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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第三章 冒険者ギルドにいってみよう!編
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第四十一姉 番外編『その時のマリーシア・ホルンさん』

マリーシアさん回です。というより半分説明回です。

いつものごとく、読まなくてもストーリーには問題ないです。

普通の第三者の視点でヒロくんを見るとこんな感じですね。

はぁ・・・今日は疲れました。

何回死にそうな目にあったことか。

冒険者時代も今日よりハードな日はありませんでしたよ。


あ、こんにちわ。

私はマリーシア・ホルンといいます。

元D級冒険者で、今は冒険者ギルドのアルゼン支部で働かせてもらってます。

商人の家に産まれたんですけど、16歳の時に51歳のおっさんと無理矢理結婚させられそうになりました。

51歳て。おじいちゃんですよ?無理です。若くて優しくて素敵な金持ちイケメンがいいです。

そう思った私は着の身着のまま、ではなく店の売上げの一部と、店で一番高いレイピアを持ち出して逃亡を図りました。

とりあえず生活費の足しになればと思い、冒険者ギルドにいって登録をしました。

ラッキーだったのは、そこに似たような境遇の女性冒険者が三人いたことですね。

すぐに意気投合した私たちはチームを組むことにしました。


それから10年が経ちました。

D級になってから一年に2回あるC級昇格試験を毎年受けるも、全て不合格でした。

他の三人と『D級でもいいよね!なんとかなるさ!』といっていました。

あの日が来るまでは・・・

ある日、リーダーから休日に召集がかかりました。

すごく嫌な予感がしました。

『ごめんね、私たち、チームを解散しようと思ってるの。』

え?解散?どうして?

『実はC級に昇格できたの。そしたら、リオンさんにチームに誘われて・・・』

『実は、前から付き合ってる恋人がいて、一緒にお店をやらないか?って誘われてて・・・』

『実は、出来ちゃって・・・』

なん、だと・・・?

え、あんたら男なんていらねー!ってつい最近も飲み屋で大声で叫んでたじゃない。

一蓮托生だって言ってたじゃない。

この前なんて、酔った勢いで裸踊りまでしてたじゃない。

『『『ごめんね!ばいばい!』』』

あの時ほど人を呪った時はありませんでした。

私と同じで男っ気がないと思っていたのに。

『恋人ができたら報告しあおうね!まぁ出来ないけど(笑)』なんていってたのに。

私は宿に3日ほどひきこもり、あいつらがチーム解散後すぐに男と別れることを切に祈りました。


しかし、ずっと引きこもって入れるわけもなく、これからのことを考えました。

冒険者を続ける?・・・厳しい。

大体、冒険者になって5年でD級、10年でC級になれればいいほうだと言われています。

10年経ってもD級ということは、冒険者としての才能はないに等しいということです。

それに私はD級でも中の下くらいの実力しかありません。

商人の娘ということで、字の読み書きや数の計算、交渉が得意でしたが、D級チームともなると、大体一人はそういう役割の人がいるので、弱いなら新たにチームにいれる必要性がありません。

それに足元を見られて分け前を少なくされたり、体を要求されたりだってするでしょう。

かといって、E級のチームにいれてもらうのも金銭的に厳しいです。

しかし、引退もできません。この年だと今から結婚も厳しいですから。

普通は15歳で成人して、20歳までで結婚する女性が大半です。

20歳を過ぎて独身だと『そろそろやばくないっすか?』といわれ、25歳を超えると売れ残り扱いです。失礼な。

ですから、再就職先がなければ引退は無理です。

どうしたものか・・・


そんな時、ギルドにこんな張り紙がありました。

『ギルド職員(事務)募集!』『必要条件・文字の読み書きができること(漢字必須)、数の計算が得意であること、D級以上の経歴の持ち主であること』

これしかないと思い、すぐに応募しました。

ギルド職員は激務の割りに給料が低いと噂がありましたが、そんなことはいいんです。

女性のギルド職員には、ある可能性が秘められていたからです。

それは、『玉の輿』です!

なぜか男性の冒険者は『受付のお姉さんに魅力を感じる』と話に聞いていたからです。

それを狙って、有望そうな新人冒険者や魔法使い候補につばをつけ、玉の輿にのった職員が大勢いると知っていたからです。

それを考えると、受付嬢がいつも笑顔で優しく冒険者に接していた理由もわかるというものです。

私は私史上最高の速度で受付に駆け込みました。

そして、なんとか試験に合格し、晴れてギルド職員となれたのです。


この人は顔がちょっと、あの人は声が、こっちの人は頭悪そう、と色々見定めているうちに、1年が経ちました。

私に声をかけてくる人もいますが、おっさんだったり、口汚かったり、不潔だったりとろくな男がいない状況が続いていました。

誰だよ、玉の輿とかいったやつ・・・と思っていた時に、冒険者の間では伝説的な人である『破軍炎剣バーニングピアス』のノエル様が、魔法適正検査のために弟子の方を2名連れていらっしゃるという噂を聞きました。

しかも、弟子の片方は男性だそうです。

『これしかない!』と思いました。

魔法使いは儲かります。

冒険者としても引き手数多ですし、それなりの実力があれば王国軍や貴族の私兵としても雇ってもらえるからです。

しょぼかったとしても、町のなんでも屋さんとして大活躍です。

ですが、大魔法使いと言われるノエル様の弟子です、きっとかなりの才能を持った魔法使い候補なのでしょう。

そして、魔法適正検査を受けるということはまだ冒険者になっていないということ。

つまり、成人したての15歳から20歳くらいまでの若い男性で、なおかつ初心である!

色んなことを手取り足取り優しく教えてあげちゃったりなんかして、既成事実を作れば・・・!

私もいまだ処女ですが、それはなんとかなるでしょう。つーかなんとかします。

すぐにラムサス支部長に直訴し、ノエル様担当の椅子をゲットしました!

ふっふっふ、まっててください、私の未来のダーリン!


その時がきました。

ノエル様に連れられてきた二人のうち、男性を気づかれないようにチラ見します。

顔は、まぁ、普通かな。悪くはない。背が高いのはいいね!黒髪とは珍しい。

好印象だったのは、見た目から誠実そうで穏やかそうなところです。

実際、物腰も口調も柔らかく、丁寧です。頭よさそうにも見えてグッド!

ラムサス支部長も元貴族かと疑うほどです。

これは予想以上の優良物件のようだ。いくしかない!


歩きながら少しお話をして、名前がヒイロさんということを知りました。

出身地やこの町に来た経緯などを聞いても、うまくはぐらかされてしまいます。

もしかしたら、本当に元貴族なのかも・・・?

ひょっとして、どこかの大貴族や王族の隠し子!?

そう考えると、あのノエル様がお二人の世話をされている現状も理解できます。

これは、私の時代が到来したヨカーン!


が、もう一人の弟子の女性(ヒイロさんの姉らしい)のガードがとんでもなく固かった。

私がヒイロさんに話しかけようと口を開いた瞬間に、ヒイロさんにちょっかいをかけるのです。

偶然だろうか、それとも狙ってやっているんだろうか。

あと、たまに睨んできます。怖い・・・


そして、適正検査を全て終えたヒイロさんは魔法力D・魔法量Dという超優良物件であることが発覚しました。

私はヒイロさんに『魔法力Dは一年に数人いる』といってしまいましたが、実はそれは『魔法力D・魔法量F』の場合です。

『魔法力D・魔法量D』は魔法使いでも中堅クラスの実力で、種族全員が魔法の使い手であるエルフの平均と同じくらいです。

ギルドでも数年に一人ほどの人材で、私もこのクラスの才能の持ち主は初めてお会いしました。

さすが、あのノエル様の弟子!


ただ、この人からは手を引こうかなと思ってます。

なんでって?

魔法力Sという化け物の義姉ムラサキさんと、生ける伝説である義母ノエル様が怖いからです。

世の中、うまくいきませんね。



ここまでお読みいただきありがとうございました。


ムラサキさんがマリーシアさんに当りが強かった理由です。

姉の本能で泥棒猫の匂いをかぎつけていたんですね!

そして、次章でついに魔法の特訓にはいります!

一話を書いた時点では『5話くらいでノエルさんちにいって宿泊、10話くらいで冒険者になるかな?』と思ってましたが、とんでもなかったですね。

無駄話が多すぎる(笑)

でも、こういう話が読みたいけどなかったために書き始めたので、後悔はありません。


ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。

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