第六十四姉「あははははは!ざまぁ!このあたしに対して『ちょっとババアだよな』とかいった報いだ!まだ26歳だよ!わけぇっつーの!」
ついに連載再開!タイトルも変わり、リニューアルオープンでございます。
毎日死にそうになりながらもコツコツ書きましたよ!やったねノエルちゃん!
紫さんのやんちゃっぷりもパワーアップ!変態度もパワーアップ!怖い!
緋色くんは!・・・普通?
休載中もブクマを入れてくださったり評価を下さったりと、ついに累計600・ブクマ200・評価200突破致しました!
応援して下さる皆様のおかげです。ありがとうございます。
初月姉弟とノエルさんも、お家でやったねパーティーを開いてました!
そこで誰が一番人気かで紫さんとノエルさんがもめてました。
緋色くんは怒鳴られても殴られても寝たふりを死守していました。
「いよぅ、鈍器姉弟!もしかして初依頼か?ついていってやろうか?」
「うっせー巨大なお世話だっつーの!ヨユーだっつーの!華々しいデビューを飾ってみせるっつーの!」
「ぎゃっはっはっは!言ってることがルーキー丸出しだな!まぁ死なないように頑張れや!」
まわりからも『応援してるぞ鈍器姉弟!』『鈍器姉弟!王都まで鳴り響くくらいのデビューを飾ってやれ!』と笑い声が響く。
俺たち姉弟が『鈍器姉弟』などという、配管工兄弟とゴリラ兄弟を混ぜたような親しみ?のある呼び名で呼ばれているには訳がある。
あれは『試験は受かったけど、的真っ二つで俺真っ青事件』(第六十二姉)で試験会場から逃げ出した直後のことだ。
回想開始!
ほわんほわんほわんほわん・・・
俺はさきねぇの手を握り、ギルド内の廊下を疾走していた。
「ちょっと、どうしたのよヒロ。結婚式場から花嫁をさらって逃げるゴッコ?」
「それはそれでかっこいいけど、そうじゃないよ!さきねぇが真っ二つにしたあの的、たしか魔法道具でしょ?損害賠償請求とかされたらやばいからノエルさんに問題ブン投げて逃げてるんだよ!」
「あっはっは!心配しすぎでしょー?通常利用内で壊れたんだからノー責任よ。お店でマッサージチェアに座ってリモコンいじってる時に大爆発起こしたとしても、リモコンいじってた私に責任はないでしょ?同じことよ。むしろこっちが損害賠償請求してもいいくらいよ?」
そ、そうなのか?そういわれるとそうかも・・・いや、でも発言人はさきねぇだからな。一回落ち着いて考えないと・・・
ギルドのロビーまで来た。
すると。
「お、きたぞ!」
冒険者たちが十数人待ち構えていた。
な、なんだこいつら。やる気か!?損害賠償請求をたくらむギルドの犬どもか!?
「せ~の!」
「「「「「「「魔法使い試験合格おめでとー!かんぱーい!」」」」」」」
突然飲み会が始まった。
その時マリーシアさんが俺たちに追いついた。
「はぁ、はぁ、いきなり走らないでくださいよ!・・・あー!やっぱり宴会になってるー!」
「マリーシアさん、やっぱりって?」
「実は、アルゼン支部って魔法使いがすごく少ないんですよ。魔法使いはもっと稼ぎのいい街へすぐに移っちゃいますしね。でも、新人魔法使いって試験を受けた街を拠点に長く留まることが多いんです。つまり」
「兄ちゃんたち!俺たちとチーム組まないか!初心者だろ?いろいろ教えてやるぜ!」「いや、俺たちと組もうぜ!いい稼ぎ場所知ってんだよ!」「そんなむさいおっさんたちより私たちと組みましょうよ!サービスしてあげるわよ?」
「・・・こんな感じになっちゃうんです。」
「なるほどね。あと、そこの女どもぶっ殺すわよ。」
つーか組まねーよ。
さきねぇとのふたりっきりを邪魔すんなおっさんども。
「私の弟にかんぱーい!」
「「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」」
いつのまにかさきねぇは飲み会に参加していた。
なんの違和感も無く合流してんなあの姉。しびれるわ。
あ、ちゃっかりマリーシアさんも飲んでるじゃねーか!あいつ・・・
「ヒ・イ・ロ!ヒ・イ・ロ!」
「「「「「「「「「「「ヒ・イ・ロ!ヒ・イ・ロ!ヒ・イ・ロ!ヒ・イ・ロ!」」」」」」」」」」」
「・・・どうも!魔法使いのヒイロ・ウイヅキです!みなさんよろしくお願いします!」
「「「「「「「「「「「「おおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」」」
俺もまざっちゃった☆
20分ほどたった。
たった20分ほどしか経ってないのに、みんなべろんべろんだ。
それも当然、さきねぇに一気飲み対決を吹っかけたおっさんが即撃沈し、それからもどんどん勝負を挑まれているが、全員敗北しているからだ。
さきねぇはアルコール耐性が半端ないのだ。
なにせ芋焼酎を瓶で一気飲みして『まずーい!もう一杯!』とかいっちゃう女だ。
ちなみに俺は同じことをしたら記憶を失い、目覚めるとさきねぇとベッドで朝チュンしていた。
・・・何もなかった、はずだ。
ガッ!ボギッ!ガシャァァァァァァン!!
「うお!?なんだ!?」
突然恐ろしい音がギルド内に響いた。
音がした方向を振り向く。
そこには、いつのまにかミカエルくんを持ち、スイングしたような姿勢のさきねぇが。
窓を見る。
人が、窓に突き刺さっていた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
絹を裂くような俺の悲鳴が響く。
さ、さつじんじけんはっせい!犯人はヤス、ではなく初月紫!
ど、どうすれば!証拠隠滅のために、あいつ燃やすか!?
まわりの冒険者も唖然と
「ぎゃははははは!ラウルさんがハンマーで殴られて窓に頭突っ込んでんだけど!」「ウケルー!」「あのおっさんすぐセクハラすっからな。いい気味だ!」「もっとやれー!」
していなかった。
え、冒険者ってこんなもんなの?胆力すごすぎじゃない?人死んでる可能性あるんだよ?
「マ、マリーシアさん!すぐにアメリアさんを呼んでください!回復させてあげないと、あの人やばいんじゃ!」
「あははははは!ざまぁ!このあたしに対して『ちょっとババアだよな』とかいった報いだ!まだ26歳だよ!わけぇっつーの!」
それでいいのか職員!
誰も何もしないので、俺が窓に突き刺さっているラウルとかいう冒険者に近寄り助け起こす。
ぐったりしてる!やばいんでねーか?
周りを見てもひたすら酒を飲んでるだけだ。こいつら・・・
か、回復魔法だ!今こそ回復魔法に目覚めるしかない!
えーっと、想像・・・想像・・・怪我が治るってどうなってんだ?
やばい!『怪我が治る』想像ができん!
考えろ・・・考えろ・・・今までの人生で得た知識を総動員しろ!
ホ○ミ、違う。ケ○ル、違う。デ○ア、違う。ラ○ブ、違う、た○ごうみ、違う!
・・・あ!あれだ!DVDでも金曜ロードショーでも何回も見た!
俺は手のひらに≪水球≫を生み出す。そして目をつぶる。
思い出せ、考古学者の博士がパパを助けた『聖杯に満ちた奇跡の水』を!
・・・ふぅぅぅぅ。
「・・・≪聖杯水≫!」
俺は聖杯水をラウルにぶっかける。
じゅわぁ~という音を立てて傷が消えていく。
・・・自分で言うのもなんだが、すごくないか俺?
「・・・あつ!あつ!なんだこれあつ!」
ラウルが起き上がる。よかった!これでさきねぇは無罪だ!
「だ、だいじょうぶですか?何があったんです?」
「いてててて、何があったんだ?たしか、あのねーちゃんのしりを触ろうとして「てめぇなにやってんだぼけさっさと死ねやごらぁぁぁぁぁ!」
俺はマウントポジションを取り、ラウルをぼこぼこに殴りつける。
そこにノエルさんとラムサスさんがやってきた。
「ヒ、ヒイロ!?何をやっている!?そいつは誰だ!?」
「いや、こいつがさきねぇのおしり触ろうとしたとか言うからさ。ちょっと旅行に招待しようと思ってさ。片道切符だけどね。地獄の。」
「地獄!?お、落ち着けヒイロくん!!」
「あーだいじょうぶですよーやだなーもー。おれがそんなことするはずないじゃないですかー?」
顔が腫れ上がったラウルの顔に≪聖杯水≫をぶっかける。
じゅうじゅうと音を立てて、傷がみるみるうちに治っていく。
「!?こ、これは回復魔法!?なぜ使える!?」
「ねーだいじょうぶでしょー?これでーまたなぐれますよー?あはははは!」
「ヒイロ、お前、酔ってるのか!?」
「よってないですよーおれよわせたらたいしたもんですよー?」
「絶対酔ってるー!?」
なんか、マ○ルさんみたいな突っ込みだな。ガビーン!みたいな感じ。
あははは!相変わらずノエルさんはゆかいなひとだなー!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
鈍器姉弟については、初月姉弟のメイン武器をハンマーと棍棒にした時点で絶対に書こうと決めていました。
一ヶ月以上前の話ですね!
≪聖杯水≫は考古学者の先生が主人公の映画、第三作目のアレでございます。元はアレですが、ゲームや漫画の知識も混ざっているため、回復に加え状態異常治療・小の効果もつく優れものです。




