第四十七姉 「・・・どうせならギザギザもつけちゃおうか。ノコギリみたく。」
ついに話の頭に第○姉つけました!
多分『第○姉ってなんだよきもいよ・・・』と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、退かぬ!媚びぬ!省みぬ!これが俺の生き様だ!
累計ポイント200いきました、と思ったらいつのまにか240超えに!?何があった・・・私は明日死ぬんでしょうか?
オークでとんかつを作るまでは死んでも死にきれない・・・!
なにはともあれ、ブックマークや評価・感想をくださった方、そしてこの作品を読んでくださった全ての皆さん、ありがとうございます。
今後も姉スキーを増やすためにも頑張ります!
さきねぇと二人がかりで説明をする。
さっきのファン○ルは自分のオリジナルではなく、もとから知っているものをアレンジしただけということ。
さっきまでしていた練習の結果が本当の自分の実力であり、手を抜いていたわけではないこと。
怒らないでほしいということ。
30分ほど説明して、なんとかわかってもらえた。
「なるほどな・・・しかし、よくわからん大陸だ。魔法は実在しないんだろう?」
「ええ、俺たちの世界では、完全に空想上の存在ですね。」
「にも関わらず、二人にとって魔法は『当たり前のもの』として扱われている。」
「まぁ魔法なんてゲームとか漫画とかで子供の頃から見聞きしてるしね?」
「おかしいと思わないのか?『本来存在しないはずのものを、当然のように理解し、納得している』んだぞ?」
・・・そういわれると、確かに。
『魔法とはどんなものですか?』と聞かれたら『魔法とは~なものです。』と答えられるだろう。
しかし、実際に魔法や魔法使いを見たことがあるか?といわれたらNOだ。
その時点で『存在しないはずのものを、存在しているかのように理解している』のだ。
ノエルさんすげぇな。指摘されるまで異常性に気づかなかったわ。
いつかそういった歴史研究というか、魔法研究なんかもしてみたいな。
金にはならんだろうが、せっかくの異世界暮らしだ。
ロマンを追い求めたっていいだろう。
「・・・まぁ、今そんなことをいってもどうにもならないな。よし、なら年寄りの説教はこれで終わりだ。」
「年寄りって自覚はあったのね。」
「ぁあ!?」
「あ、ヒロ、みてみて!幸せの青い鳥が飛んでるわ!」
「すごい受け流し方だな。しかも青くないし、どう見てもドラゴンじゃん・・・ドラゴン!?」
つい二度見してしまった!
ドラゴンが空飛んでるよ!すげぇ!
「ドラゴンではなく、ワイバーンだな。あれは『飛龍定期便』だ。ワイバーンを飼いならすには相当の労力と時間と金がかかるので、国やギルドくらいしか所有してないがな。」
「「ほえ~」」
いやー異世界すげぇわ。正直脱帽っす。
ノエルさんがなぜかそわそわしながら、そして目をキラキラさせながら口を開く。
「んんっ、ところで、ヒイロ。その、他に何か、思いつく魔法はないのか?」
「・・・あらあらあらあら~?さっきまで『テヲヌイテイタノカー!ウチクビジャー!』とか言ってた美少幼女はどこのどちら様だったかしらぁ~?」
「そ、そこまでは言っていない!」
「あははは、いいですよ。どうしようかな?」
ノエルさんの話からすると『水は攻撃能力が低い』んだったか。
まぁ水球なんて、強い魔物に効くとは思えないしな。
じゃあ・・・『水が敵を切り裂く』なんてどうだろうか。
すでにイメージはできてるし。
「では、いきますよー!」
右手の人差し指を立ててくるくる回す。
イメージとしては『わたあめ』だ。
指の周りに水が集まってきてまとわりつく。
あ、練習の成果か、目を閉じなくても創造できるようになってきたよ!
「おお、何度見ても今日魔法を覚えた初心者には見えんな!」
「えへへ、でしょ?すごいでしょ?」
「ありがとうございます。んで、次はー・・・」
さきねぇが我が事のように自慢する。
水をこねて両手で潰し、真ん中に穴を開けて平らにするとCDのようになった。
これをもっと薄く、鋭くして・・・できた!
「じゃじゃーん!名づけて、≪水鋭刃≫!」
「「おお~!」
ぱちぱちと拍手が起こる。
じ~ん・・・福ちゃんの気持ちが痛いほどわかる。
俺をもっと褒めてくれ!
「ほな、いっくで~!チャクラム、ゴー!」
俺はフリスビーの要領で≪水鋭刃≫を投げる。
かなりの速さで弧を描くように大根くらいの太さの木に向かい、そして。
ガッ!
木の半分くらいまで刺さって消えた。
あれ?
「うっそ、ちょう微妙!」
「う、うるさいな!あれー?おかしいな?」
「あの速さと変則的な動きはたいしたものだとは思うが・・・本来はどういったものだったんだ?」
「予定では木がスパッ!っと切れるはずだったんですけど・・・」
「なら、創造力不足の可能性が高いな。」
「ふむ・・・ヒロ、お姉ちゃん思ったんだけど、普通に投げるだけじゃなくて、自動で高速回転とかかかったほうがいいんじゃない?」
「あーそのまま投げただけだ。高速回転ね。なるほどなるほど。」
『空想力』だけで全部解決するような話じゃないらしい。
そこまで甘くなかったか。残念。
「・・・どうせならギザギザもつけちゃおうか。ノコギリみたく。」
「いいわねいいわね!じゃあもっと大きくして、形も・・・あぁ、この『オリジナル魔法作っちゃってる感』がすごくいいわ!早く私の魔法量も上がらないかしら!」
「多分あがらないと思うが・・・」
そして出来上がったのが、この≪円水斬≫です。
薄く、鋭く、ギザギザした刃も完備!
大きさもピザのLサイズくらいにまで大きくしたぞ!
これを高速回転させて、と。
フゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・
なんか扇風機みたいな音出とる。
これ、水の形状変えたら魔法扇風機とか作れそうだな。
「できた!いっけー、≪円水斬≫!」
フィィィィィィィィン!
ギュン!・・・・ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!
メキメキメキメキメキメキメキメキ・・・ずずぅぅぅぅぅぅん!
「「「・・・・・・・・・・・」」」
えっと、え?
『フィィィィィィィィン!』→風を切り、木に向かっていく俺のかっこいい≪円水斬≫の音。
『ギュン!』→目標の木を一瞬で切り落とした音。
『・・・・ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!』→木の後ろにあった大木をガリガリ削っている音。
『メキメキメキメキメキメキメキメキ』→木が倒れる音。
『・・・ずずぅぅぅぅぅぅん!』→木が倒れた音。
「・・・ヒイロ、本来はどういった魔法だったんだ?」
「えっと、予定通りの性能を発揮しております、閣下。ただ、実際に目にするとすごい怖いですが。」
「さすが私のかわいい弟!弟はワシが育てた!」
「そうか・・・水は上位の氷魔法を覚えない限り、攻撃能力の低い専守防衛の魔法だと思っていたが、考えを改めなければいけないな。精度をあげれば火魔法のように周囲に被害を及ぼすわけでもないし、純粋な単体攻撃魔法として威力・速度ともに問題ない!素晴らしい性能だ!」
「ありがとうございます!」
ノエルさんとハイタッチをかます。
大魔法使いからお墨付きもらいましたー!
やったぜジャパン!
「で、この折れた木はどうすんの?」
「「・・・・・・・・・」」
結局、後で分割して薪として家まで運ぶことになった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この世界の魔法は『物理法則をある程度無視する事が出来る』といったレベルです。ですので、何もないところから水を出すこともできますが、元からある水を利用したほうが高威力・省エネになります
また、≪円水斬≫はDBの気円斬を、≪水鋭刃≫はFF5の忍者の武器・円月輪をイメージしていただければわかりやすいかと。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




