第二十四姉 「プリ○ュア?」
今回は本当に何も起こりません。
こんな回があって許されるのだろうか。
と思いましたが、よく考えたらいつもと変わらないじゃん!
なので書きます。
俺のシスコンっぷりをなめてはいけない。
歴戦の猛将が『この中でシスコンなやつはいるか!』って言ったら
『ここにいるぞ!』と剣を突きつけて言い返すほどの弟だ。
自分でも何を言っているのかよくわからなくなってきた。
そんなこんなでギャーギャー騒ぎながら街を練り歩く。
串焼きを食べたら、逆にお腹がすいてきた。
とりあえずどっかはいろうぜ?
「ここなんてどうですか?定食屋っぽいですけど。」
俺が指差したのはそれなりに客が入ってるっぽい定食屋っぽいお店だ。
テレビでよくある『西部劇のバーの入り口』みたいな、両手でぐいっと開けて中に入るタイプだ。
もちろんカランコロンと音が鳴るのはデフォだろう。
ガンマンがいてもおかしくはない雰囲気である。
「あー、ここか。いいと思うぞ。なかなか旨いし量もある。」
「じゃあここでいいんじゃない?魔物の肉とかあるかしら。おいしいやつ!」
肉食系なお姉さまですこと。
三人で店に入る。カランコロン♪
よし、許す。
「いらっしゃいませー!何名様ですかー!」
「三名で。」
「三名様ごあんなーい!」
タバコは吸われますかー?とは聞かれなかったな。
分煙、大事よ?
地味めな顔だけど、明るく元気なお姉さんに案内されて席に着く。
店内の広さは、まぁその辺のファミレスと変わんないかな?
フロアに丸い木のテーブルがボンボン置いてあって、そこに小さな丸太が置いてある。
この丸太に座るのか。ちょっとおしりが痛くなりそうだけど、雰囲気は出ている。
「さて、何を食べるか。」
「・・・メニューとかはないんですかね?」
「あと水が出てこないわね。職務怠慢じゃないかしら!ぷんぷんぽん!」
いや、あんた、もともとファミレスとかで出された水に手つけないじゃん。
「メニューは頼まないとでてこないぞ。こういう大衆向けの店にくるやつらは文字が読めないやつも多いから、『うまいやつ!』とか『おすすめで!』とかばっかりだからな。あと、水は別料金だ。」
「「へ~!」」
水は別料金はまだわかるが、メニュー使わないとか斬新だな。
今日のおすすめ頼んですっごい高い料理とか出されたらどうすんべ?
あ、もしかして、客の顔見て出す料理決めるのかな?
『こいつ金なさそうだから一番安い野菜炒めにしてやれ!』とか
『金持ちっぽいから高すぎて売れない在庫処分品出すか!』とか。
異世界怖いよ。
「すいませーん、メニューくださーい。」
「あ、はーい、ただいまー!」
さっきとは違う、いかにも『田舎娘!』といった感じのウェイトレスさんがメニューを持ってきてくれる。
なんかでかいし、分厚いぞ?なんぞ?
「はい、メニューになりますー!もうしわけありませーん!」
「ははは、大丈夫ですよ。お忙しいところにすいませんでした。」
「え!?い、いえいえ!とんでもございませんですわ!失礼つかまつるですわ!」
俺が笑顔で会釈すると、顔を赤くしてよくわからない言語を使い出したウェイトレスさん。
なんだ?
二人に眼を向けるとニヤニヤ顔のノエルさんと、ウェイトレスさんをめっちゃガンつけてる姉様。
なんなんだ?まぁいいか。
渡されたメニューを見て愕然とする。
「姉上、このめにぅひょう、木製でござる・・・!」
「マジか!?」
「もしかして、紙を使っているとでも思ったか?もっと高級な店にいかないと紙のメニューなんてでてこないよ。」
はぁ・・・まぁ古代中国だって木簡とか使ってたし、これもありか。
「これはこれでビックリしたけど、早く頼みましょうよ!って、全部カタカナかよ・・・読みずれぇ・・・」
「まぁまぁ、未知の言語よりマシじゃないっすか。えっと、ヤキニクテイショク?え!焼肉定食!?マジで!?80パルだから・・・800円くらいか。適正ではあるな。」
「な、何の肉かしら?産地とか私が作りました的なもの、書いてある?」
「いや、ないな・・・」
謎は深まるばかり。
「このあたりだったらさっきのホーンラビットとか牛とかワイルドイノシシとかだな。」
「じゃああたし焼肉定食ー!ヒロは・・・これね!すいませーん!注文でーす!」
「え、ちょ、おま、変なの頼むなよお願いだから!」
「お姉ちゃんにお任せだゾっ☆」
え、なにそれ、また?マイブームなの?
「お待たせしましたー!ご注文は?」
「私はヤサイイタメテイショクで。二人は?」
「プリ○ュア?」
「いや、そういうのいいから。」
「えっと、焼肉定食とー、これで!」
「かしこまりましたー!」
こえー、こえーよ。
さきねぇのことだから、俺が嫌いなものとか食べられないものは頼んでないだろうけど。
闇鍋的な恐怖が。
「ムラサキ、もし本当に変なものだったらヒイロと交換させるからな?」
「大丈夫よ!おいしいと思うわ!多分!」
根拠がないよー。
それから数分。
ついに料理が運ばれてきた。
そこには!
「・・・しょうが焼き?」
「ね?おいしそうでしょ?」
「ああ、これか。問題ないぞヒイロ。食べて大丈夫だ。おいしいぞ?」
「ノエルさんがそういうなら大丈夫か。では」
「「「いただきます!」」」
最近はノエルさんもこれでご飯を食べるようになった。
もぐもぐ。これ、けっこうおいしいな。
そうだよな、牛がいるんだから豚がいたっておかしくないよな。
・・・でも、何かおかしい。
そして、食べ終わった後に違和感に気づいてしまった。
あ!さきねぇがあーんを求めてこない!どういうことだ、店主を呼べ!
「・・・姉さん、これ、豚だよね?」
「え?え、ええ。豚さんよ?(二足歩行するっぽいけど)」
「大丈夫だ、それはオークの肉だから。立派な食料だ。」
・・・・・・・・・・え?おーく?
ギギギギと顔を姉の方向へ動かす。
姉は口笛を吹いている。初代のOPだ。あれは面白かったPSのRPGの傑作といえよう俺も何回もクリアしたものだニャル子さん倒しまくって経験値と金集めしたなー
「じゃねーよ!オークってなんだよ!?あれか!?豚男か!?よく高貴な女騎士にいやらしいことしちゃうあいつか!?」
「・・・そうよ!悪い!?文句ある!?」
逆キレしやがった!
「マジかよ、信じられねぇ・・・好感度マジ下がったわ。絶対許さない。絶対にだ!」
「ちょ、ちょっと待て、落ち着いてくれヒイロ!オークのに「ごめん、愛してる。」「許す。」く、は・・・なん、だと・・・?」
俺の瞬間的な手のひら返しに愕然としているノエルさん。
まぁ魔物の肉も常食みたいだし、ノエルさんがOK出したってことは冒険者たるもの、オークくらい食えないとってことなんだろう。まぁ美味かったしいいか。
「でも、次やったらさすがに怒るからな。」
「御意。」
「お前ら・・・」
この程度で激怒してたらさきねぇの弟なんてやってられないっすよ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
ウェイトレスの反応は
・珍しい素敵な色をした服を着ている
・初めて大衆食堂に来たような感じ
・メニューを頼む(文字が読める)
以上からヒロくんを貴族と勘違いしてしまったからです。
『貴族なのに、こんなに優しく接してくださった上に笑いかけてくださるなんて・・・!』って感じです。多分もう出てきません。




