第七十姉「ヒロ、これには深いわけがあるから、落ち着いて聞いて欲しいの。」
感想いただきました。
「吹きました」って言われて、すごい嬉しい自分がいました(笑)
ボケとかギャグって、他の人が見て面白いのかどうかわからないから怖いですよね。
「ん。ヒロが食べさせてくれたから世界で最高においしいわ♪」
「そりゃよかった。」
日本だろうが異世界だろうが、やってることは全く変わっていない俺たち姉弟だった。
「ごちそうさまー!けっこうおいしかったわね!・・・そして眠くなった。」
「おいおい、こんなところで寝るとか無理だろ常識的に考えて・・・と、言いたいところだが!はいこれ!『結界陣』~!」
俺は畳二畳分ほどの絨毯のような敷物を広げる。
「なにそれ。セーブポイント的なやつ?」
「ノエルさん曰く、この中にいると防御結界が働いて、さらに魔物から認識されなくなる優れものらしい。しかも効果持続時間およそ6時間。素敵!」
「なんかさっきからすごいわね。エルエルが猫型ロボットに見えてきたわ。」
「なら俺は四次元ポケットをパクったの○たくんか!はははは!・・・誰がの○ただ!ぶっ飛ばすぞ!」
「ゆ、ゆとり世代の被害妄想こえぇ~・・・」
別にゆとり世代じゃねーよ失敬な。つーか双子なんだからあんたもだろ。
「とりあえず、洞窟に戻ってこれを敷こう。さすがにここじゃ狙われやすい。」
「せやな!一緒に寝ましょう!性的な意味で!」
「一緒に寝ましょう。あねおと的な意味で。」
「つまり、性的にってことね!」
「なぜそうなる!?」
結局、エロスなことはしない方向で一緒に寝る、ということで合意を得た。
洞窟の出口(入り口?)まで戻り、結界陣を敷いてその上に毛布をおく。
二畳分くらいしかないから二人だとちょっとせまいが、それはそれでよし。
念のため、前方と後方に水のカーテンを作り、氷で固めた。
これで睡眠中になにかが来ても、氷を破壊しなければこの結界までこれまい。
もぐら型魔物がいたら効かないが、ないよりマシだろう。
「普通は交代制だろうけど、結界陣もあることだし、ゆっくりしますか。」
「そうね。」
二人で体を丸め、頭をくっつくように横になる。
「ねぇヒロ。なんかキャンプにきてるみたいね。」
「くまさんに遭遇してるから、どっちかつーと登山な気がしないでもないけどね。」
「・・・ねぇねぇ、好きな子いる?」
「ぶっ!・・・いやだよ恥ずかしい。お前はいんのかよ~?」
「えー、ないしょ~?」
「じゃあ俺もないしょー!」
「いいじゃん教えろよー。」
「じゃあ、いっせーのーせ!で言い合おうぜ。じゃなかったら言わないー。」
「いいわよ~?いっせーのーせ!・・・で言うんだからね。」
「うわーそれ絶対やると思った!マジひくわー。」
「ごめんごめん、じゃあいくわよ~?」
「「いっせーのーせ!」」
「さきねぇ!」「ヒロ!」
「「・・・ぷ、あはははははははははは!!!」」
はたから見たら、完全にアホだな俺ら。
「修学旅行にきたみたいね!」
「修学旅行先が異世界とか、ある意味贅沢だな・・・」
「ただし、何か起きた場合、当社は責任はおいませんし、命の保障もありません。それでもよければサインを。」
「免責事項あんのかよ!しかも危険率がジェットコースターの比じゃねぇぞ。完全に殺しにかかってるな・・・」
地球に戻ったら『修学旅行にいったら異世界にいました』なんてラノベもありそうだな。探してみよう。
そんな感じでいちゃいちゃしながら眠りにつくのだった。
(注・危険な森の中です。絶対に真似しないでください。)
キョーキョーと鳥(?)の声が聞こえる。
「…ふぁあああぁ。」
目を開ける。まだ薄暗いが、無事夜を越せたようだ。
隣を見る。あれ?さきねぇがいない。
きょろきょろあたりを見渡した後、姉の姿を求め洞窟の出口まで移動する。
あ、いた。
さきねぇはなにかをじっと見つめて、ごそごそやっている。なんだ?
手に持っているのは・・・昨日の俺の服?
それを、思いっきり顔面にダイブさせた。
スンスンという音が聞こえる。
さきねぇ、末期のブラコン病だとは知っていたが、もはやその領域なのか・・・
そのまま見ていること数分、さきねぇがチラッとこっちを見る。
当然、俺と目が合う。
「・・・おはよう。」
「・・・おはよう。なにやってんの?」
「ヒロ、これには深いわけがあるから、落ち着いて聞いて欲しいの。」
「ああ、落ち着いてるよ。聞きますよ。」
別にこの程度のことで俺の姉さんへの愛情は揺らがないが、興味はある。
さぁ、さきねぇはどんな言い訳を用意してるんだろうか。
「ヒロの服のにおいを嗅いでたの。」
「まんまじゃねーか!!」
単なるいきすぎた愛情でした。
「は?なんか文句ある?つーかあたし姉なんですけど?別に弟の服のにおい嗅いだってよくない?なんか法律違反でもしてますかわたし?」
「いえ、別にしてないです・・・」
「でしょ?ほらなんの問題もない。これだからヒロは・・・」
やれやれといった感じで両手を上げ、顔を横に振るさきねぇ。
なんなんだよこの流れ。イミフ。
「さて、朝ごはんにしましょうか。これ材料ね。」
何事もなかったかのように一日をスタートさせようとしているお姉さま。
ここは『エロ本を見つけても何も言わずに机の上に置いておく母親の愛』作戦でいくか。
・・・って材料?
さきねぇの後ろを見ると、魔物と思われる死体が散乱していた。
・・・材料にしたくても、ほぼ全て布団圧縮袋にかけられたかのようにペシャンコなんですけど。
血まみれのミカエルくんが『わたくし、がんばりましたわ!』と言っているようだ。
え!?お前、お嬢様系ハンマーだったの!?
「・・・さきねぇ、これ、食べたい?」
「正直食べたくない。」
「だよね。魔石だけ回収しよう。朝ごはんは魔法袋の中のものをたべませう。」
白米ごはんに梅干的な果実?と昨日の鮎もどきの残り。
飲み物はもちろん≪聖杯水≫だ。
自分で言うのもなんだが、≪聖杯水≫めっちゃうまい。
寝不足のときに飲んだら、目が萎むほど涙が出て充血がスッキリしそうなレベル。
いつかレモン味とか炭酸入りとか創造できるように頑張りたいと思います。
さきねぇが両手でごはんと鮎もどきを掲げる。
「最強!これ最強!」
「わかったわかった、おれとーちゃんじゃないから。」
「おとーとちゃん、だけどね!」
「こいつは一本取られたな!」
「「はっはっはっは!!」」
ノエルさんというサブツッコミ役が不在なため、ボケっぱなしが多くて困る。
朝ごはんを食べ終え、さぁ行動開始!と思ったが。
「「どうすんべ?」」
ここは森の中。方角も距離も見当がつかん。
「ここに電柱があったらその上に立つんだけど・・・」
「いや意味わかんないし。なんだっけ?セーラー金星さん?」
「まぁいいや。A!『私たちは木に登った!14ページへ!』B!『川沿いに歩いた!14ページへ!』」
「四面楚歌じゃねぇか!どっちも選びたくないよ!しかも電柱うんぬん投げっぱなしかよ・・・ここはCの『アイテムを利用する!』で。」
魔法袋に手を突っ込む。迷子用にもらったアレが・・・あった!
「じゃじゃーん!『這い寄る混沌の指輪』ー!これを地面の上におくとアラ不思議!もう一対の指輪がある方向へズリズリと動き出しますのよ!」
「あら、素晴らしいですわ!そして指輪、また私何も聞いていないのですけれど、どういったことなんでしょう?」
「ノエル様が『きっとムラサキに渡したら、私とヒロで指輪はめる!運命の赤い糸よ!とかいいだすからナイショな。』って仰ってましたわ。」
「あの美少幼女め・・・確かに。」
まぁそうだよね。さきねぇ的には当然だよね。
とりあえず俺たちは指輪が動いた方向へ歩き出した。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
さっそく『14へいけ!』使わせていただきました(笑)
最初のネタは、444ページと666ページで「どっちも不吉すぎるだろ・・・」でした。
 




