いや、普段の行動と全く変わんないよねそれ。つーかそれ自分の生霊じゃね?」

「確かに!」

「「AHAHAHAHA!」」


 相変わらずアホな姉弟だった。




 ~ノエルとアメリアの場合~


 アルゼンの街の教会。

 ノエルはここでアメリアと一緒にお茶を飲んでいた。


「それでな、その時にヒイロが『ノエルさんに会えてよかった』っていってな!」

「ふふふ、よかったじゃないですか。」


 傍から見ると祖母と孫だ。

 もちろんエルフ族と人間族なので、事実は全く異なるのだが。


「ムラサキなんか、急に走り出してな。困ったものだ。」

「ふふふ、そうですねぇ。」


 全く困ってないというか、むしろとても嬉しそうに話すノエル。

 アメリアもこんなに機嫌のよいノエルを見たのは本当に久しぶりだ。

 子供の頃はノエルと友人として気軽に接していたが、大きくなるにつれてノエルの偉大さ・すごさを知れば知るほど、気軽に接することができなくなってしまった。

 はじめて呼び名を『ノエルちゃん』から『ノエル様』に変えた時の寂しそうな顔は今でも忘れられない。

 自分はできなかったが、どうか初月姉弟だけは最後までノエル様を取り繕ったり、気を遣わない家族として接して欲しいと心から願うアメリアだった。




 ~ラムサスの場合~


 ギルドの支部長室。

 ラムサスはいつものように大量の書類に囲まれていた。


「はぁ・・・まさかこの俺がこんな事務仕事をやることになるなんてな。」


 ノエルの役に立つためにどうすればいいかと考えたラムサスは、ギルドで出世する道を選んだ。

 ノエルには自分より強い友人など大勢いる。その中でノエルに忘れられないためにどんなことで役に立つかと考えた結果だった。

 他の冒険者と違い、頭の回転が早かったラムサスは必死に勉学に励み、ギルドのために働き、今の地位を得た。

 そのことに後悔はない。

 そのおかげでノエルが他の誰でもない、自分を頼ってくれたのだ。

 しかし。


「この書類の量はねぇよな~・・・」


 こう見えて天才剣士として第一線で活躍した冒険者なのだ。

 たまには外に出て冒険したり、強い魔物と命がけの戦いをしたいと思ってしまう。

 基本的には戦士なのだ。

 ただ、ある程度なら指揮も執れるし、戦略や計略にもそこそこ通じる。

 それに加え後方支援や補給作業などの裏方もこなせる。

 ここまで万能的に動ける人材はギルド内でも少ない。

 なら戦いは脳筋に任せて、出来る人間の少ない事務全般でこきつかってやろうというギルドの思惑だ。


「くそっ、本部いったらもっといい待遇で働けんのかな。いや、でもあそこ魔窟だっていうしな・・・結局天才に暇はなしってところか!あっはっは!」


 あまりに疲れたためにテンションがあがってしまうラムサス。


「不謹慎だけど、魔物の群れでも攻めてこねーかなー。で、俺がかっこよく登場!魔物どもを蹴散らす!キャー!ラムサス支部長素敵!抱いてー!みたいな!ふ~!」

「・・・・・・あの、支部長、この書類にサインをお願いしたい、んですけど・・・無理そうなら、いいです。お大事に。」

「・・・・・・そこ置いといて。」


 その日を境に、部下が少しだけ優しくなったラムサスだった。




 ~マリーシアの場合~


 昼過ぎの酒場にて。


「親父ー!もう一杯!」

「マリーシアちゃん、もうよしときなって。」

「うっせー!私は客だぞー!さっさと酒持ってこいやぁ!」

「ふぅ、はいはい、今持ってくるよ。」


 頑張ってラブ全開で攻めているのに緋色からウルトラスルーされているマリーシアは、久々の休日に飲みまくっていた。


「くっそー、なんで姉なんだよ。おかしいだろ。ムラサキなんてちょっと若くてちょっとかわいくてちょっと胸が大きくてちょっと魔法力Sでちょっとクソ強くてちょっと明るくてちょっと人気者で勝てねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 叫び、頭を抱えるマリーシア。

 酒場のマスターは気の毒そうな顔を、周囲の客は哀れみの表情を見せる。


「そりゃそうだよな、あたしだってヒイロさんだったらムラサキいくわ・・・でも、ヒイロさん以上の優良物件なんて今のアルゼンには存在しないしなー。しかもヒイロさんのいいところはちょびっと年上でも大丈夫なところよね。」


 以前、ギルド内で緋色が『女性は20歳過ぎてからが本番でしょ。20半ばとか激熱じゃないですか』と発言したことから、緋色はいまや冒険者ギルドアルゼン支部の20歳以上の女性から圧倒的支持を受けている。

 いうなれば、異世界の氷川き○しだ。


「最悪、妾的な感じでもいいな。優しいし。邪険には扱われないでしょ。でもそうすると第一夫人と母親にいじめられそう・・・なんてかわいそうなあたし!親父、もう一杯!」

「この飲んだくれてる時間をデートとかに回せばいいのに・・・」


 マスターのその言葉と優しい心は、酒を一気飲みをするマリーシアには届かなかった。




 ~初月姉弟とノエルの場合~


 日も暮れたノエル邸。

 ギルドにいったり色んな場所で人と会ったりして疲れたノエルは、教会でお茶をして家に帰った。


「遅れてすまないな二人とも。今夕ご飯をつく・・・ん?なんだこのいい匂いは?」

「エルエルおかえり~」「ノエルさんお帰りなさい。疲れたでしょ。今ご飯用意してるから、座って待ってて?」

「もしかして、二人が夕ご飯を作ってくれたのか?」

「せっかく自分達でお金も稼げたし、たまにはいいかなって。さぁさぁ座った座った!」

「ふ、二人とも・・・」


 ジーンと感動しているノエル。完全に二人のお祖母ちゃんである。


「特製シチューにサラダにたこわさにボルボル鳥のからあげに、本日の目玉!釜玉うどんです!」

「うどんは私が作りました!」


 たゆんと揺れる大きな胸を張る紫。素晴らしい動きである。


「これをム、ムラサキが作ったのか?大丈夫なのか?」

「大丈夫です。普段のさきねぇを見てると全く思えないでしょうが、実は料理めっちゃ得意なんで。めんどくさいからやらないだけで、何作っても俺よりおいしいですよ。」

「あー久々に料理なんかしたから疲れたわー。あ、今日は三人でお風呂はいろっか!エルエルはちゃんとタオル巻いて入りなさいよ。」

「たまにはそれもいいな!よし、せっかくだから、冷めないうちに食べよう!」


 普段なら『一緒になんか恥ずかしくて入れるかー!』という場面だが、今日は嬉しすぎてなんでも許してしまいたくなるノエルであった。



 そんな、なんでもない日常の話。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


今回の番外編はラムサスさんのあるある中二妄想と、マリーシアさんのやけ酒が書きたかっただけです(笑)

それと、釜玉うどんにシチューをぶっかけると意外においしいです。

シチューが余って困った時にどうぞ!


次回から第七章に入ります。宜しくお願いします。

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