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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第五章 異世界で冒険者になろう!編
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第五十七姉「ここまできたら乗るしかないでしょう、このビックウェーブに。」

今話のようなアホな日常回を書くのはやっぱりとても楽しいです。

予定を繰り上げてさっさと冒険者編終わらせるかもしれません。

ここまで冒険者設定が足を引っ張るとは思いませんでした(笑)

 キレるさきねぇ。

 気持ちは嬉しいんだけど、みんなめっちゃ困ってるから!

 やめて!私の為に争わないで!




「あ、じゃあこういうのはどうです?ノエルさんが倒したことにすればお金も入るし、ノエルさんのすごさも街に伝わる。いいことずくめじゃないですか?」


 顔を見合わせるノエルさんとタイチョーさん。

 なんか変なこといったか?合理的だと思うが・・・


「いや、坊主、いいのか?例え報酬はもらえないとしても、あのブラックサンダーを倒した大型ルーキーってことで、一気にお前の名前が街に知れ渡るんだぞ?有名人だぞ?」

「それに、冒険者ギルドにだって覚えが良くなる。ランク査定に関わらないといっても、ある程度は融通を利かせてくれたりもするかもしれない。」


 ふむ・・・二人の話を聞いても、メリットよりデメリットのほうが圧倒的にでかいとしか思えん。


「ぽっと出の新人が有名になって、変な奴らから目を付けられても困りますし、どうせさきねぇと一緒にいれば、すぐに街の有名人になりますよ、きっと。いい意味でも悪い意味でも。それと、冒険者ギルドが融通を利かせた結果、他の冒険者から嫌われたらそっちのほうが大変でしょ?」

「えー、嫌よ。せっかくヒロが頑張ったんだから、ここは「有名になったら女の子にもモテモテだぞ?」ヒロの案でいくのが一番だと思うわ!さすがヒロ!私も実はそう言おうと思ってたのよ!」


 さきねぇ、安定の手のひら返し。

 ノエルさんは『はぁ・・・まぁ予想はしてたよ』って感じだが、慣れていないタイチョーさんは『え!?言ってることがさっきと全然違う!?』って驚いた顔してる。

 すいません、こういうひとなんです。


「ノ、ノエル様、どういたしますか?」

「そうだな・・・確かにヒイロのいうことも一理ある。私が片付けたことにして、報酬はヒイロに渡そう。それでいいか?」

「こちらとしては、『アルゼンの街にノエル様が長期滞在しており、さっそく魔物を退治してくれた』と話が街中に広まれば、犯罪抑制にも繋がるので願ってもないですが・・・よろしいので?」

「本人がいいといっているんだ、かまわないだろう。上には適当に伝えておいてくれ。ラムサスにはこちらから伝えよう。どうせ二人の冒険者登録のためにギルドへいくからな。」

「わかりました。・・・坊主、いや、ヒイロ。君のおかげで誰も被害にあわずにすんだ。礼を言う。ありがとう。」

「いやー、当然のことをしたまでよ!はっはっは!」


 なぜかさきねぇが答える。まぁいいけどね。


「身分証明を未だにしてないのに、いつも門通してもらってますから。冒険者登録できたら身分証明しにきます。」

「・・・はは、ほんとに坊主は律儀だな。うちの息子も坊主みたいに育って欲しいもんだ。」

「タイチョーわかってるじゃない!それに免じて、今回はタイチョーのポケットマネーは見逃してあげましょう。」

「俺個人から金取るつもりだったのか!絶対にかわいい娘は嬢ちゃんみたいには育てねぇぞ俺は!」

「姉弟なんでしょ?そのうちこうなるわよ?」


『バカね、当然でしょ?何いってんのかしら?』というさきねぇとは対照的に、『マジかよ・・・』と絶望的な顔をしているタイチョーさん。

 どんまい!


「さて、戦った後だからお腹がすいただろう?昼食を食べてからギルドにいこうか。」

「「さんせーい!」」

「ではな。ブラックサンダーの死体はギルドにもっていっておくからな。」

「失礼します。」「タイチョー、じゃあね~ん!」


 俺たちは門を通り、街の中へと入っていった。


「末恐ろしいガキどもだこと・・・しかし。お前らならいい冒険者になれるよ!応援してるぜ!」


 後ろから、そんなエールを受け取った。



「で、結局ここか・・・」

「いいじゃん、俺好きだよ。おいしいし。」

「ギルドに近くて安くてうまいとなると、ここが一番だからな。」


 いつもの定食屋に入る。

 カランコロン♪


「いらっしゃいませー、あ!いつもありがとうございます~!いつものお席で?」

「ああ、頼む。」


 すでに店員に顔を覚えられているようだ。

 だからいつも同じ席に案内されるのか・・・


「今日は何を食・べ・よ・う・か・な~っと。」

「無駄に高いもの頼まないでよ。経費節約。さくせんは「むだがね つかうな !」だからね。」

「大丈夫よヒロ。食べ物っていうのはお腹に入れば消化されて栄養になるから、食べ物に使う無駄金なんて存在しないのよ?」

「じゃあムラサキは一番安いヤサイイタメテイショクだな。体にいいぞ。」

「それは嫌よ?」


 肉食のさきねぇはお肉大好きなのだ。

 そこに、さきほどのウェイトレスさんが割って入る。


「実は今、カップル限「それをもらうわ!」

「最後まで聞いてからにしようよ・・・やだよ俺、実は『ゴブリンの丸焼き』とかだったら。」

「ヒロとのカップル限定料理なら、例えゴブリンでも完食してみせるわ!」

「ふふふ、カップル限定メニューが『ゴブリンの丸焼き』だったら暴動が起きて、この店潰れちゃいますよぅ。」


 無駄に男らしいさきねぇに、微笑で返すウェイトレスさん。

 さきねぇの言動にすぐに対応するとは、やるなこの娘。常連に人気が出るタイプだな。

 いかにも『田舎からでてきました!』って感じだが、その感じがけっこうかわいらしいので、彼女にはそのままでいてほしい。

 ウェイトレスさんと目が合う。


「あ、あの、何か、変なのついてますか?」

「え、いや、大丈夫です。ちゃんと目とか鼻とか口とか、重要なパーツはついてますよ。」


 なぜか顔を赤くしてもじもじしだすウェイトレスさん。

 きっとこうやって常連ゲットしてるんだろうな。魔性の女や。

 ワイは騙されへんで!


「ムラサキ・ファング!」「ぎゃあ!」


 いつのまにか俺のすぐそばまで来ていたさきねぇが、いきなり耳たぶを噛んでくる。

 どっかのプロレスラーか。


「ヒロ、お姉ちゃん、(私以外の)女性をじろじろ見つめるなんて、よくないと思うわ。」

「はい、ごめんなさい。」


 とりあえず謝っておく。

 変に言い返すと「言い訳するの!?」と過激な行動に出る(という実体験)からだ。


「あの、ください。そのカップル限定なんとか。すぐに。いますぐ。カミングスーグ。」

「え!?は、はい!限定メニューはいりま~す!」

「私は、ワイルドイノシシのシチューをもらおうか・・・しかし、よかったのかヒイロ。」

「ここまできたら乗るしかないでしょう、このビックウェーブに。」


 おいしい料理がきますように・・・!

 さきねぇをチラ見すると、カップル扱いされたことにご満悦だ。

 最悪、さきねぇを褒めちぎって全部食べてもらおうかな・・・


 待つこと10分ちょい。

 ついに出てきたその料理は・・・


「「パ、パフェだと!?」」

「ほう、ずいぶん珍しいものを置いているな。」


 ちょっと小さいけど、見た目はどっからどう見てもパフェだ。

 クリームだってのっかってるし、(よくわからない)果物も盛り付けてある。

 それにスプーンが二個ついている。


「ちょっとちょっとちょっとちょっと!こういうのあるならあるって早くいいなさいよ!」

「さ、最近はじまったばかりのメニューなもので・・・」


 さきねぇのヒートアップっぷりに、若干ひいているウェイトレスさん。

 でも、まさか異世界でパフェが食えるとは・・・

 怖いから原材料とか聞かない。

 おいしければそれでいいよ。


「じゃあ、さきねぇ、あーん。」

「あーん♪」

「おいしい?」

「やん、おねえちゃん、ほっぺが落ちちゃいそう!」

「それは大変だ、落ちないように俺が支えてあげないと!」

「もう、ヒロってば~♪じゃあ次は私から!あーん!」

「あーん・・・おお、甘い!ちゃんと甘くておいしい!」

「でしょ?そのおいしさの99割はお姉ちゃんが食べさせてあげてるからよ?」

「すごい増えてる!?」「???」


 学の差が如実に出たようで、すぐにわかったノエルさんと、よくわかってないウェイトレスさん。

 しかし、両者ともに『こいつら、すげぇ・・・』って顔をしていた。

 おいしいな。もぐもぐ。あーん。もぐもぐ。




ここまでお読みいただきありがとうございました。


今話の中の

「やん、おねえちゃん、ほっぺが落ちちゃいそう!」

「それは大変だ、落ちないように俺が支えてあげないと!」

は、ある姉弟漫画のオマージュです。男女逆ですけど。


ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。

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