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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第三章 冒険者ギルドにいってみよう!編
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第二十八姉 「まぁ俺たちらしくていいんじゃない?どこにいこうが、二人ならデートでしょ?」

長くなってきたので章分け機能使ってみました。すごい!


 その後もノエルさんを説得したが、無理だった。

 結局俺たちのファースト武器はでかいトンカチとバットになった。

 どうしてこうなった・・・




「よし、武器は決まったな。では、次は防具、なんだが・・・」


 どもるノエルさん。


「鈍器渡してきたエルエルがどもるってことは、とてつもないものなんじゃない?『バカには見えない鎧』とか。」

「面白いな。じゃあ、俺は・・・『呪われた防具しか用意できなかった』に20ポイント!」

「やるわね・・・じゃあ私は『ちょうかっこいい防具しか用意できなくて、武器とのデザイン融和性がなさすぎて困ってる』に50ポイント!」


 もう性能うんぬんではなく、どんなインパクトのあるものが出てくるかに興味を向ける俺たち。

 さぁ、何がでてくる?


「すまん、武器はそれなりにあるんだが、二人が使えるような防具はこれしかなかった・・・」


 そういって差し出したのは、二つの薄いコートだった。

 地味なデザインだが、上等な生地が使われているようで触り心地は悪くない。


「へ~いいじゃないですか。俺好きですよこういうの。」

「なんか、こう、センスがないわね。悪くは無いけど・・・」


 派手めなものが好きなお姉さまはあまり気に入らなかったらしい。

 せっかくノエルさんが用意してくれたのに。

 あとでメッ!してやらないとだめだな。


「すまんな。機能も夏は涼しく冬は暖かく、雨も弾くから簡易的な寝袋代わりになり、防御力も矢が1ミリも貫通しない程度しかなく、ドラゴンもどきの火のブレスを遮断するくらいしかないんだ・・・」

「「何その超性能!?」


 物語後半で手に入る魔法使い系の必須装備みたいなすごいコートをもらってしまった。

 ありがたやありがたや。


「いいじゃないこれ!一目見たときからただもんじゃないコートだと思ってたのよ!職人のセンスが光るいい作品ねこれは!」

「「・・・・・・・」」


 なにかをほざいているうちのお姉さまはスルー。


「でも、いいんですか?こんないいものもらって・・・」

「かまわないよ。私にとっては魔法袋に入れっぱなしで忘れていたようなものだ。たいしたものではないから気にしないでくれ。」

「ありがとうございます。大切にします。」

「エルエルありがとねー!必要なくなっても売らないでとっとくからね!」

「う、売らないでもらえると私も嬉しいな。」


 ノエルさん苦笑い。



 それからノエルさんは用意した皮袋の中にぽいぽいものを入れていく。

 ちなみにこの皮袋は『簡易魔法袋』というらしい。

 魔法使いでなくても使える反面、容量がかなり少なく、軽いものしか入らないなど制約も多いらしい。


「水と、グミーと、干し肉だろ・・・あとは回復ポーション10個セットと、毒治草5個セットと、麻痺治草5個セットと、いざという時のためのエリクサー5個セットと・・・」


 今なんか、さりげなく伝説級のアイテムが用意されてたぞ。

 え、目的地は歩いて1時間のアルゼンの街だよね?ダンジョンじゃないよね?


「よし、まぁこんなもんだろう。ほら、二人の荷物だ。」


 ノエルさんから荷造りした皮袋を渡される。

 けっこうものはいったのに軽いな。

 やるな、簡易魔法袋!


「よーっし!善は急げと申します。各々方、準備なされぃ!」

「いや、もう準備終わってるんだって。」

「じゃあお姉ちゃんお花摘み~。」

「あ、俺もいっとこう。」


 立ちションしてる時に背後から強襲なんてされたら目も当てられないからな。




「忘れ物は無いか?」

「ないわよーん!」

「・・・あれ?アルゴスさんに渡すものがあるんですよね?まだもらってないと思うんですけど。」

「ああ、渡してないな。で、ムラサキ?忘れ物はないんだったな?」

「うっそ、ずるくね?そういうのずるくね?」

「さきねぇ、冒険者になったらこういう依頼を受けたりもするんだろうから、ちゃん確認しないとね?」

「そういった話は私の専属マネージャーを通してもらえるかしら?今日はプライベートなので。」

「おい。」


 専属マネージャーって俺か。俺のことか。

 望むところだ!

 むしろご褒美といっても過言ではない。

 姉が調子に乗るので口には出さないけどね!


「では、頼みたいものはこれだ。この箱をアルゴスに渡して欲しい。」

「中身はなんなの?」

「・・・ノエルさん、冒険者になってこういう依頼を受けたら、依頼人に中身を聞いたほうがいいですか?聞かないほうがいいですか?」」

「いい質問だな。正解は『基本的に聞いたほうがいい』だ。まぁ答える者は少ないがな。中身が高価なものならなおさらだ。だが、騙されて何か禁じられているものを運ばされて捕まった時、『嘘を教えられた』のと『聞かなかったから知らなかった』では大分違うからな。」

「なるほど、了解です。あ、アルゴスさんに渡した確認はどうすれば?サインでももらいますか?」

「む、そうだな。では一筆もらってきてくれ。・・・しかし、ヒイロは本当に気が付くというか、有能だな。ムラサキも見習いなさい。」

「有能な弟がいつも一緒にいるから問題ないでーす!」

「まぁいざとなったらさきねぇの方がよっぽど有能なんで問題ないですよ。」

「はぁ・・・全くお前らときたら。まぁいい。では、渡したぞ。」


 ノエルさんから小さな木箱を預かり皮袋に入れる。

 武器も持ったし、コートも着た。

 皮袋も持った。

 依頼の品も預かった。

 準備万端!


「では」「じゃあ」

「「いってきまーす!」」

「ああ、いってらっしゃい。あ、魔物に気をつけるんだぞー!帰りは遅くならないようになー!荷物を忘れるなよー!あ、あと、お小遣いは使いすぎるなよー!」






 そして今に至るというわけだ。

 二人で手を繋いで森を歩く。

 さきねぇはハンマーを金太郎のように右肩に担いでいる。

 一方俺は、スマート棍棒を途中まで皮袋にいれて、左肩から下げている。

 バッグからバットが飛び出ている、高校の野球部員みたいになってる。

 しかし、素晴らしいな。

『かわいく愛らしい美少女(姉)が、体格に似合わない重量級の武器を担いでいる』。

 これがどれほどのロマンと感動を呼び起こすか、わかってもらえるだろうか?

 これでさきねぇがハルバートなんか持っちゃって、三国志の豪傑みたいに頭の上でビュンビュン振り回したら、かっこよすぎてみんな(俺含む)気絶してしまうかもしれない。


「しかし異世界に来てのファーストデートが街までのおつかいとは。なんか変な感じね?」

「まぁ俺たちらしくていいんじゃない?どこにいこうが、二人ならデートでしょ?」

「さっすが私のヒロ!よくわかってる!」


 街までのおつかいに姉弟でいくことがデートになるなら、世の中デートしてるやつらだらけになるが、気にしない。

 これがいつもどおりの俺たち。平常運転だ。




ここまでお読みいただきありがとうございました。


ノエルさんがくれたローブですが、レベル90の魔法使いであり、伝説級の武具で固めたノエルさんにはたいしたものではないですが、C級冒険者だと持っていない人のほうが多いレベルです。

その性能から防具ではなく、普段使い用としてB級だけでなくA級冒険者にも愛用者が多いです。

つまり、ヒロくんの感想は的を得ています。


ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。

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