第四十八姉 「・・・すぅぅぅ・・・女は!度胸と!愛嬌ですわん!」
な、なぜか昨日のPVが前日の約5倍に・・・
そしてブックマーク100件・累計300ポイントになりました。
急激な変化に頭が追いついておりません。
急に地球の裏側から援軍が来たときのアムロさん並の困惑です。
理由はよくわかりませんが、皆様ありがとうございます。
ブックマークだけでなく、評価を入れてくださる方もちらほら・・・感謝でございます。
きっと、隠れ姉好きがいっぱいいたんでしょうね!さすが姉!
今後も初月姉弟とノエルさんをよろしくお願いいたします。
「で、この折れた木はどうすんの?」
「「・・・・・・・・・」」
結局、後で分割して薪として家まで運ぶことになった。
「しかしヒイロ。体の倦怠感とか、めまいとか、そういった感覚はないのか?」
「あー、なんか疲れたなーって気はしますね。頑張ったし。」
「そ、そうか。なら別にいいんだが、具合が悪くなったらすぐに言うように。(かなりの数の水球を創造した上に、あれだけ強力な魔法まで創造したんだ。魔法量Dなら気絶してもおかしくないんだが・・・?)」
そういわれると疲労感があるなと思ってしまう日本人なので、ちょっと座る。
すると、さきねぇが後ろから俺を抱きしめた。
「ヒロー!おつかれちゃーん!やるじゃない、もう!自称宇宙最強のハゲのしっぽくらいなら切断できそうな出来だったわね!」
「なんかそのうち爆発させられて殺されそうだから、そういうのやめてくれ・・・」
さきねぇぇぇぇぇぇ!ちゅどーん!って感じで。
「あ、そうだ!ノエルさん、さっきの魔法、というか、魔法全般についてなんですけど・・・」
「お、どうした?・・・ふふ、魔法談義なんて久しぶりだから、なんか嬉しいな。それにヒイロは熱心だし、特殊な魔法使いだからな。なんでも聞きなさい。」
「ありがとうございます!それで、さっきの水鋭刃なんですけど・・・」
俺はさきねぇそっちのけでノエルさんに魔法の相談をする。
暇になったさきねぇはふらふらとさっきの木のところにいってしげしげと観察してる。
「へ~、切り口がほんとにチェーンソウで切ったみたいになってる。すごいわね~。」
「・・・で、水球のときは・・・」
「・・・ああ、それは・・・で、・・・」
「・・・・・・・」
さきねぇは かまってほしそうに こちらを みている !
→もうすこし まって。
「・・・私のこの手が真っ赤に燃える!弟の気を引けと轟き叫ぶ!ぶわぁぁぁぁくねつぅぅぅ!ムラサキフィンガー!」
さきねぇが真っ二つになった木の切り口部分を掴んで叫んでいる。
おまわりさん、あの姉、変なんです!
「ひぃぃぃぃぃぃとぉぉぉえ「!?バカ!やめろ!!!」んっ!」
ドガァァァァァァァァァァァァン!
魔法使い暦数時間の俺ですら身震いするほどの魔力が弾けたと思ったら、さきねぇが掴んでいた木が大爆発を起こしていた。
すごい勢いでさきねぇが後方に吹っ飛ぶ。
ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・・・じゃぽぉぉぉぉぉん!
ブクブクブクブク・・・・
しーーーーーーん・・・
「さ、さきねぇ!!!!!!!!」「ムラサキ!!!」
俺は俺史上最速の速さでさきねぇの落下地点付近までダッシュし、川に飛び込む!
あの爆発なら気絶してる可能性もある。早く救出しなければ!
待ってろ、姉さん!
「ぷはぁ!・・・え」「え」
「バカな!私をふみだぃ」
じゃっぽーーーーん!
結果として、俺はさきねぇにダイビングプレスをかます形になった。
ご、ごめーんち☆
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
仁王立ちの俺とノエルさん。
その前には正座したさきねぇがいる。
「・・・何か、言う事はあるか?」
「・・・全身が痛いです。」
「自業自得だバカモノ!!!」
結局、木が跡形も無く吹っ飛ぶような爆発だったにも関わらず、さきねぇは傷ひとつ負ってなかった。
さすが『全改造ビルバイン』の異名は伊達じゃないな。
ただ、衝撃は体に伝わっているらしく、体中がじんじんするらしい。
それでも、一人で川から歩いてさっきの場所まで戻ってきて正座しているくらいだから平気だろう。
大事にならなくてよかった・・・。
誰かにやられたとかならそいつをぶっ殺すし、そもそもそんなやつにさきねぇを近づけなければいいだけの話なのだが、自爆となるとどうしようもないからな。
「・・・で、なんであんなことしたの?」
「その、暇だったからかまってほしかったのと、『今日ならできる気がする!』って思って・・・」
「バカかお前は!もし取り返しのつかない大怪我でもしたら、俺はこの先どうすればいいんだよ!お願いだから自分の体を大事にしてくれ!!!」
「・・・・・・ごめんなさい。」
「ねえさん。いや、紫。今後、俺が防御魔法と回復魔法を覚えるまで、魔法使用禁止!いいな!!!」
「・・・はい。」
「まったくもぅ・・・・・・ねえさんが、ぶじ、で、よがっだぁぁぁ・・・」
「ん・・・ごめんね、ヒロ。」
俺は姉さんにしがみついて大泣きした。
そんな俺を優しく抱きしめる姉さんと、そんな俺たちを『仕方のないやつらだ・・・』と言いながら優しく微笑むノエルさんの姿があった。
「ちゃんとヒイロのいったことを守るように。いいな?」
「はい・・・ごめんなさい。」
「反省しているか?」
「してます・・・」
「よし、じゃあこれを飲め。」
ノエルさんが禍々しいほどの真っ黒い液体を差し出す。
うわぁ、これ飲んだら即死する系じゃないの?
さきねぇも同じことを思ったらしく、苦りきった顔をしている。
「エルエル、一応聞くけど、それ、飲んだらアカンやつじゃないわよね?」
「大丈夫、ちゃんとした回復ポーションだ。回復力もギルドお墨付き。ただ、めちゃくちゃまずくてくさいだけだ。」
「それアウトでしょ!?もっとマシなポーションをちょうだいください!」
「ポーションをやるだけありがたく思え。あれだけ使うなといった魔法を勝手に使うバカにはこれがお似合いだ!」
そう言って黒いポーションをさきねぇに押し付けるノエルさん。
さすが『破軍炎剣』、やることがえげつねぇ。
嫌々ながら受け取るさきねぇ。
バカめ、受け取ったな!パープルグミーのリベンジだ!
「なーんで持ってんの?なーんで持ってんの?飲み足りない、から・・・」
さきねぇの覇気に押され、黙る俺。
仕方ないよ、怖いもん。
「・・・すぅぅぅ・・・女は!度胸と!愛嬌ですわん!」
そう叫ぶと、一気に飲み干すさきねぇ。
なんでこの姉、たまにすごい男らしいんだろう。
ゴクゴクゴクゴク・・・・・・飲みきったようだ。
ポーションの空瓶がカランと音を立てて地面に落ちる。
すると、いきなり体育座りをしだすさきねぇ。
「・・・ヒロ・・・ 疲れたろ・・・僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ。ヒロ・・・」
「逝くなぁーーーーーー!ルーベンスの絵をまだ見てないぞぉぉぉぉぉ!」
そんなか。そんなにか!
絶対飲みたくねぇぇぇぇぇ!
「あ、でも痛みなくなってきた。すげーなポーション。」
「即効性に定評があるからな、黒ポは。」
「池上みたいなやつね。」
「絶対言うと思った。」
しかし、すごいな黒ポ。
脅威のメカニズムだ。
「はぁ・・・とりあえず、ヒイロは攻撃はなんとかなりそうだから、回復と防御を中心に魔法を鍛えたほうがよさそうだな。知り合いの水魔法使いに連絡を取ろう。」
「よろしくお願いします・・・」
その時、なんの脈略もなく、さきねぇがいきなり覆い被さってきた。
「ヒロ、ごめん。お姉ちゃん、眠い。」
「はい?まだそのネタ引きずってんの?・・・なんかマジで眠そうだな。じゃあ家戻ろうか?」
「・・・無理。寝る。おやすみ。」
「ちょ、おい!」
いきなり背中でぐぉーぐぉー言い出す。
寝つき良すぎるだろ。
「寝かせてやれ。魔法量G(-)のくせに、いきなり全魔法量を放出したんだ。そりゃ眠くもなる。」
「そ、そんなもんなんですか?」
「そんなもんだ。正直に言えば、ヒイロにそれほどの疲労が見られないことに驚きだ。」
「いや、でもけっこう疲れてますよ?」
「息も絶え絶え、ではないだろう?ヒイロの魔法には、色々秘密がありそうだな。」
「んん・・・」
背中のさきねぇが寝苦しそうに唸る。
「「・・・・・・」」
「・・・帰るか。」
「・・・そうですね。」
こうして、さきねぇを背負いながら帰路に着く魔法特訓一日目だった。
つーか、やっぱさきねぇのおっぱいでかいな!すげぇ!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ヒロくんは『空気中には水分が含まれている(=常に水に触れている)』と当然のように思い込んでいるため、常に水補正がかかっており、魔法威力向上と消費魔法量減の効果が永続している形です。
SLG風に言うと『水属性のユニットが常に水フィールドにいるため、能力がアップしている状態』です。
ムラサキさんのムラサキフィンガーですが、ムラサキさんだからあの程度で済んでいるだけであって、D級冒険者以下なら即死してもおかしくないレベルです。ヒロくんでも骨折と火傷くらいは免れません。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




